知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


入門! 発光ダイオード
第773回 2005年3月20日


 最近信号機が、よく見ると電球ではなく何やらブツブツしたものの集まりになっています。実はこれが発光ダイオード。最近、夜を彩るイルミネーションもこの発光ダイオードに代わり、また電化製品のパイロットランプには長年使われているなど、もはや生活には欠かせないものになっています。そこで今回は、科学の素浪人・矢野左衛門が発光ダイオードに迫りました。

 そもそも発光ダイオードとは、電気を流すと発光する約0.2ミリ角の部品を透明なエポキシ樹脂が包んでいるもの。電器店でも簡単に買うことができます。
 では、発光ダイオードと電球では何が違うのでしょう。現在、次々と取り替えられている信号機で比較すると、従来使用されていた60Wの電球に比べ、発光ダイオードだと3分の1から7分の1の消費電力で済むのだそうです。つまり発光ダイオードは、非常に省電力な照明だということがわかります。
発光ダイオードと電球  さらに矢野左衛門は、メーカーで10年前から点灯し続けている発光ダイオードの信号機を発見しました。従来の電球式の信号だと年に1回は電球交換が必要だったのに、発光ダイオードだと10年以上切れずに点いているというのです。発光ダイオードは長寿命というのも特徴なのです。白熱電球と寿命を比較すると、電球の寿命が1000時間〜1500時間なのに対し、発光ダイオードの寿命は5万時間以上。実に50倍近く長持ちするというのです。取り替えづらい電化製品のパイロットランプに発光ダイオードが使われているのには納得がいきますよね。

所さんのポイント
ポイント1
我々の身近に使われている発光ダイオード。特徴は、省電力と長寿命なのだ!

 なぜ、発光ダイオードの約0.2ミリ角の発光部分は光るのでしょう。実はここに半導体が使われているのです。半導体とは、電気を通す導体と、通さない絶縁体の間に位置する物質で、トランジスタやIC、パソコンのCPUなどにも使われています。この半導体には、電気の「プラス」が動くp型半導体と「マイナス」が動くn型半導体という2種類があり、この2種類の半導体を合わせて電気を流すと、半導体を合わせた部分で「プラス」と「マイナス」がぶつかり、エネルギーとなって接合面から光が出るのです。

2つの半導体から出た光  一方、電球が光る仕組みというのは、電気によって電球の中心にあるフィラメントを加熱し、その熱から出た光が明るくなるのです。だからサーモグラフィを使って発光ダイオードと電球の温度を比べてみると、電球の方はどんどん上昇するのに対し、発光ダイオードはほとんど上がりません。電球のこの熱エネルギーは、照明という意味では無駄なものなのです。一方、発光ダイオードは電気エネルギーを直接光エネルギーに変えるため、とてもエネルギーの効率が良いのです。

 発光ダイオードの電球にない特性といえば、発光ダイオードの光そのものに色がついていること。だから消灯すると発光ダイオードは無色。これが信号機に使われる1つの利点。太陽光が入っても発色しないため、西日などが入っても点灯したように見えないのが大きな利点なのです。
 発光ダイオードは、様々な色に光ります。この色の違いは、半導体に使われている元素によって決まります。最近、話題になったのは青色発光ダイオード。特許をめぐって裁判にまでなりました。一体青色ダイオードの何がすごかったのでしょう?それは青が出来たことで、赤、緑、青の光の3原色が全て揃ったからなのです。この3色が揃ったことで、3色全てを光らせることで白い光も出せるようになり、またテレビのようにあらゆる色が表現出来るようになったのです。
 更に発光ダイオードの光には、一般の蛍光灯などとは違い、紫外線が含まれていません。紫外線が含まれないと明かりに虫が寄ってこなかったり、美術館などに展示されている写真や絵画などを色あせたりしなくなるのです。
 半導体および発光ダイオードの研究は、現在でもさかんに行われており、将来、発光ダイオードは未来の照明になりうるかもしれません。

所さんのポイント
ポイント2
日本人が青色発光ダイオードを開発したことで、発光ダイオードで白を始めとしてあらゆる色を表現出来るようになった!




物・その他編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