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ミステリージャーニー[函館]
第1308回 2016年1月10日


 新企画!日本各地の都市や町で見つけた様々なミステリーを、科学者たちが実際に現地へ赴き科学の視点から解明していく「ミステリージャーニー」。

 今回の舞台は北海道の函館!

  2016年3月26日、北海道の人々が、長い間、待ちに待った北海道新幹線・新青森−新函館北斗間がいよいよ開通!東京から函館までが最短でおよそ4時間に!全国で最も魅力的な市町村を決める「地域魅力度ランキング」でも函館は、なんと2年連続全国1位!今、観光客が増えている大人気の観光スポットなんです。しかし函館がこれほど人気なのは、なぜなのか?謎に迫った時、驚きのミステリーが浮かび上がったのです!

①「函館の夜景の魅力に科学者が迫る!」

 函館に行った誰もが訪れる、人気スポットといえば、スペシャルな絶景が望める「函館の夜景」。観光地を星で評価する、世界的に権威あるミシュラングリーンガイドジャポンで函館の夜景は最高評価の3つ星を獲得!一体なぜ、函館の夜景は、これほどまでに絶賛されるのでしょうか?数ある他の夜景スポットと何が違うというのでしょう? そこで!一つ目の函館ミステリーは『函館の夜景 絶景の謎』。
 そのミステリーを解明するのは、2017年にリニューアルする東京駅前広場のプロジェクトリーダー景観デザインに関するスペシャリストの東京大学名誉教授。篠原修先生!早速、先生と夜景スポットの函館山の展望台へ。函館山は標高334メートル。ロープウエーに揺られること3分、函館山の山頂にある、展望台に到着!光と闇のコントラストが美しい函館の夜景です。
 では、科学的に見て、この美しさにはどんな秘密があるのでしょう?
 すると篠原先生は、角度を測る機械を取り出し、函館山から見る夜景の角度を測り始めました。先生によると「マイナス10度ぐらいの所に夜景の中心がくるから綺麗に見える」とのこと。マイナス10度の角度とは、函館山の展望台から水平の視線を0度として、そこから10度下げた角度に夜景の中心があるということ。展望台の高さを下げて行くとマイナス10度に見える位置が変わり、あまり美しく見えないとのこと。そこで展望台から200メートル下りたところで同じ函館の夜景を撮影してみると、夜景の中心の角度はマイナス6度。マイナス10度と比較すると、確かに美しさがレベルダウンしたように見えます。
 なぜ、マイナス10度に夜景の中心が来ると美しく感じるのでしょうか?先生曰く「NASAのデータによるとマイナス10度は人間がナチュラルに最も自然体で対象を見る角度。長い間見てても疲れない」とのこと。人が何かを見るときには、自然で楽な角度があり、首と頭の筋肉に負荷がかからない、およそマイナス3度、目の筋肉に負荷がかからない、およそマイナス7度で合わせてマイナス10度が、最も自然体で楽な角度だというんです。
 そこで、実験です。同じ内容の絵を0度からマイナス40度の位置に貼り視線がわかる特殊なメガネを使ってリラックスした自然な状態では、どの角度の絵に視線が落ち着くのか検証します。実験の結果、10人中8人がマイナス10度の絵に視線が定まったのです。

所さんのポイント
ポイント1
函館の夜景の美しさの秘密は、夜景の中心がマイナス10度で最も自然体に見える角度だからなのだ!


②「函館朝市の科学的買い物術1」

 函館の朝の人気スポット「朝市」。北海道の豊かな海で獲れた活きのいい海産物や旬の野菜、果物などを扱っておりアクセスがいいこともあって、年間約200万人が訪れる日本屈指の朝市!規模も大きく、1万坪という広大な敷地に280店舗以上がひしめいています。だから観光の方は皆さん、店がありすぎて何をどう買えばいいのか悩んでいるようなんです。
 そこで続いての函館ミステリーは…『函館朝市でお土産に何を買えばいいのか、迷ってしまう』 。このミステリーを解明するのは3人の学者!

