11度目の夏は、猛暑の盛り。
8月に入ると、畑の夏野菜は生長回復、大豊作となったが、その一方で、ちょくちょく襲うのは、気まぐれでは済まない大雨。
脅しのようなゲリラの雨は、実りきった作物を叩き落とすほどではないが、里山の水辺にも変化を及ぼす。
雨が上がった翌日、守山先生と共に雨の影響を確かめるため、里山の麓の沢へ。
その量は明らかに増えていたが、この水量なら、少ないよりは望ましいという。

渇きが命取りにつながる真夏。
沢の畔に立つ納屋の下には、気になるものが…。
それを見つけたのは、梅雨入り間もない6月の事。
湿気対策の為の縁の下、砂地には50を超える謎の穴がひしめいていた。
それは、毎年、特に夏にはよく目にするものだったが、その場所は、いつもは沢を挟んで反対側の山側で、5個程度だったが、今年初めて、沢を超えて人の生活エリアに。
しかも急激な大発生。
この天候の影響か?ゲリラ豪雨をわかっていたのか?
穴を掘ってその正体を取り出してみると、それは“アリジゴク"。
アリジゴクは“ウスバカゲロウ"の幼虫時の通称。2、3年かけて羽を持つ成虫となる。

幼虫の時は、陸の上で生活し、すり鉢状にこしらえた巣穴の下で、アリなどの獲物が落ちてくるのを待つ。
その巣穴の作り方は、乾いた砂地の中を這いまわって柔らかくし、砂粒をキバでかき出しながら、右へ左へ深く耕し、1時間ほどで巣が出来上がる。
力ずくではなく、周りの砂粒を投げて崩してずり落とし、獲物を捕らえたら口に挟んで、獲物に消化液を注入し、獲物の体内をドロドロに液体化し、体液を吸い込む。
中身を吸い切ったら、体は巣の外へ捨てる。