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 日本の春!サクラの謎  #675 (2003/03/30) 

 日本の春を彩る花、サクラ。サクラが咲くと、いよいよ本格的な春到来です。しかし何とか人よりも早くサクラを楽しめないか、と科学の素浪人矢野左衛門がぜいたくな事を言い始めました。はたしてそんなことは可能なのでしょうか?

花の大きさ  サクラの代表格は、ソメイヨシノ。矢野左衛門がその苗木を見に行きました。すると驚いたことに、苗木は全て接ぎ木だったのです。台木になっているのは、オオシマザクラ(葉が桜餅に使われる)というサクラでした。
 実はソメイヨシノは、江戸時代に人によって作られた木だったのです。掛け合わせたのはオオシマザクラとエドヒガンという2つの野生種。オオシマザクラは花が大きいのですが、花と葉が同時に出ます。そしてエドヒガンは、葉よりも先に花が咲くのですが、花が小さいのです。この2つを掛け合わせることで、ソメイヨシノは大きな花だけが葉に先んじて咲く桜になったのです。まさに観賞用にはもってこいでした。
 しかし園芸種なので、種子が出来にくく、また出来たとしても同じような花が咲く可能性が少ないため、接ぎ木によって増やすのです。

所さんのポイント
ソメイヨシノは、オオシマザクラとエドヒガンの掛け合わせで作られた園芸種だった!

 人間によって作られたソメイヨシノは、今危機にさらされていると言われています。下手をするとここ数年で急減!? 実はソメイヨシノの寿命は100年から130年野生種が300年なのに比べて半分しかありません。現在我々の目を楽しませているソメイヨシノ明治時代に植えられたもの。なのでそろそろ寿命が来ようとしているのです。
 そしてソメイヨシノは、園芸種なので決して強い木ではありません。ソメイヨシノの幹に穴が空き、そこから根のようなものが出ていたらご注意。これは不定根というもので、傷などによって腐り穴の空いたソメイヨシノの木が、なんとは栄養を摂り復活しようと、そこから根を出しているのです。こうなったら末期状態。みなさん、ソメイヨシノはくれぐれも傷つけないよう。

開花したサクラ
 いよいよ矢野左衛門が、ソメイヨシノの早咲きに挑戦です。方法は簡単。ビニールハウスを作り、中を暖房で暖めるだけ。ソメイヨシノは、立春からの最高気温の積算が540度くらいになると開花するといわれています。  実験開始日は3月15日。前日までの積算温度は406.6度でした。そして暖房の設定温度は27度。ならば4日後の19日には開花するはずだったのですが、実際は21日に開花、そして22日には満開になったのです。東京での今年の開花は27日だったので、見事早咲きに成功!

所さんのポイント
ソメイヨシノは、立春からの最高気温の積算が約540度になると開花する。暖めれば、早咲きは可能!


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