▼消費者心理から経済を読み解く、お買い物のエキスパート!
 専修大学 経済学部 徳田賢二先生

▼うま味を科学で解き明かすスペシャリスト!
 文教大学 健康栄養学部 笠岡誠一先生

▼人の心理から、買い物を分析!心理学の専門家!
 東京大学 行動文化学科 綿村英一郎先生

 経済学、栄養学、心理学の観点から、お店の多い函館朝市で、お土産をどのように何を買えば合理的か、それぞれの学説をもとに実践してもらいました。

 まずは心理学の綿村先生が買ったのは、一杯7000円の毛ガニ。お店の人にお願いして一回り大きいサイズの箱に梱包してもらったようです。これは心理学の「エビングハウス錯視」を使っているんだそう。
 エビングハウス錯視とは中の青い円が同じ大きさであっても周りを小さい円で囲まれている方が大きく見え、大きな円で囲まれている方が小さく見える錯覚のこと。これと同様に、同じカニを大きさの異なる箱に入れると大きい箱のカニの方が小さく見えます。でもお土産のカニは大きく見えた方が嬉しいのでは?綿村先生によると「元々プレミア感のあるカニは箱をちょっと大きくして小さく見せる事によって更にプレミア感を増してあげる、希少価値を高めてあげる効果がある」とのこと。確かに高級な贈答品ほど、中身に比べて箱が大きく、余白があって高級感を感じます。
綿村先生は、一回り大きい箱に入れかえてもらい、余白を作ってお土産としての高級感を演出したんです。
 逆のパターンで、飴やお菓子など、ちょっとしたお土産では、同じ数でも、大きな袋に入れるより、小さな袋にぎっしり詰まっている方が、量が多く感じて喜ばれるそうです。

所さんのポイント
ポイント2
高価なお土産物は、梱包する箱を少し大きくすると有り難みが倍増するのだ!


③「函館朝市の科学的買い物術2」

 経済学の徳田先生は、自分用に生ウニを100gを2800円でお買い上げ。やっぱりウニは高価ですが「経済学の消費者余剰の観点からは約4割引」とのこと。消費者余剰とは、払ってもいいと感じる金額から実際に払った金額を差し引いた消費者のお得感を示したもの。
 実は徳田先生は事前にデパ地下などの市場価格を調べメモしていました。それによると東京ではデパ地下価格は大体100グラム 5000円。5000円払ってもいいと思っていたそう。それを函館の朝市では2800円で買うことができました。つまり差し引き2200円のお得感を得たというわけなんです。  先生によると、経済学的に見た買い物の極意はお値打ちな物を見つける事にあるんだとか。

所さんのポイント
ポイント3
消費者余剰でのお得感は、いわば一人セール感覚なのだ!

 続いて栄養学の笠岡先生は、真昆布と根ホッケのセットをお買い上げ。この二つの組み合わせうま味の相乗効果が抜群なんだとか。うま味の相乗効果とは、うま味のグルタミン酸とイノシン酸を2つを同時に摂取すると、うま味が相乗的に増える効果。北海道の昆布は、産地によって名称が異なるのですが、実はグルタミン酸の差があるとのこと。

・羅臼昆布のグルタミン酸は2286ミリグラム
・利尻昆布のグルタミン酸は1985ミリグラム
・日高昆布のグルタミン酸は1344ミリグラム 
・真昆布のグルタミン酸は3190ミリグラム 

 つまり、真昆布は他の昆布に比べて非常に多いんです。それとセットでうま味のイノシン酸が多い魚「ホッケ」を選んだというわけ。

所さんのポイント
ポイント4
笠岡先生オススメ!グルタミン酸の真昆布出汁とイノシン酸のホッケを一緒に食べる、うま味の相乗効果抜群の「ホッケ茶漬け」をみんなも真似してみるのだ!




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