絹ごし豆腐
絹のようにきめが細かく滑らかな舌触りなので絹ごし豆腐と呼ばれるようになった。豆腐(木綿豆腐)の発祥は中国だが、絹ごし豆腐が誕生したのは江戸時代中期で日本のオリジナルの豆腐。
木綿豆腐と違い水分を抜かず豆乳を凝固剤でそのまま固めるため、木綿豆腐よりも濃い豆乳が必要になる。
絹ごし豆腐と木綿豆腐の違い

絹ごし豆腐
豆乳と凝固剤を型の中で一気に混ぜ、そのまま全体を固める。
《食感》 ●押し固めて水を抜かない分、軟らかく滑らかになる。

木綿豆腐
豆乳に凝固剤を打って固まったものをすくいとり、さらし木綿を敷いた穴がある型箱に入れて水分を抜きながら押し固めてつくられる。
《食感》 ●表面に木綿の跡がつく。
●余分な水分を抜くためしっかりした食感で固さがある。
●キメはやや荒い。


工程@ 大豆(アオバタ)の下準備
去年の12月、猿の被害に遭いながらも、無事収穫できたアオバタ。
タンパク質の多いアオバタは絹ごし豆腐を作るのに適している。まずはこのアオバタを分量の三倍の水に一晩浸けると、水を含んだアオバタは2倍にふくれあがる。


工程A 生呉作り
きめ細かく滑らかな絹ごし豆腐を作るため、出来る限り細かくすりつぶそうと石臼を使用する事に。水からアオバタを取り上げ、同分量の水を加えつつすり潰す。すると、すり鉢を使用した時よりもずっときめの細かい生呉が出来あがった。


程B 豆乳作り
生呉が焦げないように20分ほど加熱させたところで火からおろし、サラシ袋にいれ豆乳を搾り出す。竹を使い力強く押し出す度に搾り出される豆乳はアオバタを使用したせいか緑がかっていた。
味はとても濃厚で、実際に糖度計で濃度を測ってみると目標値の12%を裕に越えて16%の豆乳が搾り取れた。


工程C にがりの精製
豆乳が出来たらいよいよあとは固める作業になるが、豆乳を固める為に重要な凝固剤としてにがりを使用する。にがりは海水を煮つめる事で出来るので、その海水を求め僕は海へと向かった。
桶2杯分の海水を汲み、村でその海水を3時間程煮つめると、最初に硫酸カルシウムが現れた。これは石膏の主成分で、にがりと同様豆腐の凝固剤としても使われている。
しかし、今回は昔ながらの絹ごし豆腐を作るため硫酸カルシウムを一度漉し、さらに煮つめてにがりを作る。火からおろしサラシで再び漉してできた液体、これが天然のにがり。そして、サラシに残った物は天然の塩になる。今回とれたにがりは約150ccだった。



工程D 豆腐の成形
豆腐を固める上で大事なポイントは3つある。
豆乳の温度とにがりの量、そして混ぜる早さ。
豆乳の適温は70℃前後。この温度がにがりとよく混ざり合う温度。竹筒に移す時に冷めてしまう事も考慮して75℃と高めに設定した。
もう一つの大事なポイントは、にがりの量。しかし、村のにがりは手作りで適量が判断しきれないので、8〜13ccまでの5段階に分けて、それぞれにがりの量が違った絹ごし豆腐を5つ作る事にした。
最後のポイントは、混ぜる早さ。豆乳ににがりを加えたその時から固まり始めてしまう為、まず竹筒に豆乳を流し込み、そこににがりを加え素早くかき混ぜる。混ぜる猶予は2、3秒。素早くかき混ぜたら、約20分間は絶対に動かさない。


工程E 完成
40分経った所で、早速竹筒を割って確認する。
にがりの量が一番多い13ccの豆腐から割ってみると、残念ながら固まってはいなかった。
にがりが一番多い豆腐が固まっていなかった事に不安を覚えたが、他の4つはしっかり固まっていた。きめの細かく滑らかな絹ごし豆腐がついに完成した。



絹ごし豆腐
[薬味] 西洋わさび、DASH村ラー油、しょうが、ネギ、しょうゆ

湯葉フォンデュ
豆腐づくりで余った豆乳を加熱して、表面に浮かび上がった湯葉を茹でた野菜に巻き取る。
※うちわであおぐと湯葉ができやすくなる。
[食材] じゃがいも、ニンジン、菜の花、たまねぎ


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