その計画は、去年の秋から始まっていた。
達也「基地(拠点)をつくろうか」
12年前のDASH村では、自分たちの手で解体した築200年の家を、材料一本一本を組み直し、1年半がかりで自分たちの村へと移築。
8年前のソーラーカーの旅では、佐賀県を訪れた際、屋根に降った雨水を一か所に集めて排出する、古(いにしえ)の知恵が詰まった建物、国の重要文化財の“山口家住宅"にも出会った。
そんな、日本中で見てきた様々な建物の中から、どんな基地を島に作ろうというのか?

舟を納めて、雨風をしのげる小屋ができれば十分だが、
城島「ソーラーカーの旅で、海沿いで見た“舟屋"という建物」
それは、京都・伊根町に伝わる伝統的な建築様式。
江戸時代から続く、伊根町の舟屋は1階が船着場、2階が住居や物置と、世界でも珍しい作り。
海に囲まれた島での生活に、うってつけの基地となるに違いない。
そして、初上陸で訪れた時に見つけた、港跡に面した平らな土地が、舟がつけられ、安全な舟屋を建てられそうと、基地の候補地となっていた。

だが、改めて港跡を確認してみると、満潮時には平地から海水が染み出し、そこが大きな池となっていて、地盤の強さに不安が残る。
しかし、京都・伊根の舟屋は、半分水に浸かっているようなもの。
ならば、ここに建てても良いものなのか?
達也「(舟屋の)イメージは湧くんだけど…」
基地作りは、早くも大きな壁にぶつかった。
そこで、達也は舟屋の視察も兼ねて、ある方に会うため、京都・伊根町に向かった。