例年好記録が誕生する長距離種目の記録会、八王子ロングディスタンスが11月25日に八王子市上柚木公園陸上競技場(東京)で行われ、箱根駅伝で連覇を目指す駒澤大学のエース格、鈴木芽吹選手(4年)、篠原倖太朗選手(3年)、佐藤圭汰選手(2年)が出場しました。
10000mの最終7組に登場した3選手は、同種目の前日本学生記録保持者のワンジク・チャールズ・カマウ選手(武蔵野学院大学)がペースメーカーを務めた第2集団でレースを進めました。5000mの通過は13分50秒前後とハイペース。それにもかかわらず、今回初めてトラックで10000mのレースに挑んだ佐藤選手は「終始余裕を持ってレースを進めることができた。ラスト1周までは全然きつくなくて、良い感じで走れました」と言います。
そして8000m過ぎ。佐藤選手がペースメーカーの前に出て、鈴木選手、篠原選手も続きます。負けじと、社会人の葛西潤選手(旭化成、創価大学OB)がこの集団を引っ張る場面もあり、日本選手トップ争いは4選手に絞られました。
9000mを過ぎて佐藤選手と鈴木選手の一騎打ちに。最後は、佐藤選手がラスト1周で先輩を突き放し、日本選手トップでフィニッシュしました。
記録は27分28秒50。従来のU 20日本記録をなんと約30秒も更新する新記録を打ち立てました。「27分40秒を切れるとは思っていたが、20秒台でくるとは思わなかった」とは駒澤大学の大八木弘明総監督。恩師の想定を大きく上回る快走を見せた佐藤選手は、これで1500m、5000mに続き、3種目のU 20日本記録保持者となりました。また、初10000mにして、日本歴代5位、日本選手学生歴代2位にランクインしました。
「最低でも27分50秒切りぐらいを目標にしていた。思ったよりタイムが出たので、非常に良かった」と佐藤選手は記録については納得を口にしていました。しかしながら、「先頭のケニア人集団では全然勝負できない。自分がこれから目指していくところは世界のレベル。世界を見たら同年代でも26分台もいますし、ここで満足しちゃいけない。もっと上を見て頑張っていきたい」と気を引き締め直していました。
4年鈴木・3年篠原も揃って自己ベスト更新
駒澤大学の選手は、鈴木選手も27分30秒69と自己ベストを10秒以上更新する快走を見せました。篠原選手も27分38秒66の自己新記録。それぞれ日本選手学生歴代3位、5位の好記録でした。
「チームとしてこういう結果を出せたことはすごく大きい。他校に対して“駒澤は一段違うんだぞ”っていうのをしっかり見せられたかなと思います」
こう話すのは主将の鈴木選手。今季、駒澤大学はすでに出雲駅伝、全日本大学駅伝を制していますが、ここでも圧倒的な存在感を示しました。
それでも、「箱根で勝つのは簡単ではない。良いタイムは出しましたが、あくまでもトラックなので、これが駅伝につながるかというと、必ずしもそうではないと思う。これから1カ月ちょっと箱根に向けての練習をしっかりと積み上げていきたい。ケガや体調不良がなくやれれば、絶対に勝てるチームだと思うので、そこを注意していきたい」と、気を緩めることはありません。史上初の2年連続学生駅伝三冠へ、駒澤大学の勢いはさらに加速するばかりです。
中央大のエース・吉居(4年)も自己ベストをマーク
その他の大学生ランナーでは、最終組で東京国際大学のリチャード・エティーリ選手(1年)が、自身の持つ日本学生記録(27分06秒88)には及ばなかったものの、27分15秒53の好記録で走りました。10月の箱根駅伝予選会では転倒し、チームも本大会出場を逃しましたが、元気な走りを見せました。
また、中央大学のエース・吉居大和選手(中央大学)は、駒大勢の後方でレースを進めていましたが、28分01秒02の自己ベストをマークし、フィニッシュ後には笑顔を覗かせました。8月下旬に新型コロナウイルスに感染した影響もあって、出雲駅伝は欠場し、全日本大学駅伝も3区11位と本来の力を発揮できませんでしたが、箱根駅伝に向けて調子は上向いているようです。