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最高の日食を見る方法
第1131回 2012年5月19日


 2012年5月21日は日食が起こる日。特に今回は、25年ぶりに日本で見られる珍しい金環日食とあって、天文ファンだけでなく、まさに日本中で日食ブームに!そこで今回は世紀の天体ショー、日食の神秘のメカニズムを徹底検証します!

①なぜ日食は滅多に見られないの?
 そもそも日食とは、月が太陽に重なり、隠してしまう現象。つまり、地球と月と太陽が、一直線上に並んだ時に起きます。この現象がなぜ滅多に起きないのか?実験で検証!およそ28億分の1に縮小した地球(直径5mm)と、月(直径1.25mm)と、太陽(直径50cm)を準備。そして、1日1回転する地球と、地球の周りをおよそ1ヶ月で1周する月の動きを、正確に再現できる模型を作製。屋外で、50m離れた場所に太陽を設置し、3つの高さが一直線になるように調節。この時、地球の一部分につけた小型カメラを見ると・・・月が太陽に重なり日食状態に。そして、この地球と月が乗った模型を台車でゆっくりと太陽の周りを回り、次に日食が起きるのはいつなのかを調べます。ところが…スタート直後、画面が揺れ、実験はストップ!監修して頂いた船越先生によると、「わずかな段差でも月の動きに誤差が生じる」とのこと。そこで、先生から代案が。それは、「装置全体を、ゆっくりと回るターンテーブルに乗せ、地球と太陽を固定した上で、地球自体を回す」というもの。地球を回転軸にしても、太陽と向かい合う地球の面が変わるので、太陽の周りを地球が回る、「公転」を再現できるのです。そこで、模型の距離と高さ、回転速度を再度調整。ちなみに、この模型では赤い矢印が1周したら地球が太陽の周りを1周。つまり1年の経過を表します。そして、実験仕切り直し!すると…月が地球の周りを1周した、わずか1ヶ月後に、上から見ると地球と月は太陽に向かって一直線に!ところが、横から見ると、月がかなり直線上から外れていたんです…。先生によると、「月は真横ではなく、およそ5度傾きながら地球の周りを回る」そうです。つまり、1ヶ月に一度、必ず一直線に並ぶのですが、横から見ても一直線に並ばなければ日食は起きないのです!ということで、実験続行!すると…およそ半年を示すところで、月が直線上に!先生も、日食になったと太鼓判!しかし、地球目線カメラの映像を見ると…月も太陽も映っていません。理由を先生に尋ねると…「地球目線カメラの方向がずれていて、たまたま日食を捉える事が出来なかっただけ。模型 約8年後「あっ!来たかも〜!」裏を返せば、地球のどこかでは日食が見えると言える」そうです。つまり、およそ半年に1回は地球のどこかで日食が見られるんです。さらに、地球目線カメラで、いつ日食を捉える事が出来るのか?実験を続行!すると…数年分経っても、惜しい瞬間はあるものの、なかなか捉えることはできず…。ところが、およそ8年が経過した状態、16回目の日食チャンスで、見事地球と月と太陽が一直線上に並ぶ映像を確認!地球の一部分から次の日食が見られるのにおよそ8年かかりました!
 ただし今回、直径5mmの地球の模型につけた地球目線カメラのレンズの大きさは、縮尺を考えると、インド全体よりも広い範囲になります。そのため、実際に一つの街や日本のような小さな国から見られるのは、さらに珍しいことなんです。

所さんのポイント
ポイント1
日食は、約半年に一度起こり、地球のどこかで見ることが出来る!ただし、観測できる範囲が狭いので、日本で見られるのは貴重なのだ!

②「金環日食」と「皆既日食」の違いとは?
 さて、日食にも2種類あります。1つは、完全に月が太陽を隠す「皆既日食」。月の大きさ比較写真そして、もう一つは、今回日本で見られる、太陽の光のリングが見える、「金環日食」。では、なぜ今回は金環日食が見られるのか、船越先生に伺うと…「日食によって違いがあるのは、月の大きさが変わるため」と言います。そこで、ユージさんが、長年、月の写真を撮り続けている専門家を訪ね、満月の写真を撮影して頂きました。そして、去年の10月に同じカメラ、同じ望遠鏡、同じ倍率で撮影した満月と見比べると…なんと明らかに大きさが違ったんです!
 そこで、なぜ月の大きさが変わるのか、船越先生に聞いてみると…「月の通り道は楕円(だえん)を描いているため」だそうです。つまり、地球から月が近い場合、月は大きく見え、この時に起こる日食が皆既日食。そして今回は、地球から月が遠いので、小さく見え、太陽は全て隠れず、金環日食が起こるのです!

所さんのポイント
ポイント2
月の軌道は楕円を描いているため、見た目の大きさが変わる!今回は月が地球から遠く、小さく見えるので、金環日食が起こるのだ!

③「金環日食」が一番キレイに見られる、ベストスポットを大捜索!
 今回は、せっかく日本で金環日食が見られる貴重な機会!どうせ見るなら一番キレイに見られる場所が知りたいですよね。そこで、ユージさんは東京・三鷹の国立天文台へ。専門家に、金環日食を見るのに良い条件を聞いてみると…金環日食が見られる範囲は、想像以上に狭いベルト上にあり、しかも左右対称のキレイなリングが見られるのはその中心部分だけだそうです。さらに、今回、金環日食が起きるのは朝7時半と、太陽が昇って少ししか経ってないので、東側が開けた場所。というのがキレイに見える条件だそうです。そこで、この2つの条件に合うスポットを地図で確認し、候補地を絞り込みました。まずは、お台場のレインボーブリッジ!ところが、スタッフが橋の真ん中から朝7時半の太陽を確認しようと向かったところ…なんとレインボーブリッジは封鎖中!実はオープンは9時からで、しかも5月21日は休館日でした。続いて挙がった候補地は、箱根の神山。中心線の中では最も標高が高い場所です!スタッフが標高1400mの山頂に登り、朝7時半、上空を見上げると…太陽はバッチリ!運が良ければ、雲の絨毯の上の金環日食が見られるかもしれません!しかし、山登りは大変そう…もっと楽に見られる場所はないのかと、ユージさんが向かったのは、茨城県鹿島灘!なんとか海に出られる道を発見し、ついに海岸沿いで最も美しく見えるポイントへ。ところが…この日はあいにくの曇り…。しかし、鹿島灘は日食がキレイに見られるポイントの中で、最も東に位置するので、晴れたらキレイな金環日食が、西の地域より約2秒間長く拝めるそうです。さて、皆さんは、5月21日。貴重な金環日食を楽しむことができましたか?



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