この夏、役場横に木工や陶芸を行うための、L字型の作業工房を増設した。
どの作業も手暗がりは禁物ということで、天窓を設け、何ヶ所かにガラス戸がはめられるようにした。
 しかし、役場再建の際に近隣の方に頂き保管していた古いガラス戸は、穴空き状態のものが多く、側の一部と明かり窓にガラスが足りないという問題が起こった。
 そこで、この春のガラスコップづくりを思い出し、なんとか村の砂からでも窓にはめれるような透明で薄い板ガラスを作ることはできないか村山先生に相談した。
 相談したところ、手づくりの窓であれば、「クラウン法」という方法であれば作れるかもしれないということで、初めての窓ガラスづくりに挑戦した。

クラウンガラスとは・・・
 手づくりの窓の草分け的存在。フランス語で「ラウンド」、つまり「丸い」を意味する「ロンデル」とも呼ばれる。
 製造工程途中で、王冠(クラウン)のような形になるため、クラウン法と言われ、4世紀頃、ガラス製造の中心地ヨーロッパの「シリア」で始まったとされる。このクラウン法のおかげで、窓に沢山のガラスをはめるようになったと言われている。主に教会の窓に取り付けられ、鉛の太い線でガラスを囲い繋げていた。

1.原料の砂集め
まずは原料となる砂の採取。コップづくりでは、牧草地横の砂が最も透明度が高く良いガラスになったということもあり、今回は、この砂を使うことに。
しかし、透明度が高いとは言え、村の砂だと鉄分が多いため、このままだと濃い緑色のガラスになってしまい、作業場を明るくする窓としては問題。
そこで、少しでも透明なガラスにするため、精製した後の牧草地横の砂から「磁石」を使って鉄を取り除いた。

2.ガラス窯づくり
コップづくりで使用したガラス窯では、口が小さく、直径20cmの窓ガラスを作るには難しいということもあり、今回は登り窯を使用した。
ガラスを熱する口は前回よりも広くとり、その上に沢山の砂を溶かせるように大きいルツボを設置した。

3.原料投入
鉄を取り除いた村の砂と前回同様、焼いた重曹、貝殻石灰を混ぜて、ルツボの中に原料を投入する。 加工に充分な柔らかさにするには1300度以上が必要となる。
しかし、大きい窯とあって1300度までなかなか上がらず、薪をくべる熱い作業が2日間続いた。
そのおかげもあって、無事加工できる柔らかさまでになった。


4.成形
窓ガラスづくりは、工程的にはおおむねコップづくりと同じ。
しかし、そう簡単に薄くて平らな板ガラスはできない。コップづくりのつながりとはいえ、コップより大きい小鉢の状態からガラスを広げる作業はとても難しい。小鉢まではうまくいっても、最後の遠心力で広げる作業でつまづいてしまう。素早く小鉢を回転させなければ、しっかり遠心力が働かず、くにゃくにゃになってしまい、窓ガラスどころか皿にもならない。こんな状態を繰り返し、やっとのことで、できたガラスは、少しは透明には近づいたけれど、作業の窓としてはまだまだ暗かった。


 そこで、少しでも透明に仕上げるため、古い割れたガラスと混ぜて溶かすことに。
混ぜた甲斐あってか、村の砂だけの時よりも透明なガラスが完成した。
こういった試行錯誤の結果、薄茶色から透明なものまで24枚のガラスが完成した。


5.設置
24枚のガラスを持ち、さっそく穴空き状態の工房へ。
本来なら鉛の部材で固定をするフラウン窓だが、今回は、村ならではの木型でガラス固定をすることに。ガラス用のコーキングで接着し、2つの型で挟み込む。ネジ釘でしっかり固定し、側面の建具、明かり窓に設置する。
 明かり窓からはしっかり陽射しが入り込み、明るい工房が完成した。これからはこの明るい工房で色々なものが作れそう。


 


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