都会の中に、豊かで楽しい古の海を。見て、触れたい、水中の世界。
DASH海岸、東京湾で自分たちの海辺は作れるか!?
まだ水も冷たい2月末。
観察台のイカダで調査は繰り返されていた。
男たちは、あるものを待っていた。
それは、別名、泥喰いとも呼ばれ、海底の砂を触手と呼ばれる部分で、絶えず口に運び、中に含まれる有機物を分解。糞としてきれいな砂にしてくれるナマコ。

護岸された入り江にあたるDASH海岸は、潮の流れで、プランクトンがどんどん入り込み、海底に堆積した死骸が分厚いヘドロとなった。
観察台の下に吊るされたムラサキイガイも、水を浄化する一方で、偽糞を出してしまう。
これら有機物は、ナマコが多く棲みつけば確実に減っていき、怖い赤潮や青潮を抑える効果が。
更には増えすぎると、ノリの生長を妨げてしまう浮泥をも減少させる。

だが、ナマコを初めて確認できたのは、観測台からはるか向こうの沖合300mの海底だった。
2月の初め、観測台の下にナマコが好む石を沈め、自然にこちらに来てくれるのを待つ。
だが、棲みつくかどうかは分らない上、移動を始めたとしても、時速5m弱。時間はかかる。
果たして、300mの道のりをやってきてくれるのか!?