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ミステリージャーニー[三重県]
第1315回 2016年2月28日


 日本各地の土地土地に眠る様々なミステリーを科学者たちが実際に現地へ赴き、科学の視点で解明していく「ミステリージャーニー」三重編。
 厚生労働省の国民健康栄養調査によると、体重と身長の割合から肥満度を示すBMIが三重県は全国で最も数値が低く肥満の割合が最下位!一体なぜ三重県には太った人が少ないのか!?

①三重県に肥満が少ない秘密1・・・伝統の油

 最初に調査するのは三重県北部に位置する桑名市。町の人にインタビューすると、みなさん実感として太っている方はあまりいないと感じているようです。今回、三重県民に肥満が少ないミステリーを解明するのは…医学の観点から肥満を分析する慶応義塾大学・医学部の井上先生。そして歴史的観点から肥満を考察する三重県の歴史を熟知する皇學館大学の千種先生。
 先生たちと桑名市内にあるスーパーマーケットで調査開始。すると医学の専門家、井上先生が「米油」に注目。米油とは、玄米を精米する際に出る米ぬかが原料。米ぬかには、およそ20%の油分が含まれており、この油分を取り出してできるのが「米油」なんです。井上先生によると、米油の中にはスーパービタミンEと呼ばれる肥満を改善する様な成分が含まれています。油をとったり、運動不足になると、体に脂肪が付きます。そして、酸化ストレスがかかると体に脂肪がついたままになります。酸化ストレスとは暴飲暴食、精神的ストレス、喫煙などで発生しその酸化ストレスがたまると脂肪が分解されにくくなり中性脂肪が溜まってしまいます。この酸化ストレスを減らしてくれるのが米油に含まれるスーパービタミンE。つまりスーパービタミンEを摂取すると脂肪を分解しやすくなり、肥満になりにくいと考えられているんです。このスーパービタミンEは他の植物性油にはほとんど含まれていないそうです。
 では、どうして米油が三重県に根付いてるのか?歴史の先生によると、江戸時代に桑名の菜種油職人、多胡喜六さんが偶然、米ぬかに落とした和紙に油がしみているのを見て米ぬかから油を絞ることを思いついたのが米油のはじまり。その後、米油が桑名市で作られるようになり日常的に米油が使われているんです。
 桑名市内のご家庭を覗かせていただくと、確かに米油を使っているお宅が多かったのです。米油の使い方も見せて頂くと、揚げ物や炒めモノなど、いろんな料理に使っていました。

所さんのポイント
ポイント1
三重県に肥満が少ないミステリーは、脂肪を分解しやすくするスーパービタミンEが豊富な米油を日常的に使っているからだったのだ!


②三重県に肥満が少ない秘密2・・・生活習慣

 続いて、伊勢神宮で肥満が少ない謎を調査。伊勢神宮へ続く参道は800メートルほどあり、伊勢名物の太くて柔らかい麺を真っ黒で濃厚なつゆで食べる伊勢うどんの店があったり、餅をこしあんで包んだ三重名物赤福餅の店もあり観光客に大人気のスポット。そして参道を歩いていると至る所に犬のグッズが。歴史に詳しい千種先生によると、この犬こそが三重県に肥満が少ないミステリーを解く鍵とのこと。実は三重県は100人中7.4人の人が犬を飼っており日本一の犬好き県なんです!
 でも、三重県に肥満が少ないことが犬と何の関係があるのでしょうか?運動生理学のスペシャリスト日本体育大学・中里先生によると「犬の散歩」と関係があるそう。そこで渡辺裕太が1キロのコースを散歩します。中里先生にこの時のダイエット効果を解説してもらうと、犬と歩くと人間の歩行数は増え、身体活動量が増える。その積み重ねが脂肪の減少に繋がっていくとのこと。さらに、時々綱が引っ張られる様な状態は、筋肉に力が入っているのに引き伸ばされる「伸張性収縮」で脂質の燃焼を高めまるそう。これを365日習慣化されることによって肥満の防止、減少などにつながるというのです。
 そもそもなぜ三重県は犬を飼っている割合が全国1位なのか?それは伊勢神宮と犬の関わりがあるそう。江戸時代中期、お伊勢参りが全国的に流行した際、病気などで行けない人は飼い犬を伊勢参りに行く人に預け、自分の代わりに犬を伊勢神宮へ参拝させていたのです。その犬はおかげ犬と呼ばれ昔から三重の人は世話をしたり、丁寧にもてなしていたとのこと。実際、宮城県には明治6年に犬が伊勢神宮へ参拝し、帰って来たことを記す石碑が残っています。昔からそのお伊勢参りの犬と触れ合う機会も三重県民は多かったので、今も犬を飼っている人が多いのかもしれないのです。

所さんのポイント
ポイント2
江戸時代から続く三重県民の犬好きが肥満が少ない理由だったのだ!


③三重県に肥満が少ない秘密3・・・お酒

 居酒屋さんのお客さんに何を飲んでいるのか尋ねると、4人中3人がノンアルコール。さらに他のテーブルでも3人中2人がノンアルコール。実は、三重県の方は全国で一番ビールの消費量が少ない県なんです。総務省から出ている全国家計調査を見てみると三重県はビール、酒類の購入金額が全国最下位。さらにワインの購入金額も下から2番目と三重の方はお酒をあまり飲まない県民性。
 一体ナゼなのか?そこには驚くべき事実がありました!医学の井上先生によると、三重県の方は全国で一番、遺伝子的にお酒に弱いという事が分かっています。お酒に弱い遺伝子は3つの型があり、NN型、ND型、DD型。NN型はたくさん飲める酒豪タイプ。ND型はほどほど飲めるタイプ。DD型はほとんどお酒を受け付けないタイプ。そして三重県はお酒を受け付けないDD型の遺伝子の人が13.7%いて、全国で一番多いのです。ちなみに、全国で最もお酒に強いのはDD型の人が1.5%しかいない秋田県。
 お酒を飲むと、高カロリーの食事をつい食べ過ぎてしまい、また夜に飲むことが多いので、飲んだ後、運動することもなく肥満になりやすいのです。

所さんのポイント
ポイント3
三重県民は遺伝子的にお酒に弱い人が多いため、おつまみで余分なカロリーを摂取することも少なく肥満が少なかったのだ!




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