5月のDASH海岸に春の大潮の季節が訪れ、昼の時間帯で、引き潮の潮位は2m下がっていた。
潮の動きで運ばれ、観測台近くにまで広がっていた砂の上にできた潮だまりには、ハゼの稚魚と、マメコブシガニの姿。
昨年は、別の潮だまりに1匹だけの確認だったが、今年は10匹以上も。
他のカニと違い、脚の付け根が離れているため、全方向に動くことができる。
危険を感じると、体を硬直させて死んだふりをする習性がある。
雌雄の判別は、お腹の部分の腹節が三角形をしているのがオスで、円形に盛り上がっているのがメス。


そして、もう一つの特徴が、オスの長いハサミ。
オス2匹と、メス1匹を水槽に入れると、オスがメスにかぶさるようにがっちりとハサミを使ってかぶさった。
城島「オスがメスをがっちりホールドして」
木村さん「そのために、ハサミが長く進化していった」

さらに、ガード行為という、他のオスにメスを取られないように、交接後も抱きつき続けるという行動も見せた。
やがてメスのお腹には、オレンジ色の卵を抱卵することとなる。


そして、3度目の夏を迎えるDASH海岸で新たな試みを開始。
江戸の初めに造られた、川の用水路につながるトンネルから絶えず流れる真水を利用し、海水と混合する場所に、汽水域づくり。
ヨシ原など塩生湿地は、水を浄化し、かつて江戸前の魚の代名詞だったウナギが好む環境だった。
そんなウナギがやって来てくれるような汽水域づくりが本格的に始まったのは、4月のこと。
まず行われたのが、運搬工事などに使う基礎材の割栗石を積んで、石垣づくり。
用水トンネルから流れる真水を、石垣とフェンスとで溜め、常に導く状態にし、隣に半円形のヨシの原を設け、十分な真水を留めることで安定した汽水に。