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日本一の湯! 別府温泉
第804回 2005年10月30日


 だんだん寒くなってきましたが、こんな時期に日本人と言えば、やっぱり温泉ですよね。そこで、今回のテーマは別府温泉。別府温泉は、通称「別府八湯」と言って、8つの温泉に分かれているのだそうです。今回、矢野さんがその別府八湯を巡りながら、4つの秘密に迫りました。

 1つめは「美人の湯の秘密」。よく温泉には美肌効果のある、美人の湯といわれる温泉がありますよね。別府にもあるのですが、お肌をきれいにしてくれるのなら、洗濯物もきれいにならないのでしょうか?
 そこで洗剤を使わずに、美人の湯と水道水を沸かしたお湯で、カレーのシミがついたシャツを洗ってみました。すると、なんと美人の湯で洗ったシャツの方が、汚れが落ちたのです!これは、一体どういうことなのでしょう?
 実は、美人の湯の泉質はPH8.9というアルカリ性。アルカリ性には、タンパク質を溶かす性質があり、これが汚れの落ちた1つの理由です。さらに、アルカリ性の物質は、油に混ぜて固めると石けんを作ります。実は、カレーの油汚れとアルカリ性のお湯で、石けんができたとも考えられるのです。
 つまり美人の湯では、アルカリ性の温泉が人間の皮脂などの体の老廃物を洗い流すのでスベスベになるのです。

 2つめは「色つき温泉の秘密」。よく温泉のお湯って、白っぽくにごっていたりしますよね。しかし別府には、元々は透明なのに、その後青くなり、最後は白く濁る温泉があったのです。一体、どういうことなのでしょうか?
青色と白く濁った温泉  その秘密は、乾燥剤でお馴染みの、ケイ素の酸化物シリカが含まれているため。シリカは時間がたって温度が下がると、粒子がつながって大きくなる性質を持っています。
 まずシリカの粒子が大きくなると、それまで水の中をまっすぐ進んでいた赤・緑・青の三原色の光のうち、青の光だけが粒子にあたり散乱するようになります。このとき、お湯は透明から青色に変わります。
 さらに粒子が大きくなると、今度は青の光だけでなく全ての色の光を散乱するので白く濁って見えるようになるのです。これが透明から青、そして青から白へと変わる秘密だったのです。
 実は、日本全国にあるにごり湯は、このシリカや硫黄の粒子が大きくなり、光を散乱させることで、白く見えていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
美人の湯は、アルカリ性のお湯が老廃物を洗い流してくれる。
また温泉は、含まれている粒子が大きくなると白く濁って見えるのだ!


 3つめは「湯けむりの秘密」。別府名物と言えば、湯けむり。なぜ別府には湯けむりが多いのでしょうか?
 そこで、湯けむりがたつ温泉の源泉の温度を測ってみると、なんと98.4℃もありました。湯けむりというのは、いわゆる蒸気。つまり、温泉の温度が高いところに湯けむりができるのです。
湯けむり  このように100℃に近い温泉を沸騰泉といい、実は日本全国の温泉の中でも、わずか4%しかないのです。ちなみに、湯気がたちこめる草津の湯畑の温度も55.7℃しかありません。また、日本最古の道後温泉は20℃から55℃までの温度の源泉です。そのくらい、90℃以上の源泉は希少なのです。
 実は、そのわずかな沸騰泉の34%が、なんと別府に集中しているのです。つまり、別府に湯けむりが多かったのは、日本でも貴重な沸騰泉が多いからなのです。

 4つめは「湧出量日本一の秘密」。別府温泉の湧出量は、断トツ日本一。しかし、なぜ別府は豊富にお湯が湧き出るのでしょうか?
 実は、別府は南北の断層に挟まれた、地溝(ちこう)と呼ばれる地形になっており、このような場所は火山活動が盛んなのです。さらに別府の街は、火山灰や火山岩が山の斜面を流れる火砕流によって出来た火山性の扇状地なのです。火山灰や火山岩でできた扇状地は水はけがよく、雨水などはすぐ地中に入り、豊かな地下水となります
 実は、日本一の湧出量の秘密は、火山活動の熱火山性扇状地が生み出す豊富な水だったのです。

所さんのポイント
ポイント2
別府に湯けむりが多いのは、温度が100℃近い沸騰泉が多いから。
また火山の熱と水はけのよい扇状地が、湧出量日本一の理由なのだ!





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