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台湾・人気 の科学
第1286回 2015年7月26日


 夏休み海外特集第1弾…台湾人気の秘密!飛行機で日本から3時間で気軽に行けると近年、台湾を訪れる日本人旅行客の数は増加を続けています。そんな台湾の人気の理由を目がテン流に調査したい!
 そこで今回の調査には、日本大学心理学科・厳島行雄先生と、東京大学行動経済学・古川雅一先生と台湾巡り!日本人に人気なスポットをめぐり、心理学と経済学の目線から人気の秘密を分析します。

①1度行ったらオススメしたくなる「九份」の秘密

 台湾を特集した雑誌や観光ガイドに必ずといっていいほど取り上げられている、九份。台北市からバスや電車で一時間。山の斜面に広がるどこか懐かしい町。通りを歩くだけで楽しくなります。
 先生たちは、そんな九份の人気の秘密を「街の構造」にあると分析。
 九份のメインストリート「九份老街」には、細い道沿いにお店が立ち並びます。浅草の仲見世に似ているのですが、比較してみると、仲見世は入り口からまっすぐ遠くまで見通せるのに対して、山間に作られた九份の街は、複雑に入り組んでいて進む先に何があるのか見えません。このように先が見えない街の作りが、行く先に良いことがあるのではと思わせる効果があるので、歩くだけで人をワクワクさせていたんです!

 さらに、通りを進んでいくと見慣れない食べ物を発見!これは、近年台湾で大人気のスイーツ。砂糖で固めたピーナツをけずり春巻きの皮に乗せ、タロイモのアイスとパクチーと共に包んだら完成。日本にはない変わったスイーツ「雪在焼」は、なんとも言えない異次元な味。
 このスイーツを食べた古川先生が再び…九份の人気の秘密は「プロスペクト理論」にありと分析。プロスペクトとは、見込むという意味。人は、損をみ込むとそれを回避しようとするんです。わざわざ台湾に来たのだから後悔しないようにいろんな体験をしないと損だと思い珍しい料理にもチャレンジする。それが良い思い出の1ページになるんだそう。つまり、ここでしか味わえない珍しい食べ物の数々が、楽しい旅を演出していたんです!

 続いて一行は、九份名物、石畳の階段へ。急でながい階段を抜け、目の前に現れたのは九份名物の茶屋。そのノスタルジックな雰囲気に惹かれ、九份に来た観光客は必ず立ち寄るそうです。
 ここで厳島先生、これまでの九份の風景を見て人気の秘密は「複雑な風景」にある分析。実は複雑性というのは意識的な覚醒を高めてくれるんだそう。意識的な覚醒が起こると、情報を吸収しやすくなったり、その場のことが記憶に深く残るんだそうです。
 例えば、浅草にある「酉の市」発祥の地とされるお寺は普段、参道と建物というシンプルな風景ですが年末になると、人や出店でごったがえします。これが目に入ってくる情報の多い複雜な風景。人は、このような風景を見ると気持ちが高まり、楽しいと感じることが研究でわかっています。九份のお祭りのような複雑な風景に人は惹きつけられていたんです!
 一度行ったら必ずおすすめしたくなるという九份の人気の秘密は「迷路のような人をワクワクさせる街並み」「楽しい思い出として残る珍しい料理」「お祭りのような気持ちの高まる複雑な風景」にありました。

所さんのポイント
ポイント1
学者と人気の観光地を歩くと、専門的な理由がわかるのだ!


②台湾名物の人気の秘密を徹底分析!

 台北NO1のパワースポットといわれる龍山寺。19体の神様が祀られており、あらゆる方面のご利益が期待できます。先生たちは、学問の神様、後藤アナは恋愛の神様にお祈り。さらに、龍山寺では少し変わった昔ながらのおみくじを無料で引くことができます。赤い木片を2つ取り、これを床に投げ表と裏が出たら神様が了解したというサイン。3回投げても表と裏が出ない場合はおみくじを引けません。後藤アナは一発で、表と裏が出たので、神様のお許しをもらいおみくじを引くことができました。
 なぜ、このようなパワースポットは人気なのでしょうか?心理学の厳島先生によると「原因帰属」に関係あるとのこと。これは、パワースポットでお願いして良いことがあると、その理由をパワースポットと深く結びつける。すると、また行きたくなるというもの。逆に、もし何か悪いことが起きたとしても、ポジティブなイメージのパワースポットとは結び付けて考えないそうです。

