【テンカラ釣り】
日本伝統の毛鉤を使った渓流釣り。
欧米発祥のフライフィッシングとは異なりリールは使わないシンプルな漁法。
渓流魚は餌が流れてくる上流に顔を向けている事が多いので、基本的には下流から上流に移動しながら釣りをする。カゲロウの羽化する初夏〜夏は、最も釣れやすい時期。
肘を支点に45℃の角度で竿を振り下ろすのがコツ。


毛鉤の素材集め
まずは毛鉤づくり。毛鉤は針に動物の毛などを付けてモンカゲロウなどの昆虫に見せかけたもの。餌の虫だと誤認させて飲み込ませ釣り上げるので、毛鉤次第で釣れるかどうか左右する。名人は通常、キジの羽やゼンマイの綿などを使うそうだが、僕らは村で取れる素材を活用したオリジナルの毛鉤をつくることにした。まずはキジの毛の代わりとしてカモの毛を拝借した。さらに、名人も初めて使うという犬とヤギと羊毛を村のオリジナルとして使用する為、北登、ヒツジ姉妹、そしてヤギ一家からそれぞれ頂戴した。
集まった毛を見てみて、これらの毛をどうやって虫の疑似餌にするのか想像出来なかった。

毛鉤作り
毛鉤作りはすごく細かい作業だった。ちゃんと作れるかどうか不安だったけれど、瀬畑名人が段階ごとに優しく丁寧に教えてくれたので、最終的には自分オリジナルの毛鉤を作る事が出来た。自分の手で生み出した毛鉤はやはり愛着が湧いた。瀬畑名人も出来映えを褒めてくれたので、ますます愛着が増し、これで絶対に魚を釣りたいという思いがジワジワと浮かんで来た。早く川に行って釣り始めたかったが、まずは村の池でコツを教わりつつ練習をした。


テンカラ釣り
いよいよ本番。近くの川に向かった。まず、ラインと呼ばれる黄色い糸とハリスと呼ばれるテグスの先に、手作りしたオリジナルの毛鉤を付ける。名人の指導のもと、絶対に無くしたくないので、固く結びつけた。
テンカラ釣り、開始。
肘を支点に45度に腕を曲げながら釣り竿、そして糸を操る。空中を舞うかのように黄色い糸が踊り、水上に毛鉤が着水する。なるべく優しく虫だと勘違いするように心掛けながら、竿を操る。毛鉤が川の流れに流されていくのを手で感じ取りながら、魚がかかるのを待つ。毛鉤を落とす場所も重要らしく、この時期よく釣れるイワナやヤマメは流れが合流する場所や岩や草の陰などを好むため、そういった場所に目掛けて毛鉤を落とすようにする。
しかし、これがなかなか難しく、少しでもタイミングを間違えば糸同士が絡んでしまったり、草に毛鉤が引っかかってしまったりとなかなか思い通りの場所にいかなかった。ただコツが掴めていくと命中率も上がった。魚が食い付く感触を待ち続けたが、結局釣り上げる事は出来ず、この日の釣れ高は名人が釣り上げたヤマメ一匹だけだった。また、いつか挑戦して絶対に釣り上げる感動を味わいたいと思った。




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