知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


解明 夏祭り 屋台の誘惑
第991回 2009年6月27日


 夏祭りの季節が到来!そこで、街行く人に夏祭りのイメージを伺うと、トップ3は「屋台」、「神輿」(みこし)、「盆踊り」。今回はその3つに隠された謎を科学で解き明かします。

 まずは「屋台」!食べ物もいいですが、なぜか挑戦したくなる金魚すくい。しかし、金魚をすくうのはなかなかの難しさ。そこで、試しにガーゼで作った「絶対に破れない布製のポイ」を作って、夢の金魚すくい屋をオープン!お客さんは当然のように紙のポイではなく布製のポイを選び、すくい始めた途端、金魚を楽々とゲット!がしかし、しばらくすると「楽しくない」との声が…。ある女性は破けないポイに飽きてしまい、普通のポイを借りて再挑戦。すぐにポイは破れてしまいましたが、でも楽しそう。なぜ破れないポイに、みんな飽きてしまったのでしょうか?そこでこんな実験です。見た目は全く同じ2種類のクラッカーを用意し、鳴ったら「当たり」、鳴らなかったら「はずれ」です。5つのクラッカーから1つを選び、音が鳴ればプレゼントを贈呈。でも実は、全てのクラッカーが当たり。つまりこれは、破れないポイと同じ、失敗しないゲームなんです。まずは何も知らず、最初に選んだクラッカーが鳴った時の脳の状態を見ると、前頭前野と呼ばれる部分が赤くなり、興奮状態を示しました。ところが、当たりが続くたびに興奮しなくなっていったのです。実は、脳は同じ刺激が続くと、その刺激に慣れ、反応が鈍ってしまいます。つまり破れないポイは、「すくえた!」という達成感に脳が慣れてしまうためすぐに飽きてしまうのです。人は失敗すると、上手くいく方法を考えるので、脳全体が活性化し楽しく感じるそうです。

所さんのポイント
ポイント1
金魚すくいを破れないポイで挑戦しても、「すくえた!」という達成感に脳が慣れてしまい、すぐに飽きてしまうのだ!

 さて、続いては「盆踊り」。なんと全国に約500種類もあると言われ、曲や踊り方は場所によって違いますが、なぜかお囃子の和太鼓は生演奏ということだけは共通しています。一体なぜなんでしょうか?民踊連盟の練習場を訪ね、ベテランの皆さんに話を聞くと、生演奏の方が曲にノリやすいといいます。そこで実験!まずは皆さんに大音量で雑音が流れるヘッドフォンを装着。さらについたてで、お互いの姿が見えないようにします。ずれる三人の踊り(8秒ずれで手を叩く)そして、和太鼓とほぼ同じ大きさの音量に調整し、カセットレコーダーから曲を流して踊ってもらいます。すると皆さんの踊りはすぐにずれ始め、曲が終わる5分後には、1周して手を叩くタイミングが同じになってしまうほどでした。続いて和太鼓で挑戦すると…皆さんの踊りはきれいに合い、なんと演奏が終わるまで、ずれないまま踊りきることができたのです。一体なぜでしょうか?実は和太鼓は、高音から低音まで様々な音域の音を出すことができ、この中の低音が、ロウソクの火を消せるほど、空気を大きく揺らす力を持っています。だから和太鼓の音は体で感じることができるのです。一方、カセットレコーダーは、中音域の音しか出ないため、体で感じることができないんです。だからこそ集団で踊りを合わす盆踊りには、和太鼓の生演奏が欠かせなかったのです。

所さんのポイント
ポイント2
和太鼓の低音は空気を揺らし、体感できる。だから集団で踊りを合わす盆踊りには和太鼓の生演奏が欠かせないのだ!

 祭りの一番の見せ場といえば「神輿」!台東区の鳥越祭で特別に神輿担ぎに飛び入り参加させてもらった矢野さんは、2トンもあるという神輿のあまりの重さにビックリ!2トンを80人で持ち上げるため、1人あたり25kgという重さを担いでいたのです。なぜこんなに重い物を担げるのでしょうか?そこで、パワーには絶対の自信を持つ、日本体育大学ウェイトリフティング部の選手が、神輿歴20年以上の神輿保存会の方々に挑戦しました!1チーム8人で、一人あたり25kgの実験用の神輿を担ぎます。25mの距離を1往復、50m担げればクリアです。まずは、神輿保存会の皆さんからスタート。さすがに、掛け声に合わせ、体の動きが見事に揃い、神輿の動きもスムーズで楽々ゴール!続いてウェイトリフティング部の挑戦です。すると、掛け声はかけているのに皆の動きはバラバラ。ぎこちない動きでなんとかゴール。そこで重りを増やして1人あたり40kgにしてみたところ、神輿保存会の皆さんは、相変わらずきれいに神輿を担ぎ楽々クリアしたのに、一方のウェイトリフティング部はかなりふらつき、まさかのリタイヤ!さらに神輿保存会の方々はなんと一人あたり50kgの神輿も見事に担ぐこともできました。照明で見る神輿の違い 2面でもなぜパワーに勝るウェイトリフティング部は担ぐことができなかったのでしょうか?そこで神輿に照明をつけて揺れ方を見てみると、神輿保存会は上下だけにしか動いていませんが、ウェイトリフティング部は、神輿が左右にも揺れていました。実はこの時、担ぎ手に余計な負担がかかっているんです。その証拠に、一人あたりの足裏にかかる最大荷重を計測すると、ウェイトリフティング部は、一人あたり2倍近くも重かったのです。つまり、重い神輿を担ぐには、担ぎ手が息を合わせ、神輿を左右に揺らさないように動きを合わせることが最大のコツなのです。



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