大自然に囲まれた文化都市・シャンベリー。
ここに、フランス革命に大きな影響を及ぼした思想家、ジャン・ジャック・ルソーが暮らした家があります。
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放浪の旅を続けていた彼が、13歳年上のヴァランス夫人と出会ったのは、16のとき。
密かに愛を育み、人里離れたこの家で、ようやく二人が一緒に暮らし始めたのは、それから8年後のことでした。
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ただ微笑みあうだけで、心が優しくなる満ちたりた時間。
ルソーは、夫人を「ママン」と呼んで憚りません。
彼女は、生まれて僅か9日目に失った、母のぬくもりそのものでした。
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けれど、空が白むまで語り明かした日々にも、やがて別れのときが訪れます。
夫人に新しい恋人が出来たことを知らされるルソー。
孤独と切なさを噛み締め、この家を後にしました。
それは、母の幻影からの決別でもあったのです。
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「日の出とともに起きて幸福だった。散歩をして幸福だった。
ママンを見て幸福だったし、そばを離れて幸福だった」(『告白』より)
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今回の放送のBGM♪
「One More Time」Richard Marx
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次回(2003年8月20日)の『心に残る家』は ハイドン 『音楽に打ち込んだ晩年の家』をお送りします。 お楽しみに。 |
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