秋の伊勢路を舞台に全日本大学駅伝が11月5日に開催されました。全国8地区から25校と本学連選抜、東海学連選抜の計27チームが参加し、愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までの8区間106.8kmで熱戦が繰り広げられました。
圧巻のレースを見せたのは駒澤大学でした。
1区の赤津勇進選手がラストスパート合戦を制して先頭に立つと、2区・佐藤圭汰選手は区間新記録を樹立し2位以下を大きく突き放します。そして、3区以降は独走。2位に3分34秒もの大差を付けて、4年連続16回目の優勝を果たしました。
出雲駅伝に続き、伊勢路も制し、史上初めての2年連続学生駅伝三冠(出雲駅伝、全日本、箱根駅伝)に王手をかけました。
「選手たちが伸び伸びとしっかり走ってくれて、(全日本で)2度目の4連覇、今年度の二冠目となる優勝を届けてくれました。他大学に隙を与えることなく、今の駒澤大学の強さをしっかり示すことができた。今日のレースに関しては満点に近い評価を選手たちに与えたいと思います」
今季から指揮をとる藤田敦史監督は、選手たちをこのように称えていました。
◆ 昨年度から続く圧巻のレース内容
まさに王者の走りと言っていいレース内容でしょう。
今年の箱根駅伝の4区で現主将の鈴木芽吹選手がトップ中継して以降、10月の出雲駅伝、今回の全日本大学駅伝と学生三大駅伝で21区間連続で先頭でタスキをつなぎ、フィニッシュに駆け込んでいます。
また、昨年度の三大駅伝は全て区間5位でしたが、今年度は出雲、全日本と2レースを終えた時点で、全区間で区間3位以内と昨年度以上に安定感が際立ちます。
今回の全日本では、全8区間中4人が区間賞を獲得し、区間2位が3人、区間3位が1人というレース内容でした。
区間3位だったのはエース区間の7区を走った鈴木選手ですが、それは、12時時点で気温が22度という季節外れの暑さのなか、昨年度、先輩の田澤廉選手(現・トヨタ自動車)が打ち立てた同区の区間記録に挑戦した結果でした。前半から果敢に飛ばしたため、終盤にペースダウンし、区間新記録はおろか、6秒差で区間賞も逃しました。
「気象条件もあって難しかったのもあるんですけど、まだまだ自分が弱いのが一番(の理由)だと思う。もっともっと自信をつけて、箱根ではペース配分なども考えて走れるようにしていきたいです」
区間3位は十分に好走と言っていいはずですが、学生長距離界を代表する鈴木選手は、自身の走りを甘く採点することはありません。
箱根駅伝で納得のいく快走を見せるために、気持ちを切り替えていました。
◆ 4年生の力で快挙達成へ
今回の全日本大学駅伝で、駒澤大学は4年生が4人出走しました。
「結局チームは4年生だと思う。4年生がどれだけしっかりやれるか(が大事)」と主将の鈴木選手が言うように、さらに距離が伸びる箱根駅伝では、最上級生の出番が増えるでしょう。
「補欠に回った白鳥(哲汰)と花尾(恭輔)は、今回の全日本を走ってもおかしくはないくらい調子がよかった。副キャプテンの金子(伊吹)や唐澤(拓海)は今回はメンバーに入れませんでしたが、本当に良い練習ができている。箱根のメンバーには確実に入ってくると思う。チームとしても“4年生力”がどんどん高まっていくと思うので、それに応じて良いチームになっていくと思います」(鈴木選手)
箱根駅伝連覇、そして、2年連続の学生駅伝三冠へ、強力な4年生がチームを導きます。
「出雲は出雲で全力で取り組み、全日本は全日本で全力で取り組みました。次の箱根駅伝でも、我々は負けるつもりはございません。全力で箱根を獲りにいって、三冠を達成したいと思っています」
箱根駅伝制覇へ視界は良好ですが、指揮官は全く手を緩めるつもりはありません。
「(箱根を走る)10人にプラスして(補員の)6人も誰でも走れる状態を作りたい。その上で選ばれた10人だったら絶対に勝てる」と主将の鈴木選手も、圧倒的な力で箱根駅伝も勝ちにいくつもりです。