■ 安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)   5月18日放送

 祇園の町にある安井金比羅宮は、昔から人々の厚い信仰を集めてきました。そして今では、「縁切りの社」として知られています。
 境内にある「縁結び・縁切りのいし」は、無数のお札が張られ、そこにうがたれた穴をくぐると縁切りと縁結びがかなうといいます。奉納された絵馬にも、さまざまな縁切り・縁結びの願いが書き込まれており、この神社が人々にとって大切な社だということがよくわかります。
 境内の絵馬館には、江戸時代からのさまざまな絵馬が展示され、その豪華さに圧倒されます。そして現代に至るまでの、有名無名の人々の絵馬に書かれた絵やイラストが、訪れるものの目を楽しませてくれます。



京都・祇園は恋の町。
今も数限りなく繰り返される愛と別れ。

祇園のはずれにある安井金比羅宮は、いつの頃からか、
「縁切りの社」として知られるようになりました。
願いを込めたお札が無数に貼られた境内の石をくぐれば、
悪縁が切れ、良縁(しあわせ)がおとずれる。


絵馬に込められた想い。
燃え尽きてしまった恋の幕を引き、愛せなくなった人と別れたい。
愛しいあの人を取り戻し、再び愛されたい。
願掛けと呼ぶにはあまりに赤裸々な心の叫び。


江戸時代の豪華な絵馬を見ていると、
この社に祈る人々の様々な思いに心打たれます。
富める者は大作を納めて祈り、その絵馬は歴史に残る。


一方で庶民は、
はかない小さな絵馬に願いを込める。心の葛藤は同じです。
病を逃れ、愛を捨て、幸(さち)を待つ。
そして、身を絞るような母の祈り。


神様はそんな人々の心のつぶやきに、今も耳を傾け続けています。


 縁を切るというのは、縁を結ぶよりももっと難しいこと・・・そんな印象をこの神社を訪れる人は持つことでしょう。それぐらい真剣な祈りと願いが絵馬に書き込まれ、驚いてしまいます。
 もちろん男女関係ばかりでなく、病気・悪癖・悪友などとの決別を願ったものも多くありますが、一人一人の複雑かつ真剣深刻な事情が見え隠れし、過去の文化財の町という京都のイメージが、今も人が生き、営みが続く町なんだなあという思いに変わっていきました。
 そして絵馬館のコレクションは文句なしに楽しく、手塚治虫や水木しげる、あの歌手、あのタレント、自ら描いた面白い絵馬の世界は、難しい歴史の探訪が苦手な方にも大いにお勧め出来るスポットです。


「ナウシカ・レクイエム」
演奏/作曲:久石 譲