知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


学校プールの七不思議
第1042回 2010年7月10日


 いよいよ夏本番!夏といえば、遊園地や学校などで皆さんも楽しんだ、プール!そこで今回は、街で聞いたプールの疑問を科学で解決しちゃいます。

疑問① 「水中で目はどれくらい見えないの?」
 水泳の授業で、水中で目を開ける練習をしますが、よく見えなかったはず。では、水中ではどのくらい視力が落ちてしまうのでしょうか?そこで全員視力0.9以上の水泳部員6人の協力で、検査表を水に沈め、水中視力検査を実施!まずはゴーグルを着けた状態で検査すると、地上よりわずかに視力は落ちた程度でしたが、続いてゴーグルを外して検査してみると…なんと全員一番大きい0.1の表示も見えなくなってしまいました。そこで、ゴーグルに水を入れ水中状態にした逆水中メガネをかけて眼科で正確に測ったところ、超巨大な0.01のマークすら見えません。専門家によると、人間の目は、レンズと角膜で光が二度屈折して像を結びますが、水中では角膜の水分と水が重なり、光の屈折が起きず像を結ぶことができなくなるというのです。ならば、角膜の変わりに、強力なレンズで光を屈折させようと、眼科の試験で使われる強力な屈折のレンズを装着し再び水中で視力検査すると…0.1は見えたのです。ちなみにゴーグルを着けると、目の前に空気の層ができ、光が角膜に入ってくる時に地上と同じように2度屈折し、ピントが合うのです。では、水中で生活する動物の視力はどうなのでしょう?同じ哺乳類のイルカでこんな実験です。飼育員がイルカから徐々に離れながらサインを出し、どこまで芸ができるかで視力を調べます。まずは水中。泡を出すイルカ「イルカは水中でもよく見えている」ガラス越しに徐々に離れていき、泡を出すサインを送ります。すると、10m地点からでもイルカはサインに応えました。では、陸上はどうでしょう?イルカの顔が水上に出た状態で、プールの端まで泳いで戻ってくるサインを送ると…飼育員が5m下がった地点で、2頭とも芸をしなくなりました。実はイルカは丸い水晶体を持っていて、光が角膜で屈折しなくても、水中ではピントが合うそうです。逆に空気中では光が屈折しすぎてピントが合わなくなるのだそうです。

疑問② 「プールで目を開けるとどれ位ダメージがある?」
 プールの後には目を洗いますが、目はどれくらいダメージを受けてしまうのでしょう?そこで目にダメージがあると赤く反応するローズベンガル液を、1時間泳いだ後の方に点眼してみると…目は真っ赤に染まりました。そこで、お馴染みの洗眼用の蛇口で目を洗った後、再び検査薬を点眼してみると、なんとまだダメージが残っていたのです。専門家によると、プールに入っている消毒用の塩素が目に入ると、ムチン層という目の保護成分が流れてしまい、目の表面が傷つきやすく、水道水で洗っても治らないのだそうです。水道水での洗眼は、短時間でゴミを取るのには有効ですが、水道水にも塩素が入っているので、余計にダメージになる可能性もあるんだとか。一番効果的なのは、ゴーグルを着けて泳ぐことなんだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
プールに入った後の洗眼は、かえって目にダメージを与えてしまうことがある!目を守るにはゴーグルの着用がベストなのだ!

疑問③ 「プールに入れる塩素の効果は?」
消毒という大事な役割がある塩素。実際にプールと同じ濃度の塩素水に、活発な大腸菌を入れると、1時間後にはほぼ完全に活動が止まるほど。そこで、その殺菌力がどのくらいもつのか実験です!スタッフの家の浴槽に、プールと同じ濃度になるよう塩素を入れ、お風呂の底に水の透明度が分かるよう、目がテンのロゴを沈めます。そしてしっかりとかけ湯をしてから、スタッフがお湯をはり替えずに塩素濃度を整えながら一週間入り続けました。すると徐々に白く濁っていき、1週間後にはとても濁った状態に。このお湯を採取し、専門家に菌の繁殖を見てもらうと…垢などの汚れはありましたが、ちゃんと殺菌されていたのです。塩素の仕事は殺菌することで、プールなどでは、濁りや汚れは、ろ過機で取り除いているのです。

疑問④ 「耳に水がはいったら?」
赤い水が入った状態と通常の鼓膜  プールの後、耳に入った水がなかなか抜けない経験ってありますよね?そこで、学生達でこんな実験!耳鼻科の先生に赤く色を付けた水を耳にスポイト入れてもらい、水が抜けなくなった状態を再現。この状態でケンケンをしてもらい何回で水が抜けるかを検証します。すると…中には406回まで出なかった学生もいて、4人の平均はおよそ170回でした。耳の中をイヤースコープで覗いてみると、鼓膜の下の溝の部分にたまった水に表面張力が働いているため、出てこないそうです。
 しかし、耳に異常がなければ有効だというのが、消毒用のアルコール!そこで、水が入った耳にアルコールを入れて再びケンケンしてみると…なんと皆さん平均4回ですぐに出てきました!実はアルコールは水に比べ、表面張力が非常に弱いため、耳の中の水にアルコールを入れると、水玉状に張り付いていた水の表面張力が弱まって流れ出したのです。ちなみに、忘れた頃に耳から水が出てくるのも、体温で温まって水の表面張力が弱まったからだと考えられるそうです。

所さんのポイント
ポイント2
耳の中に水が入って抜けない場合は、消毒用アルコールを耳に入れると、水の表面張力が弱くなり、あっさり出てくるのだ!




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