 続いては、龍山寺のすぐそば、地下にある「占い広場」。ここには占の館が45軒もあり。台北最大の占いスポットとして人気を集めています。
 しかし、ここで疑問が…こんなに多くの同業種が集まって、潰し合いにはならないのでしょうか?古川先生の分析によると「競争原理がうまく働いている」とのこと。例えば、東京の秋葉原には電気屋さんがたくさん集まり、自然とお店同士の競争になり、値段を安くしたり品揃えを充実させたりします。すると各地からお客さんがまた集まってくるというもの。これが台湾では、日本以上に細分化。占い広場の他にも、服飾街や骨董通り、マッサージ街などに分かれています。それらが狭い範囲に軒を連ねており、お客さんが集中するんです。
 さらに、同業種が集まるとお店同士の競争が生まれ、少し違ったサービスを提供するようになります。これがリピーターにつながるんです。

 続いて向ったのは、世界に小籠包の名を知らしめたと言われる名店「鼎泰豊」。1993年 "世界で最も、特色のある10大レストラン"に選ばれ、これをきっかけに小籠包人気に火がついたと言われています。
 実は、この小籠包に台湾へ行きたくなる秘密が隠されていたんです。それが「シグナリング効果」。人間が、なにか物事を評価する時に、そのものだけではわからないので、何らかのシグナルで評価する。台湾といえば小籠包や占い、パワースポット、かき氷、夜市などが有名で、そういったものがシグナルとなっているんだそう。つまり、わかりやすいイメージがあると旅の目的になりやすい!台湾には魅力的な名物が多いので旅先に選ばれやすかったんです。

所さんのポイント
ポイント2
台湾にはわかりやすい名物が"たくさん!"あるので、それがイメージが魅力となっていたのだ!


③夜市の人気の秘密とは?

 台湾の夜の人気スポットといえば、夜市。台北市内には大小合わせて10の夜市があり連日賑わっています。地元の味が堪能できると観光客にも人気です。
 コーディネーター歴30年のリョウさんに夜市を案内してもらったのは台北市で最大級の「士林夜市」。屋台が立ち並ぶ地下の飲食街を歩いていると、果物屋さんの前で古川先生が夜市の魅力は「アンカリング効果」にありと分析。人間は最初に見たものの印象で、あとのものの判断にも影響を与えてしまう。例えば、色鮮やかなフルーツを見てすごく美味しそうだと思うと、この市場全体が美味しいんじゃないか、楽しいところなんじゃないか、と判断するのだそう。ちなみに、日本のスーパーでも新鮮さや美味しさを感じやすい商品として入口付近にフルーツが置かれています。

 さらに、厳島先生は夜市の魅力を「五感で感じる味」と分析。
 食べ物を食べる時、舌で味覚を、口やノドで触覚を感じます。さらに夜市は、作っているところを視覚で、壁がない屋台では、美味しそうな匂いを嗅覚で、調理の音や人々の楽しげな声を聴覚でと、五感を刺激される要素が満載です。こういう感覚を楽しめる夜市は味のワンダーランドなんだそう。
 では、五感をいくつかシャットアウトしたらどうなるのか?屋台を作って検証してみます。まず、周りの景色をシャットアウトするテーブル。さらに、お客さんはヘッドフォンをつけ夜市のにぎわう音もシャットアウト。この状態で、近くの屋台で出されている「牡蠣オムレツ」を出します。
 5感を2つシャットアウトした状態で複数人に食べてもらった結果、いつもと同じ料理でも、平均すると2割以上も満足度が下がったんです屋台料理にとって夜市の雰囲気は重要だったんです!

 コーディネーター・リョウさんがオススメする「折角台湾に来たのだから食べたほうがいい屋台料理ベスト5」!

第5位…いつも行列が絶えないという屋台で売られている、人の顔よりも大きい「巨大なフライドチキン」

第4位…揚げたジャガイモに、卵やコーンなど、8種類の具材をのせ…チーズソースをたっぷりかけて出来上がり「チーズポテト」

第3位…見た目はただのパン…でも、中にはネギと牛肉がどっさりの「胡椒餅」

第2位…新鮮なこぶりのカキに、さつまいもの澱粉と卵を合わせた「牡蠣オムレツ」

第1位…外国人は大嫌いだが、せっかく台湾に来たから是非という珍味。豆腐を納豆菌などによって発酵させたつけ汁に一晩漬け込み、さらに油で揚げて甘辛いタレをかけていただきます。台湾の伝統的な料理「臭豆腐」。

以上、ベテランコーディネーターがすすめる台湾の夜市で食べるべきベスト5でした!



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