春も過ぎ、初夏の季節、パートナー道子と道草の旅。 前回、触れ合いの中で、道子との呼吸を合わせてきた長瀬と太一。 そしてまだ肌寒い、函館の牧場をのんびり、スタートした。 ところが、馬にとって大切な蹄(ひづめ)に、あるトラブルが。 山育ちの道子は、蹄を痛める事のない環境にいたが、 初めての舗装された道に影響され、伸びた蹄に、痛みを伴っていた。 そこで、足に“蹄鉄(ていてつ)”を施すことになった。
蹄鉄は、重い体重のかかる馬の蹄を守り、アスファルトの道でも 痛めることはなくなるが、作るには専門の技術が要る。 蹄を削って、その馬に合わせた蹄鉄を打つことは、明治の初めより普及。 それまでは、わらじのような“馬沓(うまぐつ)”を結んで履かせていた。 さっそく、道子の足を守るため、定男さんの知り合いの元へ。 函館で装蹄所(そうていじょ)を営む、小松美智也さんは“ばん馬”、つまり、 ばんえい競馬の馬の蹄鉄を作る、北海道でも数少なくなった職人。
まず、道子の足の状態を確かめる。 小松さん「蹄が欠けてる。裸足でいたから変形もしてる」 馬の蹄は、脚先の皮膚が角質化することから「皮爪(ひづめ)」と呼ばれ、 一年で丸々、生え替わる。 それは人間でいえば、中指の爪が発達した部分。 外側の“蹄壁(ていへき)”は硬いが、土踏まずにあたる“蹄底(ていてい)”は柔らかく、裏には神経が集まる。そこを痛めることは、馬の致命傷ともなる。