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| この閻魔法王は、死者を裁く恐ろしい存在というよりは、死者の面倒を見る冥界の支配者として祀られており、見開いた琥珀を嵌め込んだ目や大きく開かれた口の迫力は凄まじ いものの、どこか優しげで慈悲を感じるのはその為かもしれない。 境内には、不賢象桜(ふげんぞうざくら)という非常に珍しい桜がある。遅咲きの八重 桜で、丸みを帯びた愛らしい形の花を付け、その色は桃色に近く咲き始めから次第に 濃くなっていく。散り時には、花びらが舞うのではなく椿のように花の房ごと落ち、 木の下は一面の花になって、さながら散華のようである。京都でも非常に珍しい種類 で、昔から「閻魔堂不賢象桜」として庶民はもちろん公家や将軍家などにも愛されて きた。室町幕府の将軍・足利義満はその美しさに心を打たれ、「この桜の盛りに、狂 言を催すべし」と命じたという。それが、今に伝わる「千本閻魔堂狂言」である。桜 の開花に合わせるように、5月1〜4日に境内で演じられる。その時に使用されるお 面は、現在も面師・藤村龍玄氏によって作られており、般若心経が書かれた和紙を丹 念に水に溶いて、様々な表情が出来上がっていく。葬送の地でありながら、桜と狂言 を心から楽しんだ京都の庶民の逞しさと、生と死が当たり前のように隣り合わせ立っ た昔の暮らしぶりが、この小さな寺には生きている。 |
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![]() 平安時代に、死者を葬る土地に建てられた「千本えんま堂」。 あの世への入口で、えんま像は 人々の畏敬の念を一身に集めてきました。
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![]() 戦や疫病など、生と死が隣り合わせだった時代。 検事と書紀を従えた、その圧倒的な迫力に、死後の幸せを祈る庶民は、恐れよりも信頼を感じたのでしょう。
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![]() 人々は生命のはかなさを知るゆえに、えんま像に拠り所を求め、そして、生きる喜びを境内の普賢象桜に託しました。
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![]() 京都でも非常に珍しい、丸みを帯びた愛らしい桜。この遅咲きの花を愛した室町の将軍・足利義満は、「この桜の盛りに、狂言を催すべし」と命じました。
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![]() 般若心経を丹念に溶かして作る狂言のお面。 今も5月初旬に催される「えんま堂狂言」で、その表情が人々の笑いを誘います。
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![]() あの世の入口で、底抜けに明るい狂言に笑いさざめき、桜に酔う、京都の庶民の暮らし。 現世の憂いを忘れた、春の終わりの数日が、はるかな時を越えて、今年もまた蘇ります。
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![]() 「 whispering 」 作曲者:吉村 弘 演奏者:吉村 弘 |
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