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巨大ゴミ袋で空を飛ぶ
第1010回 2009年11月21日


 今から226年前、フランスのモンゴルフィエ兄弟によって大空を飛ぶという人類の夢が実現されました。それを叶えてくれたのが、気球。そこで今回は、気球に秘められた様々な不思議を解明します!

不思議① 気球はなぜ空を飛ぶことができる?
 気球には、ヘリウムガスが中に入ったガス気球と、ガスバーナーで中の空気を温める熱気球がありますが、実は、燃料やガスがなくても気球が飛ばせるといいます。そこで、矢野さんと10名の若者が、黒いゴミ袋の両サイドをカッターで切り、広げてテープで張り合わせていく地道な作業を徹夜で行い、562枚のゴミ袋で、横14m、縦24mの巨大なゴミ袋を完成!重しに約5kgのスイカをくくりつけ、扇風機で中に空気を入れて、開口部をふさぎます。そして、秋晴れの空の下に置いておくと…燃料を全く使わない巨大ゴミ袋気球が、大空に浮かび、スイカを見事2mの高さまで持ち上げました!
浮かんだゴミ袋気球 外と中の温度差  でも、なぜ膨らましただけの巨大ゴミ袋が浮き上がったのでしょう?矢野さんが巨大ゴミ袋の中に入ってみると、中の温度は27.8℃とっても暖かかく、外との温度差が14.3℃もあったのです。実は、気球の中が外よりも温度が高いことこそ、気球が大空を飛べる秘密なのです。試しに、シャボン玉を使って実験です。まずは、人が吹き込む息の温度とほぼ同じ24.4℃の室内でシャボン玉を作ってみると、シャボン玉はすぐに下に落ちていきました。そこで、今度は室温−18℃の冷凍庫の中で作ってみると…シャボン玉は勢いよく上がっていったのです。これは、シャボン玉の中の温度が外よりも高いため。空気は温度が高いほど、密度が低くなり、軽くなります。だから浮力が生じ、浮き上がるのです。熱気球は、この原理を生かした乗り物なんです。つまり巨大ゴミ袋が浮いたのは黒いゴミ袋が太陽の光を吸収して中の空気が温められたからだったんです。

所さんのポイント
ポイント1
空気は温度が高いほど、密度が低くなり軽くなる!気球はその原理を利用して大空を飛ぶことができるのだ!

不思議② 気球の乗り心地は?
 本物の気球に乗りた〜い!と、栃木県で活動する気球愛好家の皆さんを訪ねた矢野さん。まずは、球皮と呼ばれる部分を広げ、扇風機で膨らませると、ガスバーナーで中の空気を温めていきます。そして中の温度が80℃ほどまで上がると、気球はむくむくと立ち上がりました。早速かごに乗り込んだ矢野さんでしたが、特に命綱もなく、かなりの恐怖感…。しかし、気球は全く揺れないというのです。そこで、本当に揺れないのか、こんな実験です。気球に乗ったことがない方々に、目隠しと耳栓を装着し、さらにはガスバーナーの音も遮断するため、大音量で音楽を聴きながら、揺れを感じて気球が浮いたと思ったら札を上げてもらいます。すると…最初の女性は気球が上がり始めても全く気づかず、およそ30mの地点で、やっと札があがったのです。さらには、気球が空に上がった後、降下しても気付かず、着地の衝撃でようやく札を上げた人も。試しに、上空でグラスになみなみと水を入れても、全くこぼれませんでした。一見怖そうな気球ですが、実はほとんど揺れない、とっても乗り心地がいい乗り物だったんです。

 さて、大空に飛び立った矢野さんは、行きたい方向を伝えると、なぜか、移動できないと言われてしまいました。実は、気球は様々な方向に吹く風に乗って移動する乗り物なので、自由に移動できず、風が吹いている方向にしか行くことができないのです。つまり、風と同じスピードで移動しているので、気球の上は、常に風速は0m。だから気球は揺れないのです。しかし、風まかせの気球の旅の最後は、不時着するように地上に帰還。乗り心地の良さの裏にはこんな弱点があったのです。

所さんのポイント
ポイント2
気球は風まかせの乗り物。自由に行きたい方向を変えることはできないのだ!

不思議③ 気球はどこまで上昇できる?
 気球の有人飛行には規制があり、矢野さんが飛んだ区域は、高度およそ500mが許可の限界だそうです。高度3万5000mの映像そこで、無人の気球を飛ばしている会社で、ヘリウムガスで膨らませたガス気球に、小型カメラを取り付けて飛ばしたという実験VTRを見せてもらいました。すると、無人の気球は秒速8mのスピードで一気に上昇し、およそ15分後には、雲の上の世界へ。気球はさらに上昇、成層圏へと突入し、わずか30分で高度1万5000mまで到達。気球はさらに高度を上げ続け、なんと地球が丸くて青いとわかる3万mを超えました。しかしその時!“パーン”と気球が破裂。周りの気圧が下がってゴム製の気球が膨れ上がり、耐え切れなくなってしまったのです。このヘリウムガスの無人気球は、およそ3万5000mの高さまで上がることができました。ちなみに有人飛行ではガス気球が3万4668m。熱気球が2万2100mという記録が残っています。



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