2006年 牧草地づくり
村の中で、ヤギ達が自由に遊べる場所を作るため、村の東側一面を占める果樹園を移動し、その地に牧草の種を蒔いた。
やがて、牧草はしっかりと芽を出し、ヤギ達が自由に走り回れ、牧草も食べることができる「牧草地」が出来上がった。


2007年 5月 「デントコーン」の種蒔き
冬の間は、牧草地が雪に埋もれてしまうため、その間のヤギ達の餌を確保する必要があった。
そこで、ヤギ達の保存食を作るため、トウモロコシの一種である「デントコーン」を栽培することにした。デントコーンは、歯の形に似ていることから「デント」と呼ばれている。
ちなみにトウモロコシは、「スイートコーン」「ポップコーン」「デントコーン」「フリントコーン」の大きくわけて4種類あるが、私達が普段口にしているのはスイートコーンで、「フリントコーン」や「デントコーン」は、粉にしたり、家畜の餌になっている。 トウモロコシは、交配しやすいということもあり、1週間ずらしてスイートコーンから100m離れたところにデントコーンの種を蒔いた。
トウモロコシはイノシシの大好物ということもあり、防護ネットをはって対策も行った。


6月 デントコーン芽出し
「デントコーン」の芽出しが始まる。種蒔きから3週間で、20cm以上に生長した。


7月 ヤングコーン試食
梅雨明けの太陽の光を浴び、野菜畑の一画に植えたスイートコーンが、大きく生長した。
先端には稲穂のような雄花の穂とヒゲのような絹糸(ケンシ)を持つ雌花がある。その根元がやがて実となるのだが、大きくて甘い実をならせるには1株に1個の実にする必要があり、1番上の実を残して摘果を行った。

摘果した実は、「ヤングコーン」として食べられるということで、「スイートコーン」と「デントコーン」の「ヤングコーン」を収穫し、食べ比べをした。2つとも歯ごたえがあり、とてもおいしかった。
      デントコーン
      スイートコーン

8月 スイートコーンの収穫・牧草の草刈り・納屋づくり
摘果したおかげもあり、甘くて、おいしいスイートコーンを収穫することができた。
一方「デントコーン」の収穫までは、あと1ヶ月。デントコーンは熟すのを待ってから収穫する。そうすると、糖分がデンプンにかわり、動物にとって体に優しい食物になる。
デントコーンの収穫を待つ間に、牧草の草刈りを行った。この牧草も冬の大事な保存食になる。

刈った後の草は、日に何度かかき混ぜて、まんべんなく天日で乾燥させる。 雨が降ると腐ってしまうこともあり、本当に天気との戦いだった。
乾燥し終わった牧草は、保存しやすいように箱に詰め込む。
そして、この干し草の保存するために、牧草地横に新たに納屋を作った。



9月 デントコーンの収穫・サイレージづくり
デントコーンを収穫する。昔は明雄さんも粉にして食べていたらしい。
ヤギの餌として、デントコーンは葉も茎も全部を使うことができる。デントコーンを細かく刻んでビニール袋に入れ、乳酸発酵させる。
こうして出来たものをサイレージといい、サイレージにすると栄養価が高いまま長期保存が可能になる。
本来、サイレージは「サイロ」と呼ばれる貯蔵庫に保存されるが、村にはサイロがないので、掘った穴に、空気を抜いたデントコーンのビニールを埋める。
イノシシに見つからない為にも良く踏んで固めた。




11月 サイレージ完成
完成したサイレージを掘り出す。乳酸発酵がちゃんとされているだけに、酸っぱい香りがした。
マサヨ一家、皆おいしそうに食べていた。


2008年4月 デントコーン調理
ヤギ達のために栽培した「デントコーン」を試しに食べてみた。
ワラ灰を水につけた灰汁水にデントコーンを入れて、熱する。これはメキシコで古くから伝わる、デントコーンの皮を溶かす方法。
翌日、一晩経ってから確かめると、皮が柔らかくなっていた。
皮が柔らかくなったら所で、半日かけて水車でつぶす。
トウモロコシの粒は、砕けて粉にはなったが、さらにつぶして、ふるいにかけきめ細かい粉にする。
トウモロコシの粉が完成し、ようやく「トルティーヤ」づくりにとりかかる。
トウモロコシの粉を水でねって、まずは伸ばす。しかし、小麦粉と違ってなかなか上手く伸びず、大変な作業だった。
伸ばした生地は、フライパンで数分焼く。生地をそのまま揚げて、トルティーヤチップスにもした。焼いた生地のほうは、トマトソースを挟んでタコスにする。
一方明雄さんは、昔の懐かしい味ということで「とうもろこし粥」を作ってくれた。これもモチモチしたお粥で今まで食べたことのないものだった。
どの料理にしても、トウモロコシの味がしっかりとしていて、とてもおいしかった。





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