爆笑!?
パンダ
の(秘)出産
第893回 2007年7月29日
来年に迫った北京オリンピック開催国として世界中から注目される中国。そこで2週に渡る海外特集!第一弾は、中国の宝のかわいい珍獣「
パンダ
」を科学します。
世界中で愛されているパンダ。実は、野生では
中国の奥地にしか生息していない
謎の多い動物なのです。その数
わずか1600頭という絶滅危惧種
で、世界の動物園にもわずか6ヶ国に31頭しかいません。
私たちの知らない野生のパンダは、動物園では決して見られない姿が多いのだとか。ならば、実際に野生のパンダを見に行くしかないということで、佐藤アナが中国南西部の四川省の成都を訪れました。早速、野生のパンダ発見の報告があった成都から130km離れた場所「臥龍(がりゅう)」へ向かい、まだ舗装されていない道が多い山あいを走り続けること5時間、かけて野生のパンダの生息域に入りました。そして野生のパンダが棲むという、標高およそ
1500〜3000mにある崖の竹薮
を捜すことに。同行した専門家が、パンダが竹をかじった跡や竹薮にポッカリ空いたパンダの寝床などを発見しますが、野生のパンダはなかなか見つかりません。パンダは、
敵から逃げたり、休憩するために安全な木の上に登る
というので、木の上も注意して見ましたが、いくら捜してもパンダは発見できませんでした。なんでも野生のパンダはとても用心深く、同じ場所にはほとんど戻ってこないそうで、痕跡を見つけただけでも幸運と言えるらしいです。
しかしどうしてもパンダに会いたい佐藤アナは、野生パンダの生息域を一部切り開いて作った臥龍中国パンダ自然保護センターを訪れました。この施設では主に繁殖の研究をしていて、飼育下ではほとんどできないパンダの自然繁殖を数多く成功させています。ここでパンダの生態を勉強させてもらうべく、この中にある
パンダ幼稚園
に向かいました。生後8ヶ月のかわいい子パンダ達18頭に出会った佐藤アナ。パンダに触ってみるとモコモコしている毛は硬く太い感じがするそうです。そして抱きかかえると器用に
佐藤アナの手を握ってきた
のです。そこで、
パンダはどれだけ手が器用なのか実験
してみました。
竹の粉などで作った
竹よりも掴みにくく軟らかい団子を三角、四角、丸い形で作って与えてみる
と、まずは三角のエサを口でくわえてすぐの手で掴みその手で食べました。四角形のエサも同様に手を使って食べ、丸い形のものはちょっと掴みにくそうでしたが手を丸めてその上にのせて食べました。結果、
どの形でも全て手で掴めました
。さらに今度は
エサに竹で作ったフォークをさして与えてみると
、手にしっかり
フォークを握ることができました
。
パンダの手の平を見てみると
指の下に丸い肉球
がありました。これは
第6の指で橈側種子骨(とうそくしゅしこつ)
という
親指の代わりをする骨
で、この骨を支えにして器用に物を掴んでいたのです。例えばパンダに近い仲間のツキノワグマに竹を与えてみると手で押さえつけるだけで掴むことはできませんでした。実は
クマにも第6の指はありますが、とても短い
のです。
竹を主食とするパンダは、親指の代わりをする6本目の指が長く、とても器用な動物だった!
さて、実はパンダの名前はネパール語で「竹を食べる者」と言う意味の「ニガリャパンヤ」がなまってパンダとなったそうです。その名の通り、パンダは、1日10時間以上にわたりおよそ20kgもの竹を食べています。
なぜパンダは竹しか食べないのでしょうか?
その秘密は氷河期まで遡ります。
水分を好み、寒さに強い竹は氷河期でも枯れなかった
ため、パンダは
生き残るために竹を食べて氷河期に飢えを凌いでこられた
ようなのです。ならばもともとは
竹以外のものを食べていたのかを確かめるために、色々な食べ物を与えてみました
。
食べ物が乗ったトレイを置いてみるとパンダは最初にりんごを選び、完食したあと、次にニンジンを手で掴み豪快に食べました。満腹で眠くなったようなのでここで実験は終了。しかし、真冬の中国でエサを求めて人里に下りてきた野生パンダが食料庫をあさり、なんと
シカの肉を食べている姿がVTRに収められていた
のです。実はパンダは竹だけではなく肉も食べる
雑食性だった
のです。
そのためパンダは
草食動物に比べて腸が短い
ので、一日に
約20kgもの竹を食べても
、そのうちの2割、つまりたったの
4kg程度しか消化できない
のです。フンを見てみると、まるで竹の繊維の固まりで匂いはありません。
その証拠に、パンダのフンを見たことのない佐藤アナは、フンの匂いを嗅いでも手で触っても気付かず、最後にそれがフンだと知らされて仰天しました。
雑食性のパンダは大量に食べた竹を少ししか消化できないので、パンダのフンは99%が竹で、全く臭くないのだ!
そこで、このほとんど
竹の繊維でできているパンダのフン
で何かを作れないかと考えた矢野さんは、なんと
紙を作ってみる
ことにしました。動物園で集めた10kgのフンを鹿児島県の製紙工場に持って行き、機械で圧力をかけながら漉してプレスすると、前代未聞、
パンダのフンでできた紙が完成!
さらにその紙でハガキも作ってみました。所さんも竹のいい香りがする紙のできばえに驚いていました。