
今週は天龍寺を訪ねます。

嵯峨野、嵐山の夏。

京都五山第一位の名刹、天龍寺が
暑さを拒絶するかのようにその威容を誇ります。


この禅寺は、夢窓疎石が足利尊氏を説き
後醍醐天皇を弔うために建立されました。

方丈と疎石の手による庭園に漂う禅の心。

疎石はそれまでの鑑賞する庭とは違った
禅の修業の場としての庭を生み出したのです。

鯉が滝を昇って龍になる龍門瀑(りゅうもんばく)の石組みや
嵐山を取り込む借景の手法は
後の庭園に大きな影響を与えました。


平成九年に完成した法堂(はっとう)の雲龍図。

何処から見てもその人を睨む「八方睨みの龍」が
天井を舞っています。

龍の気迫が周囲の竹林にまで伝わっていくようです。

今回の狙いの一つが雲龍図です。ところが何度も天龍寺で撮影をしてきたスタッフ全員、この雲龍図を撮影したかどうか思い出せません。というのもほとんどの大きな禅寺には天井の雲龍図があって何か所も撮影しているのでその中に天龍寺もあったかどうかあやふやなのです。
とにかく迫力のある絵を撮ろうと持ち込んだのが写真のL字型の器具。三脚の上にカメラがロケットのように据えられます。こうすると絵の中心(例えば龍の左目)を動かさずに回転できます。普通は竹林のカット(ラストカット)のようにカメラは真上を向いてもレンズは三脚の周囲を廻るのでレンズの中心と画面の中心にズレが生まれるので、まるで印象の違った回転になります。

