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絶景がオカズ!? (秘) 駅弁
第959回 2008年11月16日


 行楽の秋!思わず電車に乗って、遠くへ行きたくなる季節。そこで、今回はそんな電車の旅に欠かせない楽しみ、駅弁の秘密に迫ります!

 その土地ならではの郷土料理を詰め込んだ駅弁は、まさに宝石箱!でも駅弁ってほとんどは中身が見えないようになっていますよね。これはなぜでしょう?そこでこんな実験!東京駅の売店で15時から17時までの2時間で16個を完売した人気の牛肉弁当を、次の日の同じ時間に今度はカバーを外して中身が見える状態で販売してみました。すると、2時間で売れたのは、わずか5個だけでした。駅弁を買った人に話を聞くと、開けて初めて中身がわかることが楽しみだというのです。心理学の専門家によると、これは、例えば中身の見えないお正月の福袋を、中に何が入っているか期待して買うのと同じ心理によるものだそうです。駅弁は、中身が見えないことで旅の期待感をさらに膨らませてくれる特別なお弁当なのです。
 ところで、車内で食べる駅弁はなぜ美味しく感じてしまうのでしょう?その秘密を探るため、箱根に向かう電車内のお客さんをカメラで観察してみました。すると、出発前は誰も駅弁を食べようとしませんが、電車が出発すると間もなく、次々と食べ始め、走り出して1時間後には全員が駅弁を食べたのです。お客さんに理由を聞くと、流れる景色を見るとより美味しく食べられる気がするというのです。停車中と流れる景色、前頭前野の反応比較そこで、車窓に見立てたモニターで、「停車中の景色」と「流れる景色」をそれぞれ見てもらい、脳波を比較します。すると、停車中の景色では脳波にほとんど反応がでませんでしたが、流れる景色を見せると脳全体の動きが活発になったのです。専門家によると、脳が活性化すると気分が高揚して、駅弁を食べたくなるのだそうです。さらに、流れる景色のモニターを見ながら実際に駅弁を食べてもらうと、美味しさを感じる「前頭前野」の部分が強く反応したのです。車窓からの景色は食欲をそそるだけでなく、駅弁を美味しく感じさせるスパイスにもなっていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
車窓に流れる景色は、食欲を増進させるだけではなく、駅弁をより美味しく感じさせるスパイスなのだ!

起震機の上で食べた4人 (610杯)  旅の車内をさらに観察してみると、つまみにお菓子に駅弁…みなさん非常によく食べることに気がつきました。景色と共に電車に特有の現象といえば心地よい揺れ。そこで大実験!20代の食欲旺盛な男性4名にわんこそばを満腹まで食べてもらいました。まずは揺れのない状態で食べてもらうと、合計は486杯でした。そして3日後、今度は電車とほぼ同じ揺れを再現した起震機に乗って食べてもらうと、なんと610杯をたいらげたのです。一人当たり約30杯も前回の記録を超えました。感想を聞いてみると、揺れがあったことで食べやすかったと言います。
 そこで、駅弁を普通の状態で食べてもらった胃と、別の日に揺れながら駅弁を食べてもらった同じ人の胃のレントゲン写真を比べてみました。すると、揺れながら食べた時の胃の方が、下に食べた物が詰まり、その分上のスペースが大きく空いていました。つまり、電車の旅で普段よりたくさん食べられるのは、振動により食べ物が胃の下に沈み、胃の上部にゆとりが出来るからと考えられます。

 さて、駅弁大好き矢野さんが、一流の料理人が作った目がテン特製の高級駅弁を持って旅に出ました。美しい車窓の景色を眺めながら、食べる究極の駅弁は最高のはず…と思いきや、なぜか魚沼産コシヒカリのご飯がパサパサして美味しくなかったのです。いったいどうしてなんでしょう?そこで、人気の駅弁ベスト30のご飯を調べたところ、白いご飯はたったの2つだけで、ほとんどが炊き込みご飯か酢飯でした。そこで白いご飯と炊き込みご飯の硬さが、時間と共にどう変化するのか比較してみます。炊きたての状態では硬さにほとんど違いはありませんでしたが、常温で6時間置いてから測定してみると、白いご飯が乾燥して硬くなってしまったのに対し、炊き込みご飯は、炊きたてに近い状態を保っていたのです。実は、ご飯の中にはアミロペクチンという成分があり、炊きたての状態では多くの水分を含んでいますが、冷めるとこのアミロペクチンが水分を放してしまうため、硬くパサパサしてしまうのです。ところが炊き込みご飯の具材である大豆、海草、キノコ類や、調味料にはトレハロースという糖類が含まれています。このトレハロースは高い保水力を持っていて、冷めて逃げていこうとする水分をキャッチしているのです。つまり、作ってから食べるまでに時間がかかり、どうしても冷めてしまう駅弁には炊き込みご飯がピッタリだったのです。ちなみに酢飯の場合は、冷めても三杯酢に含まれる糖類が水分を保持するのだそうです。さらに、白いご飯を使った駅弁を作っている工場では、食用油を使いご飯をコーティングして水分を抜けにくくする工夫もされていました。皆さんも、美味しさのための工夫が詰まった駅弁を片手に、電車の旅に出てみてはいかがですか?

所さんのポイント
ポイント2
駅弁に炊き込みご飯が多く使われているのは、具や調味料に含まれる糖類が水分を逃さず、時間が経っても硬くなりにくいからなのだ!




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