知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


地球を救え高濃度 水虫
第990回 2009年6月20日


 ジメジメした梅雨時の悩み、水虫。さらに今、日本では南米からきた強力な水虫が勢力を広げているという事態が!今回はそんな水虫の秘密に迫ります!

顕微鏡で見た矢野さんの水虫=白癬菌  佐藤アナから一方的に水虫の疑いをかけられ、皮膚科へ検査に行くことになった矢野さん。先生が、矢野さんの足の裏から取った皮膚に検査薬を垂らし顕微鏡で覗いてみると…グニュグニュした白い線のような菌を発見。実はこれこそが水虫の白癬菌!でも、幸い新型ではなく初期の一般的な水虫だということがわかり一安心。
 そして、街でも水虫の実態調査を行ってみたところ、なんと8人中4人の方から白癬菌が検出されました。しかも検出されたのはお父さん世代でなく全員が20代の女性だったんです!原因として考えられるのが、靴。湿度の高く蒸れやすい日本ですが、靴なしの生活って考えられませんよね?しかし、いつも山の中を裸足で歩いているという人物を発見しました。それは、高尾山で自然体験教室を開いている男女2名のインストラクター。普段もサンダル履きで、ほとんど靴を履かないというお2人の足を検査してみると…なんと男性の足から白癬菌を検出!先生によると、実は土の中にも白癬菌が潜んでいるんだとか。そこで高尾山の土を採取し、菌を2週間培養してみると、確かにいました!確率はごくまれですが、裸足で歩くと土の中の白癬菌により水虫を発症することもあるそうです。ちなみに白癬菌が繁殖しやすい環境は、温度が25℃以上〜30℃以下で湿度が90%以上のところなので、温度が高い夏の砂浜やアスファルトなどは白癬菌が棲みつけないのだそうです。
 ところが、土の中の白癬菌は、実は地球にとってなくてはならない役割を果たしているんだとか。そこで「白癬菌」と、同じく土の中にいる、強い腐敗菌「黒麹菌」で分解力対決を行いました。別々に置いた毛に、それぞれの菌を付着させ1ヶ月放置した結果…白癬菌は大繁殖!菌が繁殖した毛を引っ張ってみると、少しの力で簡単に切れてしまうほどボロボロに分解されていました。一方黒麹菌も、同じく大繁殖しましたが、力を入れて引っ張っても毛はなかなか切れません。なんと毛を分解する力は白癬菌が黒麹菌に勝ったのです。実は、白癬菌は動物などの毛や皮膚に多く含まれるケラチンという成分を分解する能力が特に高く、毛や皮膚などを自然に還す重要な役割を果たしているんです。

所さんのポイント
ポイント1
白癬菌はケラチンという成分を分解する能力が高く、毛や皮膚を自然に還す重要な役割を果たしていた!

 さて、街で水虫の印象を聞くと真っ先に出てくるのが「クサい」というイメージ。でも本当に水虫はクサいのでしょうか?そこで完全防備スーツに身を包んだ佐藤アナが、研究室で足の水虫の数兆倍に培養された白癬菌の臭いを嗅ぎました。すると、予想していたよりキツい臭いではなく、拍子抜けしてしまいました。多少感じた臭いは、白癬菌が繁殖する際に出た排泄物の臭いだそうです。ならばと、番組ADの靴のニオイと比べてみようということに。ちなみに彼の足は検査の結果水虫ではありませんでした。早速嗅ぐと、佐藤アナはあまりの悪臭に悶絶!それぞれの臭いの強さを計ってみると、白癬菌の数値は118に対し、靴の臭いはおよそ倍の200という数値が出たのです。どうやら白癬菌は誤解を受けていたようです。

所さんのポイント
ポイント2
水虫はクサいというイメージだが、白癬菌そのものは、さほどクサくないのだ!

 なんと将来、白癬菌が人類を救う!?という研究がされているそうです。専門家によると、なんと白癬菌を使うとカイワレ大根がよく育つというんです。早速、本当なのか確かめてみました。普通のカイワレと白癬菌のカイワレの比較まずは白癬菌を水に浸した毛につけて培養し、2週間後、遠心分離機にかけて白癬菌を取り除きます。そして、残った液体をガーゼにしみ込ませてカイワレの種をまきます。比較のため、普通の水にもカイワレの種をまきました。果たして結果は?なんと白癬菌で育てたカイワレの方が立派に成長していたのです!実は、白癬菌が毛のケラチンを分解することで出たアミノ酸が栄養になると考えられているのです。これで今まで捨てていた家畜などの毛が肥料に変わるかもしれません。水虫のイメージを覆すのにはまだまだ時間がかかりそうですが、ひょっとすると本当に水虫の白癬菌が人類を救うかもしれませんね。



人間科学編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