@木材選び
里山にお椀の材料探しに出る。
お椀を作るにはある程度の太さが必要。直径33cmの赤松はあったが、松は松脂(まつやに)が出てしまい、加工ができない。かといって、コナラだと木自体が堅いため、形成しにくい。
そこで、明雄さんの山を見せてもらうことになった。そこには、直径40cmのオニグルミの木があり、オニグルミは木目も出やすく、木自体も軽く柔らかい為、この木でお椀を作ることになった。

A荒型取り(あらがたどり)
伐採した木材から荒型をとる作業。
のこぎりで丸太を20〜30cmの幅で切り、ナタと木槌で叩きわって形成していく。ここで、六角形に木取りをし、お椀の原型をつくる。


B外彫り(そとぼり)
ひらちょうな(いわゆる平らな削り刃に作られた手斧)という重さ1.2sの道具を使って、八角形をイメージし外側の部分を削る。できるだけ同じ場所に刃を当てることがポイント。


C中切り(なかぎり)
中切りを使って、お椀の内部を荒削りする作業。石、板、杭で作られた中切り台という台の上で、足で挟んで作業をする。 ここでも、同じ場所に刃物を下ろすのがポイント。


D乾燥
急激な乾燥による、割れや歪みを防ぐために、米糊を隙間に埋め込むように塗り、和紙で覆う。
米糊は、昨年収穫した「男米」のクズ米を鍋で焦げないように、ゆっくり煮詰めたもの。
これを、囲炉裏の上でゆっくりと1ヶ月ほど燻煙乾燥させる。
この段階で、充分に乾燥させることで、完成後に歪まないお椀をつくことができる。


Eろくろ挽き
奈良時代より伝わったとされる、回し手と挽き手、二人一組の共同作業。
一人は、ろくろの軸に巻きつけた縄を両手で回転させ、一人は、木地鉋という刃物を少しずつ木地に当てて削っていく。縄の引き手が右手で強く引いた時に鉋を当て、左手で戻す時には、鉋を離す為、1つの物を仕上げるにはかなりの時間がかかる。
ろくろ挽きが終了すると、ヤスリで表面を綺麗に仕上げ、最後にもち米の藁で、磨く。このもち米に含まれる油成分でツヤがでる。



F塗り
汁漏れを防ぐために、最後にクルミの油でコーティングする。
一般的には漆で表面をコーティングするが、今回村では、昔より家具材でも使われてきた天然のコーティング剤として、クルミの油を繰り返し塗った。



トップへ戻る