■ 金福寺(こんぷくじ)   8月24日放送

江戸時代中期、芭蕉と交流のあった鉄舟和尚が再興した臨済宗の小さな禅寺。本堂前の枯山水の庭は借景の東山と点景の茅葺の屋根が穏やかな風情を醸し出しています。この風情に惹かれて江戸時代の偉大な俳人松尾芭蕉は度々この寺を訪れ和尚と歓談し、また与謝蕪村は多くの句を残しました。こうした事から現在、金福寺は俳諧の聖地として知られています。
江戸末期には「花の生涯」のヒロイン村山たか女が安政の大獄で生きさらしの刑に処せられたのち終生暮らした寺でもあります。




東山の山麓に佇む禅寺、金福寺。
松尾芭蕉、与謝蕪村。2人の文人が愛したこの寺は今も俳諧の聖地として知られています。


低く刈り込まれたツツジと白砂の庭に、キキョウの花が彩りを添えています。


茅葺き屋根の柔らかな印象が禅寺であることを忘れさせます。

そんなこの寺の穏やかな風情を愛したのが俳諧を芸術にまで高めた松尾芭蕉。


この庵で住職と禅や風雅について度々語り合ったといいます。

その70年後、荒れ果てた庵を再興したのが芭蕉をただ一人の師と慕う与謝蕪村。

蕪村は芭蕉ゆかりのこの寺で、句会を催して衰退した俳諧を再興します。


寺に残る蕪村の質素な文台や硯箱が蕪村の人柄を偲ばせます。


師と仰ぐ芭蕉ゆかりの寺で永遠の眠りについた蕪村。

偉大な2人の文人が愛した金福寺です。


禅寺の枯山水の庭といえば竜安寺の石庭のように凛とした緊張感が思い浮かびますが江戸中期という時代がそうさせるのでしょうか金福寺は正反対の牧歌的なノンビリとした印象の庭です。

茅葺屋根の持つ鄙びた風情は俳句にはふさわしい情景で芭蕉・蕪村がこの寺を愛した訳が分かるような気がしました?。そう思って眺めるとツツジの植え込みの流れが五七五の俳句のリズム感に似ていると思えてきて(考えすぎ!)結構楽しい時間が過ごせます。


「 前進 」(アルバム「優しさの意味」より)
作曲/演奏:西村 由紀江