そこで、伸びて生え替わる蹄壁を程良く削り、
ぴったりの蹄鉄を打ち付けること。
そのためには、蹄の形を把握しなくてはならない。
まず道子の前脚を鉄の棒にくくり付け、
“蹄刀(ていとう)”という道具を木槌で打ち、爪を削っていく。
長瀬「痛くないんですか?」
定男さん「痛くねえんだ」
太一「僕らの爪を切るのと一緒なんだ?」


押さえられるのは嫌がるものだが、しばし我慢頂くのもプロの技、道子のため。
さらに、その前脚をハサミ状の“削蹄煎鉗(さくていせいかん)”なる専用の刃物で切っていく。
長瀬「(形が)まさに爪切りだ」
と、恐る恐る長瀬が切っていたら、暴れ出す道子。
小松さん「疲れてきたから怒ってるんだ」
ビビる長瀬に変わり、今度は太一が切る。
そして、最後は小松さんがヤスリで仕上げる。


蹄の準備が出来たら、いよいよ蹄鉄作り。
鉄は熱いうちに打て。
この道18年、小松さんが棒状の鉄を蹄鉄の形に整えるまで30秒足らず。
石炭の炉の中で、1000度まで熱し、
およそ形を整えたら、固定用の釘を打つ部分の穴を開ける“目打ち”。
1kgの手鎚を振るいっ放しで一気に成形、片側が出来てきた。
そして、同じようにもう片側を熱して打ち、最後は微調整して完成。