日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区 代表取締役 社長執行役員 石澤 顕、以下日本テレビ)は、(一社)映像情報メディア学会にて、「技術振興賞コンテンツ技術賞」を受賞致しました。技術振興賞は8年連続での受賞となります。
 この賞は毎年、映像情報メディアに関する研究や開発等で著しい功績をあげた個人、団体に授与されます。
 日本テレビでは、今後も積極的な新技術の開発・導入により、皆様への魅力的なコンテンツ提供と番組制作に取り組んでまいります。

■受賞テーマ:
ビデオペンシステムの開発と機能拡充

 これまでビデオペンというシステムは、主に「フリーハンドによる軌跡描画機能」のみが注目されてきました。しかし、本開発ではその直感的な操作感に着目し、画像認識などの機能を誰でも簡単に扱うことができるシステムへと再開発しました。その操作性の高さから様々なコンテンツへ広がりを見せ、以下の点でコンテンツの新しい表現や番組制作の効率化に大きく貢献しました。

  1. 映像上の人物をタッチすることで、これまでは後編集で追加していた追従CGをリアルタイム表示できます。これにより、生中継においても一目でどの選手に注目すべきかを視聴者に分かりやすく伝えることが可能となりました。(写真1参照)
  2. PC画面等の文字を囲むだけで文字認識し、選手の得点データをテロップへ即座に反映することができます。これまではプレー中の選手情報をオペレータが読み取りデータ入力していましたが、これにより人力では間に合わずに出せなかったプレー情報も瞬時にテロップへ反映でき、制作現場の省人化とコンテンツ情報の価値向上を実現しました。
  3. 駅伝やマラソンにおいて、中継車の現在位置を表示するPC画面を囲むことで文字認識し、合成音声と組み合わせることで、中継車の位置情報を各中継ポイントに伝える業務を自動化しました。これにより、位置情報の読み上げを行う人員の省人化と中継現場の安定運用に貢献しました。
  4. 試合中に表示されているタイマーを囲むことで、試合時間と連動しながら会場の歓声を分析し、試合の盛り上がり度をAIが算出するシステムを開発しました。本企画はハーフタイム中のワンコーナーとして、日本テレビが中継した全19試合にわたってラグビーW杯を盛り上げ、スポーツのハイライトシーンに新たな軸を提供しました。(写真2参照)

 以上のようにマルチな機能を搭載しながらも、事前準備が簡単でオペレーションが直感的であるなど、その技術と工夫が高い評価を受け受賞に至りました。

写真1:選手をタッチすることで足元にCGをリアルタイム表示
写真2:タイマー表示を囲むだけで試合時間と連動しながら試合中の盛り上がり度を分析・記録

●受賞者のコメント
★起案/開発 篠田貴之(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
★起案/開発 岸楓馬(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
★起案/開発 三浦祐樹(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
 これまでも弊社ではAIをはじめとするさまざまな技術開発を行い、制作現場の省力化や新たな演出に取り組んで参りました。今回はそのような各種機能を統合し、「多機能でありながら誰でも簡単に扱えるデバイス」を開発いたしました。本システムは社内開発ならではの機能追加の柔軟さが特徴であり、今後も様々な新技術の機能追加が期待できます。その結果、制作現場の誰もが簡単に新技術を活用でき、視聴者の皆様へさらなる価値を提供できると考えております。これからも、分かりやすいCG表現や新しい映像体験をより多くの視聴者の皆様へお届けできるよう、開発を進めて参ります。
 

~過去の映像情報メディア学会 技術振興賞 受賞歴~
※受賞時の年度で記載しております

2023年 ●コンテンツ技術賞
「ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継」
※技術協力:キヤノン株式会社
●進歩開発賞(現場運用部門)
「AI自動モザイク編集ソフト「BlurOn」(ブラーオン)の開発」
※共同開発:株式会社NTTデータ
2022年 ●進歩開発賞(現場運用部門)
「AIによる業務効率化と番組新表現を実現する社内開発システム『エイディ』」
●進歩開発賞(現場運用部門)
「WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール『クラポ』の開発」
※共同開発:日本電気株式会社 技術協力:オクルウェブ合同会社
2021年 ●コンテンツ技術賞
「AIキャッチャーの開発と運用」
※共同開発:データスタジアム株式会社
2020年 ●コンテンツ技術賞
「画像認識AI技術によるフィールド競技のコンテンツ解析と制作」
※協力:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社
●進歩開発賞(現場運用部門)
「テレビ番組制作支援用『AI顔認識』システムの開発」
※共同開発:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社
2019年 ●コンテンツ技術賞
「アンドロイドアナウンサー・アオイエリカの開発と運用」
●進歩開発賞(現場運用部門)
「ヘリコプター空撮支援マップシステム」
※共同開発:株式会社コスミックエンジニアリング
●進歩開発賞(現場運用部門)
「画像認識AI を用いた番組応用と展開」
※共同開発:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社
2018年 ●進歩開発賞(現場運用部門)
「ロードレース中継における画像認識技術を用いた制作支援~AIを用いたReal-time Indexing~」
※共同開発:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社
●進歩開発賞(現場運用部門)
「ネットバンドカメラの開発と運用」
※共同開発:株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ
●コンテンツ技術賞
「テレビドラマの世界観をいつでもどこでも会話で楽しめる『AIカホコ』」
2017年 ●進歩開発賞
「情報漏えい防止型SDメモリカード『インターフェースロック機能Mamolica™ 付きSDメモリカード』の開発」
※Mamolicaは東芝メモリ株式会社の商標です

<以降省略>

以上
日本テレビ放送網株式会社 総務局広報部