2010年8月 二番茶・茶摘み
一番茶の初茶摘みから約2ヶ月。一番茶を摘み取った根元の部分から新芽がぐんぐんと生長し一芯五葉の状態に。今回挑戦する紅茶と烏龍茶には、ちょうど良い摘み頃。その五葉のうちの上三葉を摘んだ。この日の収量3kg。今回は、その茶葉を紅茶と烏龍茶と半分ずつ使用した。




紅茶とは
主な産地はインド・スリランカ。
元々中国茶の一種だった紅茶を、19世紀、イギリスが大型な熱帯種の茶葉で生産、輸出を行うようになり、世界中に広まり発展していった。日本でも明治期に、煎茶と同じ茶葉で紅茶がつくられるようになり、輸出された。現在、世界で最も飲まれている茶とされる。
酸化酵素の働きを停止させて作る緑茶と違い紅茶は、陰干しした茶葉に傷をつけて酸化酵素を活発にする。こうする事で、摘んだ時に感じる新緑の香りを無くし、リナロールという柑橘系の爽やかな果実香と、やや苦みがかった香り、ベータヨノンを効果的に引き出すようにつくる。渋み成分の多いアッサム種でつくられることの多い紅茶を、日本茶用品種の茶葉でつくるなら、二番茶シーズン以降の葉が固くなる直前が良いとされている。


工程@ 萎凋(いちょう)
摘んだ二番茶を母屋内に運び、14時間陰干しする。こうする事によって、萎れて加工しやすくなる上、新緑の香りが揮発し、茶葉内部に柑橘系の香り成分が増す。特に実働はないけれど、寝かす事で紅茶の香り成分が10倍になるので重要な工程。

工程A 揉捻(じゅうねん)
陰干しして萎れた茶葉を揉む作業。煎茶では出来るだけ茶葉自体に傷をつけないように揉み、内部組織のみを破壊する事で香りを残そうとしたが、紅茶はあえて外側もしっかりと傷付ける事によって新たな香りを引き出す。本来は機械で強い圧力をかけて行うこの作業を、村では手作業で1時間続けねばならない。過酷な重労働となるが、せめて効率的に、と洗濯板を利用して、初めは優しく、後半にむけ徐々に力を込め、最後は全体重をかけて揉んでいく。洗濯板で茶葉を揉む光景がなんだか不思議でおかしく感じたけれど、茶葉を揉む手からは、あの甘酸っぱい様な、苦い様な紅茶の香りがほのかにして、なんとか手作業ながらも紅茶が出来始めている事を実感した。そして、茶葉の色も赤っぽく変化し始めた。


工程B 発酵
しっかりと揉んだ茶葉を2時間置き、内部で赤色色素が形成するのを待つ。この時、茶葉に濡れた布を被せ、乾燥と香りの蒸散を防ぐ。

工程C 乾燥
2時間後、布を開けて見てみると、放って置いただけの茶葉がかなりの赤さになっている事に驚かされた。
この茶葉を80℃で約30分間焦げないように火にかけ、乾燥させて完成。
乾燥していくにしたがって、風味が増し辺りに広がる紅茶の香りが本当に香ばしくて、早く飲みたいという思いに駆られた。乾燥した茶葉は赤色というより黒に近い褐色に染まり、まさに香りも見た目も紅茶になっていた。



烏龍茶とは
主な産地は中国や台湾。今では最も世界中で飲まれている中国茶になる。
茶葉を陰干しや日干しなどにより萎れさせ、酵素を若干働かせた後、釜で炒ってつくられる。しっかり酸化させない緑茶と酸化させる紅茶の中間的な半発酵茶で、キンモクセイの花のような香りを楽しむお茶。


工程@ 揺青(ようせい)
茶摘み後12時間寝かせるのだが、2時間おきに茶葉を優しく揺する事で表面に、目に見えない程の傷を付けていく。この傷から酸素がゆっくり流入すると、紅茶とは違う種類の香気成分の酸化が進み、あの烏龍茶の風味が出来る。烏龍茶の風味を作る上でとても重要な作業になる。眠い目を擦りながらも2時間おきに一晩中、あの爽やかな香りに思いを馳せつつ優しく揺すった。

工程A 釜炒り
それ以上の化学変化が起きないよう、茶葉に約100℃の熱を約1分間当てることで、各種の酵素活動を止める。長時間高熱を当てると、12時間も寝かせて生まれたせっかくの香りが、今度は焦げ臭くなってしまうので約1分で手際良く熱をまんべんなく与えねばならない。こういった炒り加減などに対する細かな配慮が茶葉の風味には重要なこと。

工程B 乾燥
最後に30分ほど、中火の約80℃で茶葉の水分を4%程度になるまで飛ばす。


屋外でのティータイム。
どちらも香りをメインに楽しむお茶。
紅茶は、香りが発散しやすくなるよう、高い位置からお湯を注ぎ、急須内の茶葉を踊らせ、
烏龍茶も高温の方が、香りが立ち易いという性質を活かし、煎じる前にまず、熱湯で茶器自体を温めた。
飲んでみると、紅茶は奥深くもフルーティーな香りがあり、烏龍茶の方はさっぱりとした爽やかさが口いっぱいに広がった。どちらにも、後味に少し甘い様な、青い様なあの煎茶の風味もかすかにあり、面白いお茶となった。口に残る気がした。
「紅茶・烏龍茶」の他にも、前回つくった「煎茶」、さらに「ティー」(和種薄荷を乾燥させた後煮出した)と「ゴーヤ茶」(薄くスライスして3日間乾燥させ煮出した)をプラス。通常、お茶の分類は「紅茶・日本茶・中国茶・ハーブティー・健康茶」の5つに大別されるが、その全てが一つのテーブルに並べられた事になる。お茶と一言に言っても様々な種類があって、味もそして、楽しみ方もそれぞれ違う。それが今回一度に楽しめた。
ハッカティーはスーッと鼻抜けの良いお茶だったが、ゴーヤ茶の方は健康茶だけあって苦みが少しきつかった。
5種類のお茶。全て村オリジナル。みんなで楽しく飲むお茶は美味しくて、本当にいいティータイムになりました。





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