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噴火で巨大サザエ出現
第942回 2008年7月13日


 2000年7月の大噴火で火山灰に覆われてしまった三宅島。島民は避難してから4年以上を経て島へ戻ってきました。今回はそんな三宅島の正体に迫ります。

 三宅島は東京からおよそ180kmキロ離れている伊豆七島の中で3番目に大きい島で、直径は9km、そのうちおよそ2kmが噴火口です。噴火から8年経った今、三宅島はどうなっているのでしょうか?三宅島に到着し船を下りた矢野さんに、役場の方から手渡されたのは、常時携帯が義務付けられているというガスマスク。8年も経つのに、まだ、三宅島は火山活動をしているとでも言うのでしょうか?事実を確かめるため、特別な許可を取り、気象庁の方と一緒に、標高775mの三宅島山頂にある火口を目指すことになりました。車で標高400m付近まで行き、徒歩で登っていくと、葉が一枚もない枯れた木々や、部品だけの変わり果てた姿になった車を発見。さらには鉄のガードレールもボロボロでした。そして矢野さんにも、眼がしみてくるという異変が起こり、マスクを装着して登ることになりました。さらに標高が高くなるにつれ、どんどん天気が悪くなり、視界も不良に。白い煙を上げる三宅島火口火口まであと500メートルの所まで辿り着きましたが、残念ながら撤退することになりました。そして後日スタッフが見た直径1.7キロ、深さ500mの火口は、噴火から8年、いまだに噴煙を上げていました。実は、この火山ガスに含まれる二酸化硫黄は、雨や霧と反応すると亜硫酸という強酸性の液体になります。これが木を枯らし、車体を溶かしていたのです。矢野さんの眼がしみたのも酸性雨が眼の粘膜を刺激したためでした。噴火後、火山ガスが原因で島の60%も植物が枯れてしまったそうです。

所さんのポイント
ポイント1
三宅島は今でも火山ガスを出し続け、そのガスに含まれる二酸化硫黄が木を枯らし、鉄をも溶かしまうのだ!

 三宅島は平安時代からずっと噴火を続け、1940年からは約20年おきに噴火しています。これまでのほとんどの噴火が、溶岩を吹き出す一般的なマグマ噴火でしたが、2000年の噴火は、溶岩を出さない火山ガス噴火という珍しい噴火でした。では何故火山ガス噴火が起きたのでしょう?その仕組みは噴火直前、地下でマグマがどんどん貯まっていくと、マグマ溜まりの圧力が高くなり、弱い部分が壊れ、マグマが地下に流れ出します。その結果、マグマ溜まりに空洞ができ、上にあった部分が崩れ落ちたのです。そして蓋が開いた状態になったマグマ溜まりからマグマが出ないで、火山ガスだけが大量に放出されたのです。
 島の人に聞くと、「三宅島はどこが噴火してもおかしくない」と言います。その証拠に、島の至るところに噴火口の跡がありました。しかし、噴火すれば溶岩が流れ出て植物はなくなるはずなのに、なぜ三宅島は緑豊かなんでしょうか?溶岩台地にポツリと生えるハチジョウイタドリという植物を見つけた矢野さん。なんとこの植物は、1m以上もある太く長い根で溶岩を突き破り、その下にある土から栄養分を吸収できるそうです。噴火後に生えるこうした植物の葉が枯れて腐り溶岩の上に土を作っていき、続いてその土に低木の樹木が生えてくるのです。これを繰り返し、小さな植物の誕生から数百年という長い年月をかけ、森が再生していくのです。
 さらに、火山ガスを大量に受けた植物は一体どうなるのか実験してみました。三宅島に生えているヒサカキと、普通のアサガオを用意して、二酸化硫黄を充満させた水槽に入れて様子を見ます。するとアサガオは2日でダウンし、葉が黄色くなりましたが、ヒサカキに変化はありませんでした。実は、火山ガスに強いと言われる植物は、葉の表面に蝋状の物質であるクチクラ層を持っています。この層が、葉の表面をコーティングしているので、ガスが内部に侵入しにくいのです。

三宅島産と普通のサザエ比較  さて、三宅島のサザエが巨大化している?ということで重さを比べると、三宅島のサザエは普通のサザエの5倍もありました。もしや、噴火の影響で海の生物が巨大化しているのでは?と矢野さんが海に潜ってみましたが、特に巨大生物は存在せず、調査は終了。原因を島の人に聞いてみると、4年間避難していた間、誰も獲らなかったからでは?とのこと。実はサザエの寿命は約8年で、通常採るのは2年ぐらいのもの。しかしこの巨大サザエはおよそ6歳。スタジオで巨大サザエを試食した所さんですが、やはり普通サイズのサザエの方が美味しかったようです。
 矢野さんが海に潜った時、海底一面に赤い絨毯のように生える、ところてんの材料でおなじみのテングサを発見しました。素手でむしって採るテングサ漁は簡単だと思い矢野さんが挑戦してみると、全然岩からはがすことができませんでした。実は、テングサは海に流れ込んだ溶岩に生えています。テングサの胞子は、溶岩の持つたくさんの隙間に付着すると、次に「根」のようなものを伸ばして溶岩にしっかり張り付き育つのです。実は三宅島には、沖縄の方から流れてくる海流「黒潮」が当たります。黒潮の流れは非常に速く、テングサのように強く根を張る海藻だけが定着できるのです。三宅島にテングサが多く生えているのは、噴火によって海中に溶岩がたくさんあることと、流れの速い黒潮のおかげだったのです。

所さんのポイント
ポイント2
三宅島名物のテングサは、黒潮の速い流れにも負けない強い根で、溶岩の隙間にしっかりと張り付くことができるので定着しているのだ!




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