第10章 首飾り事件

 

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン
《白いペチコートに青いルダンゴト・ドレスを羽織って座るマリー・アントワネット》

サンクト=ペテルブルクに亡命したヴィジェ・ル・ブランは、パリに留まった画家で画商の夫ジャン=バティスト・ピエール・ル・ブランに頼んでこの作品を送ってもらい、1818年まで手元に置いていた。おそらくこの作品は、モデルにポーズを取らせることなく、自主的に制作したのだろう。この絵は、画家が1787年に王室建造物局から注文を受けた最後の作品である《マリー・アントワネットと子どもたち》の一部を援用している。顔と姿勢にはほとんど変わりがない。プーフ〔髪型に使う飾り付きクッション〕にはダチョウの羽根飾りがついている。真珠の首飾りをつけ、右手に本を一冊持っており、そのカバーに王妃の紋章が型押しされている。

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