放送内容

第1357回
2017.01.08
東京湾グルメ の科学 食べ物 場所・建物

 東京湾再生を目指し活動するプロジェクトで東京湾再生アンバサダーとして活躍中の桝アナが、東京湾で新鮮な江戸前の魚介類を捜索!今の東京湾で海が豊かだった江戸時代の料理を作ることができるのか?
 桝太一アナウンサー生き物バンザイ「東京湾グルメの科学」です。

東京湾の干潟でアサリとり

 桝アナがまず向かったのは、東京湾にある神奈川県横浜市の野島干潟。ここは春と夏に潮干狩りが楽しめ、多くの人が訪れる人気スポット。夏は潮が引いているが、冬は潮が引かないため、潮干狩りをする人はほとんどいません。そこで、胸元まである防水ブーツ、ライフジャケットを着用し完全防備で臨みます。協力いただいたのは東京湾の生態系に詳しく野島でアサリの調査もしている風呂田利夫先生。
 江戸時代から、春や夏の風物詩として盛んになった潮干狩り。浮世絵にもその様子が描かれています。実は、この野島も、江戸の人たちが潮干狩りを楽しんだ場所。東京湾では数少ない自然干潟で育った貴重な天然アサリは見つけられるのか?

 2センチ以下のアサリをとるのは禁止なので、今回は直接手で掘ることに。すると江戸前の天然アサリをさっそく発見!海に手を入れ、砂地をさぐるだけで、アサリがザクザク!しかも東京湾のアサリはほかの産地に比べ、江戸っ子だからか粋な模様が多いとか。40分ほどで、貴重な天然アサリをたくさんとることができました!
 江戸前の天然アサリがどれだけ貴重かと言えば…そもそも干潟とは、潮が引くとあらわれる遠浅の浜で、軟らかい砂や泥が顔を出す場所のこと。1909年頃までは、東京湾の海岸一体は、ほぼ干潟。しかし、最近は、埋め立てや護岸工事で干潟が大きく減りました。人工干潟なども作られていますが、それを含めてもわずかな量。実は干潟の働きは『水をキレイに保つ』ことであり、干潟には植物やアサリなど二枚貝が多く暮らし、有機物などを栄養として取り込んで分解します。これが水質を浄化する機能として働いているんです。有機物が分解されないと、海中に酸素が少ない状態になり生き物がすめなくなる、東京湾がなかなか改善が進まないのは干潟が少なくなったことにもあるんです。

ポイント1

江戸時代の料亭料理再現のため貴重な江戸前天然アサリをゲットしたのだ!

江戸前ホシザメはんぺん

 冬に心と体を温めてくれるおでん。関東のおでんに欠かせない具材として人気のはんぺんが生まれたのは江戸時代。東京湾に「鮫場」と呼ばれる幕府直轄の漁場があり、ここで水揚げされたサメを使って江戸のはんぺんは作られました。ちなみに、当時の川柳に「蒲鉾屋 星を叩いて 月を出し」というのがあり、月とははんぺん、星はホシザメというサメのこと。つまり江戸時代、ホシザメを使って、はんぺんを作っていたんです。
 そこで、実験プレゼンターの酒井さんが東京湾でホシザメ釣りに挑戦!船に乗り込んで出港!目指すポイントは横浜本牧沖。出港して20分でポイントに到着。早速釣りを開始すると30分で大きな当たりが…魚影は大きなサメ!しかしホシザメではなくドチザメという種類。その後、ホシザメがかかることはなく…さらに実験プレゼンターの酒井さんが船酔いでダウン!自力でホシザメゲットは断念。

 諦めきれないので、漁師さんにお願いし、ホシザメを捕まえてもらいました。
 そのホシザメを持って、創業1688年江戸は元禄の頃から続く練り物店に。はんぺんの作り方は、まずホシザメの皮をとり身だけを取り出し、次に石臼を使ってすり身にします。そして塩などの調味料を加えながら、すり身をメレンゲのようにふんわりさせていきます。さらに、ここからが職人技!江戸時代から続く伝統の技で、すり身をたたきながら形を作ります。これを枠から外して茹でればはんぺんの完成!できたてのはんぺんは魚の味がしてほんのり甘くふわふわ!

ポイント2

とりあえず、ホシザメを使った江戸時代のはんぺんが完成したのだ!

東京湾の底引き漁グルメ

 桝アナが底引き網漁をするためやってきたのは千葉県木更津市にある金田漁港。地元の底引き網漁師・山中修二さんと風呂田先生にも同行してもらうことに。
 出港して20分。目の前には東京湾アクアライン、上空には着陸体勢に入った飛行機が飛ぶ東京湾のど真ん中!
 底引き網漁は、袋状の網を海底に沈め船を走らせ、海底付近にいる魚を網ですくっていく漁法。網を投入し走ることおよそ30分、どんな魚が網に入ってくるかはすべて運任せ…30分後に網をあげてみると大漁!

 網に入っていたのは、冬が旬の高級なコウイカ、別名スミイカ。そしてマコガレイ。平たい体と大きなひれが特徴の江戸前を代表するおいしい魚コチ。さらに高級魚のクロダイまで!立派な車エビもゲット!!東京湾の水質がキレイになったため、復活してきた江戸前の主。ほかにも、カワハギや江戸前のシャコ、マハゼなどをとることができました。そして…ホシザメもここでゲット!今回、合計9種類ゲットという素晴らしい結果に。
 新鮮な魚を持って、江戸時代の料亭料理を作ってくれるお店、創業1717年の江戸時代から続く料亭「八百善」へ。浮世絵にも描かれ11代将軍家斉や篤姫、勝海舟も通ったという名店。料理を作るのは、十代目ご主人の栗山善四郎さんと十一代目の雄太郎さん。こちらのお店には、江戸時代のレシピや当時の献立表などが残っていて、当時の貴重な資料をみながら次々と料理が決定しました!
 底引き網漁でとれた魚を使った料理が…『黒鯛の湯引き辛子酢味噌がけ』『すみいかの黄味酢がけ』『碁石ガレイ』『こち火取 アサリあん』『車えびの包み真丈』はんぺんを使った『三州味噌仕立て』以上の6品に!これには所さんも大絶賛!
 今回の江戸前グルメ作りは大成功!しかし確かに戻ってきた生き物もいますが、まだまだ数も少なく東京湾完全復活までの道のりは遠いのが実情。

 現在、東京湾をキレイにするため、色々な取り組みが行われています。
 たとえば『マリンストーン®』という製品は、鉄を作るときにできる副産物を利用した環境に優しいリサイクル資材で、これが海をキレイにする事に役立っています。

 この製品をヘドロが積もった海底に沈めると、ヘドロに含まれる硫化水素やリンを吸着するため悪臭の発生や、リンの溶出を抑制して、悪化した水質や底質を改善します。また、硫化水素が酸素を消費することも抑えるため、海底の酸素が少なくなること(貧酸素化)も防ぎます。
 他にも、この製品の表面やすきまが、海底の生き物のすみかとなるため、二枚貝やホヤなど、濁った海水を濾(こ)しとってキレイにする力を持つと言われる生き物がすみやすくなるというメリットもあるんです。

ポイント3

東京湾を昔のようなきれいに!生き物たちが戻ってくるように!環境にする知られざる努力があったのだ!