知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


ドッキリ の科学
第1309回 2016年1月17日


 テレビが始まって以来、普遍的な人気を博してきた数々の「ドッキリ」番組。そもそも、このドッキリの核となる「驚き」とは何なのか?
 そこで!各界のエキスパートたちの知恵を借りて驚きのメカニズムを追究し、科学的ドッキリを考案!今回の目がテンは!新実験プレゼンター登場記念!科学でドッキリに大挑戦しまーす!

①どうすれば人を驚かせられる?科学的ドッキリに大挑戦!

 まずは、どうすれば人は驚くのか?専門家に聞いてみることに。  伺ったのは、視覚心理のスペシャリスト・女子美術大学大学院・美術研究科の坂田勝亮先生。人は、「環境の急激な変化」が起きると、安定した状態が崩れ驚くのです。さらに坂田先生によると、「事前に驚かす内容を間違った方向に誘導する。これには『プローブ』というものを使う」と言います。「プローブ」とは、人を間違った方向へ誘導する事前情報のこと。
 次に伺った専門家は、音が人の感情に与える影響を研究する音響心理のスペシャリスト・日本大学芸術学部音楽学科の三戸勇気先生。
 先生が提案したのは「音源定位」という方法。音源定位とは、左右の耳に届く音の情報から音源の方向を判断すること。人は音源が正面にない場合でも、左右の耳に届く音の時間差を認識して音源の位置を判断することができるんです。三戸先生によると、「例えば右から音が鳴っているのに対して、実は左からモノが飛んで来るとか(で驚かす)」という方法。
 さらに!音を使った、とっておきの驚かせ方「イメージ誘導効果」も提案してくれました。そこで、その効果の程を確かめるべく実験です!
 実験内容は、部屋のドアに背を向けた状態で立ち続け、ある音を聞きます。そして、合図があったら振り向くというもの。すると…ノック音がし、ハイヒールの音が聞こえます。しかし、実はハイヒールを履いているのはとある男性。「ハイヒール=女性」と思い込み振り返ると、目の前には男性が立っており、実験プレゼンターの渡辺裕太は思わずビックリしてしまいました。つまり、リアルな音を使ってイメージを誘導すれば、人を驚かすことができるんです。
 そして最後に、ちょっと意外な分野からもお知恵を拝借。感情に働きかける情報技術について研究している、東京大学情報理工学系研究科の福嶋政期先生は「人の驚きを増幅させることができる」と分析。と…先生が取り出したのは、謎の装置。それを、両耳にクリップで挟んで装着。実はこれ、「耳たぶ振動装置」。クリップの裏に振動子がついているんです。でも、これで驚きが増幅するとはどういうことなのか?
 そもそも人の耳には外部からの刺激を伝える感覚神経が多く存在します。そのため耳を振動させるだけでも人は驚きますが、視覚や聴覚の刺激を同時に与えることで、さらに驚きを増幅することができると言うんです。
 そこで!どれだけ驚きが増幅するのか、実験です。まずは、耳たぶ振動装置を装着。手のひらの発汗量を計測して驚きの尺度とします。静かな映像の中に驚かすための映像を突然差し込みます。耳への振動が「ない」場合と振動が「ある」場合の発汗量の違いを調べると・・・被験者6人中、なんと5人が耳への振動がある場合の方が発汗量が多く、驚きがアップしていたんです!

 3人の専門家による、人を驚かす知恵が今ここに結集!


②ドッキリ大実験!科学の知恵で驚くのか!?

 ドッキリ実験のメインの仕掛け人は、この3人。プロデューサー役と、ウェイター役は、我が劇団員。チームワークもバッチリです!もちろん、店内の客も仕掛け人。ドッキリの一連を僕は店内の片隅でウォッチングします。そして、気になるターゲットは・・・人気お笑い芸人「安田大サーカスのクロちゃん」と「三四郎の小宮」さんです。
 いよいよドッキリ大実験スタート!現場は都内のとある喫茶店。そこに「目がテン!」のロケの打ち合わせと称して、ターゲットを呼び込み、偽のプロデューサーと話しているうちに様々なドッキリが振りかかるという設定です。
 まずは音源の方向を判断する「音源定位」を使ったドッキリ。ターゲット側に隠されたスピーカーから「いらっしゃいませ」とウェイターの声を流します。ところが、実際は逆からウェイターが出てくるという設定。つまり、音源の方向を裏切って驚かすというもの。さらに、事前に間違った予想を誘導する「プローブ」ドッキリ。スイーツのすごく「甘い」というプローブを使って、実はワサビをたっぷり使ったスイーツというドッキリです。そして、福嶋先生に教えてもらった「耳たぶ振動装置」。打ち合わせ中、プロデューサーが、次の現場で脈拍を測定する実験があると言ってターゲットに装着します。さらにここから一気に畳み掛けます。「環境の急激な変化」を起こすため喫茶店内で突然、ボウリングを始めます。その時に使うボウリングの球、実はコレ、スチロール製の軽い球なんです。この軽い球を「音のイメージ誘導」を使い、本物だと思わせるんです。そして喫茶店で転がす時に実際に使う音がボウリングの衝撃音。この「音のイメージ誘導」と「耳たぶ振動装置」の合わせ技で驚かせます。まずは三四郎の小宮さん。まず音源定位の実験では、想定通り、声が聞こえた逆方向からウェイターが出てきてビックリ。さらに、ワサビたっぷりのメロンプディンを食べると…なんと食べたまま固まってしまいました。すると、突然店内のテーブルが左右に移動し、筋肉ムキムキのプロボウラー役が登場。何も知らされずただただ唖然とする小宮さん、そのまま一番ピンの場所に座らされ、衝撃音と共にボウリングのピンが直撃し、みごと科学的ドッキリ大成功!続いてのターゲット、クロちゃんもみごとドッキリの餌食になりました!


③甘いはずが辛い「プローブ」は成功していたのか?

 プローブの実験で見た目が驚いていないように見えたので、表情から感情を読み取る研究に詳しい、東京未来大学・大坊郁夫先生に実験の映像を見てもらいました。「甘い」と見せかけて実は「辛い」メロンプディンのプローブは成功したのか?先生によると、「まず基本的には驚いているというのは成功だと思います。口を何回も動かしているのは、自分の味覚がどうなんだろうということも不安げに確かめているんです。アレっという驚きはあったと思います。ただそれが外側に必ずしも出ないで探索にすぐに行った。驚いているから探索した、というところが言える」と解説。そしてクロちゃんの場合は、「まず驚きは前提にあるけれど、それよりも自分の身を守らねばならない。防御反応としての嘔吐が中心になった」と分析。先生によると、「驚き」があったからこそ「探索」や「防御」ができるというんです。つまり、プローブ実験で驚かす事は本当に成功していたんです。



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