箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟の元幹事長
第100回大会の運営を統括
月岡葵梨香さん

箱根駅伝は表舞台に立つ選手だけでなく、その背後で支えてきた人々とともに歴史を重ね、多くの記憶を刻んできた。第100回大会が行われた2023年度の関東学生陸上競技連盟(以下、関東学連)幹事長を務めた月岡葵梨香さんも、その歩みを裏側から支えた一人だ。

1919年(大正8年)に設立された関東学連は、競技場で実施する春の関東インカレ、ロードが舞台となる冬の箱根駅伝を中心とした陸上競技の大会運営などを担う団体。大会の規模が大きくなっても運営の主たる部分は“学生主体”で行う伝統が長く受け継がれており、約40名の学生幹事が誇りを持って業務にあたっている。

月岡さんは選手としての陸上競技の経験はなかったが、かねてより憧れていた陸上競技や箱根駅伝へ関わりたいという思いで関東学連の幹事になることを志願。「ある意味では人生が変わったと思います」と、人生のターニングポイントとなる選択となった。

1年時から周囲の信頼を得て、同年度の箱根駅伝では例年2年生が担う補助員派遣の業務を担当することに。

「いろいろな要素が重なった結果ではありますが、大変な役目を1年目からやらせていただきました。先輩にも『(月岡なら)やれる』と思ってもらえたのだと感じてうれしかったです」と、自信を育んでいった。

1年目の終わりには次々期の幹事長選へ立候補。陸上競技経験者の同期に囲まれ、「競技未経験の私が立候補していいのだろうか。ミーハーだと思われるんじゃないか」といった葛藤もある中だったが、最終的に同期からの指名を受け、その学年が4年生になる年度に幹事長へ就任することが決まった。3年時にはその前段階として副幹事長の役職を担った。

大会準備の業務と学業の両立で時間は目まぐるしく過ぎていった。特に4年目は多忙を極め、朝8時50分開始の1限から授業を受け、午後は毎日のように学連事務所で業務に邁進。大変ではあったが、その中で効率的な時間の使い方を身に付けることができた。

就職活動さえ周りの学生が本格的に動き出す時期には着手できず、関東インカレ終了後の5月半ば過ぎにようやく取り組める状況と、歯を食いしばる日々だった。

準備に準備を重ねて迎えた第100回箱根駅伝の前日、2024年1月1日には能登半島地震という誰にも予期できない事態も発生。このとき月岡さんは「大会が開催されるものとして準備を進めるしかない。ここまでにやれることはやってきた」と肝に銘じ、大きく取り乱すことなく対応に当たった。

予定通り実施する運びとなった大会当日、檜舞台で人々からの注目を集めるのは出場各チームの選手たちだ。

そのうえで月岡さんは「一般的に見れば、私が箱根駅伝の中心にいたとは言い難いと思います。やっぱり主役は選手なので・・・・。でも、自分自身の箱根駅伝の主役ではあったと思っています」とその日を回顧する。
 

大会中に大手町・箱根間を移動する車中から眺める箱根路で、その思いを深めていった。

「関わってくださるいろんな方の中に、自分自身の箱根駅伝がある。例えば、毎年同じ交差点に立ってくださる審判員の方が、個人的にその場所の資料を作ってくださったこともありました。また、私たちの準備がなければ、コース付近に並んでいる柵などの備品も用意できていなかったのかもしれないと思うと、大会を支えることができているのだと実感できました」

“大会を成功させる”という目標を成し遂げた経験は、今も月岡さん自身を支えている。

「大変だった時期を乗り越えられたことは大きいです。あれができたのだから、これから降りかかってくる大変なことにも対処できるだろう、という自信につながっています」

箱根駅伝で得たのは、スポットライトの当て方を変えれば、誰もがそれぞれのステージの中心にいる、という気づきと手応え。「自分の人生の主役は自分なんだ」という捉え方ができるようになっていった。

今度は後輩世代の挑戦へ、背中を押す番だ。「『今の自分には無理』とか、『人からどう思われるかな』といった心配があるかもしれませんが、まずはやってみる、というのがいいと思います」とエールを送る。

「始めてみてから、自分の理想や目標に向かって最大限の努力をできればいいと思います。『ここまで努力して、それでもダメだった』というのは諦めもつくと思うので、まずは最大限努力をするべきだと思います」と力強く語っている。

迷いながらも幹事長へ立候補し、やり通せたことがその気持ちを裏打ちしているそうだ。

月岡さん自身は大学卒業後、IT企業に就職して勤務する傍ら、関東学連の総務委員として積極的に箱根駅伝との関わりを続けている。

「学連幹事は4年ごとに人が入れ替わりますが、今までのどの代が欠けても大会が成り立っていなかった。私もその一部になれたと卒業してから感じるようになり、自分の中で大切にしていきたいと思っています。箱根駅伝は、私が魅了されたように、これからもいろんな方を魅了し続ける大会であってほしい。それに貢献できたら幸せです」と意欲に満ちて活動を続ける。

職業人としての月岡さんは次の目標を模索している段階で、「挑戦を続けていきたい」と、未来に向かって今も進んでいる最中だ。
 

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