知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


DIY の科学
第1296回 2015年10月11日


 Do It Yourself!家具など身の回りのものを自分で作っちゃおう!という「DIY」!おウチまるごと、自分好みに変身させちゃう人もたくさんいます!でも、なんだか難しそう…という人こそ必見!元大工見習い、ユージ先生が一般家庭におじゃまして、やってみたくなる簡単便利なDIYを一から紹介します!今回の目がテン!は、今日からやってみたい!簡単楽しい「DIY」を科学します!

①簡単DIYで今ある家具を大変身!

 さっそく、お宅を訪問。大内田さんご一家は、9ヶ月の息子さんとご主人、5歳の娘さんとの4人家族です。大内田さん宅は、2箇所しか収納がありません。こちらの和室には、入りきらない服がびっしりで、息子さん用に買ったケースも既にパンパン。そこで、今あるケースをDIYでおしゃれに、しかも収納を増やします!…と、そのまえに重要なポイントが!実は、全ての出来は「計測で決まる!」というほど大事なポイントなんです。ここできっちり測っておきさえすれば、あとの作業が楽になるので、手を抜かないように!
 完成予想図は、今より1段多い4段のタンスにします。一番上は扉付き!早速材料を買いにホームセンターへ!今回使うのは集成材です。何本もの木材からなる集成材には、あるメリットが。例えば、1本の木から切り出した1枚板の場合。木の外側を「木表」、年輪の中心側を「木裏」といいますが、湿気を吸ったり出したりするうちに木表側に反ってしまうんです。しかし「集成材」は、しっかり乾燥させた小さな木材を、バラバラの向きに接着してあるので、それぞれの反りが抑えられ、変形しにくいんです。必要な木材選びが終わったら…ほとんどの場合、買ったお店でカットしてもらえるので、利用すると便利です!
 今回は、電動工具セットを使ってDIYをします。ネジを打ち込む前にここでポイント!「下穴を開けよ!」電動ドリルの先端に、細い下穴用ドリルをセットします。下穴とは、ネジや釘を入れる前に開けておく誘導の穴。ネジより一回り細い穴で、ネジをまっすぐキレイに入れこむためにとても大事なものなんです。もし、下穴を開けずにネジを入れると、ネジは、木をこじ開けるように入っていくことになります。断面を見ると、ところどころ木がささくれだっていますよね。下穴を開けたものと比べると、木の繊維が壊されているのがわかります。ここから木が割れやすくなり、家具の強度も弱まってしまうんです。底板に、柱を付け終わりました。プラスチックケースの引き出しをここに入れます。実は、ケースをそのまま活用してしまおうというわけなんです。続いては、1段目と2段目の間に仕切りの板を入れます。四つ端の柱の分だけ切り込みを入れたいのですが…ここで電動ドライバーのヘッドをチェンジ。電動ノコギリ、ジグソーに変身!板の端を細かく切っていきますが…ご覧の通り、こんなにスムーズに切れちゃうんです!仕切りの板が、ピッタリとハマりました〜!これをネジで留めます。同じ作業を繰り返して、4段の棚ができました!次に骨組みの周りに板をつけていきます。両方の外側と、裏側の板をつけ終えたら…最後は一番上の天板。ここは目に付く場所なので、ある技で、キレイに仕上げます。使うのは、この小さな丸い木の棒「ダボ」。ドリルも、ダボ専用のものにチェンジ!先端が、少し尖っているのが特徴です。これで穴を開けると…奥にも小さな穴が。大きな穴と同時に、ネジを入れる下穴も開けられるんです。これでネジ頭がすっぽり隠れました。ここに接着剤を入れ、「ダボ」を埋めます。出っ張った部分をのこぎりでスライスすると…キレイでオシャレな仕上がりに!これが「ダボ埋め」!これで、枠は完成!そして仕上げに塗装します!木で作ったものは、傷やよごれから保護するために塗装をします。塗料にはいろいろ種類がありますが、知っておくといい特徴があるんです。
 木材に詳しい、木材・合成博物館館長・東京大学名誉教授の岡野健さんに話を聞くと…「塗装には大きく分けて、塗料が染みこむタイプと、塗料が木材の表面に膜を作るタイプ。この2つに分かれる」と解説。ペンキなど、塗膜を作るタイプの塗料は、表面をしっかり覆うため、保護はもちろん、湿気の出入りをさまたげ、木の変形を防ぎます。一方、オイルステインなど、染みこみタイプの塗料は、着色しつつも木の自然な木目が隠れません。木の良さを活かしつつ保護したい場合に選びましょう。今回は、小さいお子さんもいるので、しっかり保護ができる、塗膜タイプのペンキを選びました。でも、今日はこれだけでは終わりませんよ!
 新品の家具が、塗装の工夫で使い込んだ味のある家具に!今、このエイジング加工が人気なんです!実は、この白いペンキは下地。エイジング加工に使うのは…でんぷん糊!乾いた下地の上に、でんぷん糊をまんべんなく塗っていきます。次に、糊が乾かないうちに、仕上げの色を塗り重ねます。そして、素早くドライヤーで乾かすと…青いペンキがひび割れて、下地の白が見えてきました!名付けて、「ひび割れエイジング〜!」。
 原理は、デンプン糊の上に青い仕上げのペンキを塗りましたが、でんぷん糊が乾くときに縮むので、青いペンキがそれに引っ張られてひび割れる、というわけなんです。さらに、次は別のエイジング!側面は、糊を塗らずに、下地の上に直接青いペンキを塗っていきます。乾いたら、紙やすりで表面をこすると…下地の白が見えてきました。名づけて「こすれエイジング〜!」他にも、木材の表面にわざと傷を付け、染みこみタイプの塗料で傷や木目の色を濃くして、乾燥後にワックスを塗ると、新品の本棚が、使い込んだ渋い風合いになる、「和風エイジング!」。さあいよいよ仕上げ!
 蝶番をつけ、扉を作って完成!既製のプラスチックケースが…DIYで大変身!扉部分にもひび割れエイジングを施し、アンティーク調に。引き出しは…もともとあったものをリメイク。ドリルで穴をあけ開けて、ホームセンターで買った太めのロープを通し、後ろで結んで、つかみやすい取っ手にしたんです。組み立てから完成まで、要した時間はおよそ6時間!


