道草食べ食べゆっくり進む、道産子・道子との気ままな旅路。
季節は初秋、舞台はふるさと函館から海を越え本州は青森県大間へ。
そこは下北半島、本州最北端の地であり、マグロの港町。
八甲田山や十和田湖と雄大な大自然が広がり、名所もいろいろ。
そして、厳しい冬を放牧で過ごす寒立馬(かんだちめ)など、伝統ある馬産の町も数多い。
春の北海道函館をスタートした道草の旅は、秋から冬のみちのくを行く。

大間漁港、そこは長瀬にとっては6年ぶりの場所だった。
長瀬「“つれたか丸"は、ここ(大間漁港)から出たんですよ」
と、目に止まったのは、漁を終えた船を浜に移す、“船揚機(ふなあげき)"。
「ろくろ」とも呼ばれ、軸に差した棒を回し、船につないだワイヤーを巻き上げる。
その際、船が傷つかないよう、下には丸太を並べて、転がすように滑らせる。
ならばと、道子も棒を回して、船の引き揚げ作業をお手伝い。
定男さん「昔、北海道では馬で(引き揚げ)やったんだって」

今も昔も、生活を支える一番の財産である船。
かつて、一家総出でも重労働な船の引き揚げは、馬の仕事だった。
昭和30年代でも、まだ日本各地で見られたその光景。
船を揚げたり、荷物を運んだり、港には常に働く馬が待機していた。
そして、道子は10周回って、ようやく船全体が水から上がった。
太一「こういう調教して行くだけでも、馬車の時にはいいかもね」
だが、慣れない重労働に道子は、心なしかぐったりした様子。