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どれ買う?最新テレビ
第917回 2008年1月20日


 今年2008年は北京オリンピックの年。この機会に新しいテレビが欲しいという方は必見!今回は一体どんなことに注意してテレビを買えばいいのか分かる!薄型テレビを科学します。

 今からおよそ半世紀前の昭和39年、東京オリンピックをきっかけにカラーテレビが日本に普及しました。そして今、大きく変わるのが「地上デジタル放送」。これまでのアナログ放送のテレビは30万のマス目で表示していましたが、ハイビジョン放送はおよそ7倍の207万画素で表示するため、美しい映像が楽しめるのです。 しかし、地上デジタル放送を見るには地デジに対応したテレビに買い換えるか、今までのテレビに地デジ対応のチューナーを取り付ける必要があります。さらにアナログ放送は2011年に終了してしまうため、まさに今がテレビの買い替え時なのです。メトロノームの映像、ブレの比較ちなみに「フルハイビジョン」、「フルHD」、「フルスペックハイビジョン」は全部同じ意味で、207万画素のありのままの高画質を見られます。しかし、「ハイビジョンテレビ」と書いてあるものは、104万画素ほどしかないものもあるそうです。 さて、液晶テレビはスポーツ中継などの速い動きに向いていないと言われます。確かにプラズマテレビと比べてみると、速く動く映像では、液晶は残像が残っているように見え、映像を止めて見るとブレがありました。これはなぜでしょう?

 そこで、わかりやすく段ボール箱で模型を作ってみました。まずはプラズマテレビです。テレビは光の三原色といわれる赤、緑、青の3色を組み合わせて表現しているため、これと同じく切り取ったダンボールの中に赤、緑、青の三色の色紙を貼り付けます。そして、プラズマテレビは三色が自ら発光してカラー画像を表現するため、それぞれの区画に電球を取り付けました。一方液晶テレビは、そのままでは光らないため後ろに光源が必要で、液晶は必要のない色の光を遮るシャッターの役目をして、色を表現しています。そこで、ダンボールを三つに仕切り、開いている方に三色のセロファンを、そしてもう一方にはクリアファイルを貼り付けて完成。まずはプラズマテレビの模型を積み上げ実験です。スイッチを一斉に点灯させこの手作りプラズマで「トコロ」の3文字を表現してみます。スイッチを入れると見事に「ト」 の文字が表示されました。プラズマはいったんすべてのスイッチを切ってから次の文字を表示するため、一文字一文字が鮮やかに切り替わっています。次は液晶テレビです。液晶テレビの場合、後ろの光はつきっぱなしなので、文字が残ったままシャッターを開け閉めして切り替えるため、前の文字が残ってしまいました。これがブレの原因となり、どうしても速い動きが苦手だったのです。

 しかし、最近そんな弱点を解消する「倍速駆動」という技術が生まれました。そもそも薄型テレビは一秒間に60コマの画像を次々表示することで動画として見せています。倍速駆動とは、この60コマの間に中間とも言える新しい一コマを作り出して差し込みます。こうして、一秒間に2倍の120コマを表示し、さらに画像を切り替える速度を速くし、前の画像が残る時間を短くしてブレを減らすのです。

所さんのポイント
ポイント1
液晶テレビは、画像をつなげて動画に見せているので、速い動きだとブレが出てしまうが、倍速駆動という技術でブレが少なくなった!

 一方プラズマにも、消費電力が高く電気代が多くかかるという弱点があるといわれています。そこで、ほぼ同じ大きさのプラズマテレビと液晶テレビの消費電力を比較してみます。すると、明るい映像を見る場合は、確かにプラズマの方が消費電力は高くなっていましたが、暗い映像になると、なんと消費電力が逆転したのです。一体これは何故でしょう?実は、プラズマテレビは必要な部分だけが光り、黒い部分は発光しないため、暗い映像では消費電力も低くなるのです。

所さんのポイント
ポイント2
プラズマテレビは、液晶テレビに比べ、明るい映像の時の消費電力は高いが、暗い映像の時には消費電力が低くなるのだ!

 さて、6年前に購入したという矢野さん宅の初期型プラズマテレビを見てみると、画面の左上にうっすら数字の影のようなものが映っています。実はこれは、古いプラズマテレビの弱点ともいわれる「焼き付き」という現象です。この焼き付きはなぜ起こるのでしょう?そこで実験です。プラズマテレビの画面中央に白い丸の映像を映し出してみます。これをサーモグラフィーで見てみると、丸の形が徐々に浮かびあがり真っ赤になったのです。つまり白い部分だけ温度が上がっているので、いつも表示されている時刻表示の部分は劣化し暗くなり焼き付きとなるのです。 しかし、最近のプラズマテレビはその弱点が解消されつつあります。明るさが半分に劣化するまでの時間がここ1年の間におよそ2倍になり、気にならない程度に表示する位置をずらすなどの焼き付き防止機能も搭載されているのです。 さて、2007年、薄さ3ミリを誇る世界初の「有機ELテレビ」が発売されました。でも、なぜこんなに薄くできるのでしょうか?緑に光る有機ELの板有機ELテレビは、ホタルなどが光るのと同じように、有機物の化学反応の原理を利用して、科学的に電気の刺激を与えて光らせます。ELとはエレクトロルミネッセンス、つまり電気で発光という意味です。 その構造は、ガラス板に有機物の液体を垂らし遠心力で薄い膜を作ります。次に透明の電極をまたぐようにアルミニウムの電極で挟み、電気を流すと光るという単純なものです。有機ELテレビは、このような単純な構造を応用したおかげで、これまでにない薄さを実現したのです。

 そして今、特殊なメガネを使わずに映像が立体で見える、夢のようなテレビの開発が進んでいます。その仕組みとは、縦×横20ずつの400に分かれた特殊なレンズで、400の方向から少しずつずれた映像を撮影します。そしてテレビ側には見る角度によって400の画像のどれか一つが見えるレンズが取り付けられています。これでどんな方向からでも立体映像が楽しめるのです。やがてご家庭でも立体テレビを楽しむ日がやってくるかも知れません。



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