②工具を使わないプチDIYで部屋を広く見せる法則

 大内田さんのもう一つの悩みとは…部屋の圧迫感。悩みを解決するのは…北品川に工房を持つ、DIYアドバイザーの玉井香織さん!今あるものにひと工夫加えて装い新たに作り変えるリメイクの達人が、お部屋のイメージを変身させます。玉井さんが提案したのは、下の方に物があるため、それらをスッキリさせ広く見せるというアイデア。そこでまず注目したのは、右側にある棚と真ん中の大きなイス。イスを端に寄せて、棚を左側に移動します。ここで使うのは、丈夫な樹脂で出来たレンガ風のブロック。
 両面テープで2つ重ねてテレビ台の両サイドにくっつけて、この上に、白い天板を乗せたら…なんと2つの棚が一つの家具に変身!次に目をつけたのは、窓際。冬場の夜しか使わないという分厚いカーテンを外して、壁と同系色の薄い布を用意。これをクリップで挟んで、カーテンレールに付けると…これだけで、かなりスッキリしました!さらに、しまってあったポストカードを、拡大コピー。スチレンボードに貼り、壁に飾ってポスターに。部屋を見比べてみると…確かにスッキリ広く見えます。でも、一体なぜ広く見えるのでしょう?知覚心理に詳しい大阪大学・人間科学研究科の森川和則教授に分析してもらうと…部屋を広く見せる3つの方法を教えてくれました。
 部屋を広く見せる方法には、大きく分けて3つあり、一つ目は「広い壁を分割しない」こと。黒い窓枠と厚いカーテンで分割されていた窓際ですが、同系色に統一したため、壁に区切りがなくなり、スッキリ見えたのです。
 そして2つ目は「床などの対角線を強調する」こと。例えば、同じ大きさの正方形を45度回転してひし形にするだけで元の正方形よりも大きく見えます。ひし形の対角線が水平垂直になります。人間の視覚は、水平と垂直に対して敏感なので、ひし形の場合は、最も長い辺である対角線に注意が向きます。ひし形全体が、より大きく見えるわけです。最初は床全体に物が点在していましたが、家具や椅子を部屋の端にまとめたため対角線上に遮るものがなくなり、そこが強調されるため、広く見えるというわけなんです。そして3つ目は「「遠近法を活用する」こと。今回は、3つの長方形がその役目を果たしているとのこと。まず手前の大きな鏡。真ん中の少し小さめのテレビ。一番奥のビーチの写真。奥に向かって徐々に小さい物を置くことで、写真が遠く感じ、奥行きを強調できたのです。
 さらに、もうひとつキッチンにも悩みが。それは…キッチンを通らないとリビングに行けないという悩み。キッチンは生活感が出るため、来客には見せたくないのだそう。そこで玉井さんが目をつけたのは、シンク周りとは逆の部分。ウォーターサーバーを移動して、1枚の長い布でDIY!
 突っ張り棒に両面テープを貼り、布をクルクル巻き込んで、壁に固定します。布は切らずにたるませて、同じように3箇所突っ張り棒で固定。一体何に使うかというと…ここにファイルや手紙を収納します。
 続いては、DIY女子に大人気、「マスキングテープ」を使います。巻くだけで、簡単デコレーション。どこにでも貼れて、飽きたら剥がせる超手軽なDIY。玉井さんはまず、スチレンボードにシートタイプの鏡を貼り、空いたスペースをマスキングテープでデコレーション。ボードの側面に画鋲を刺して、LEDライトが付いたワイヤーを巻きつけました。華やかな飾り棚の完成!シンプルなキッチンに、カラフルなディスプレイができました。けど、本当にこれで、シンク周りを見られないの〜!?
 そこで実験!大内田さん宅に初めてあがる3人に、視線がわかる特殊なメガネで、どこを見ているかチェックします。まずは、DIY前のキッチンから。赤い丸が視線の位置。一人目は、色々なところに視線が行き…シンク周りにもやはり目が行ってしまいました。そして2人目。こちらも入ってすぐにキョロキョロ。シンク周りもバッチリ見ちゃいました。3人目は、終始、シンクやコンロ周りに視線が集中しているのが良くわかります。
 では、DIY後のキッチンで別の3人で実験!果たしてカラフルなものに視線は誘導されるのか?1人目!いきなりライトのディスプレイに目が行き、作った飾りを見ながらリビングへ!2人目は、こちらも、飾りを見ながらシンクには目もくれず一直線にリビングへ!3人目は…シンク周りにも目が行きましたが、すぐにミラーボードに目をとめました。
 全員のシンク周りを見た秒数を比較してみると、Beforeの3人の合計が14.7秒に対し、Afterは2.9秒。視線誘導のDIYは、効果あり、という結果でした!



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