放送内容

第1377回
2017.05.28
健康長寿「静岡県」の科学 場所・建物 人間科学

 今回の目がテンは、大人気「長寿シリーズ」第5弾!
 これまで、日本全国の様々な長寿スポットに科学で迫ってきた目がテン!今回、次なる長寿スポットとして注目したのは…静岡!実は静岡県は全国健康寿命ランキングで毎回トップクラスにランクインするご長寿県。
 健康寿命とは、介護を必要とせず自立した生活ができる期間を指します。つまり、この健康寿命が長ければ健康で元気な生活が長く送れるということ!そこで、静岡の健康なご長寿さんを徹底調査!健康寿命トップクラス静岡で長生きの秘訣を見つけちゃいます。

82歳と76歳のご長寿夫妻に1日密着!

 静岡県の中央部に位置する川根本町。豊かな自然に恵まれた山あいの町です。ここに、健康長寿につながる謎の会合があると聞き、その会場へ。すると…たくさんのお年寄りがコスプレ姿で歌い踊る、予想もしない光景が!実はこれ、「サロン」と呼ばれるもので、お年寄りが交流をする場として県内全ての市町村で行われている取り組みなんです。この地区では、月一回、皆さんの発案でコスプレやゲームをして楽しんでいるそうで・・・。実は、コスプレをして、恥ずかしいと感じる気持ち、これが健康長寿につながるというんです。どういうことなんでしょうか?
 そこで、国立長寿医療研究センターで活動してきた下方浩史先生に伺いました。先生によると、「コスプレをすることで、非日常性を高めることができる。それが脳の適応力を高めて、脳が活発に働いて認知症の予防になるんです。恥ずかしいことを、あえてやるのが良い」と解説。さすが、健康長寿の町、早くも長寿の秘訣を発見です!

 さらに、この町でも指折りのお元気なご長寿さんの元へ向かいました。伺ったのは、松下欣市さん・八百子さんご夫婦。お二人の生活のどこが、長寿にいいポイントなのか?下方先生が1日密着しました。
 朝5時半に起床。最初に起きてきたのは妻の八百子さん。趣味の野菜や花の状態をチェックした後、遠くの山を眺めるのが日課。ここに最初の、健康長寿の秘訣が!下方先生は、「遠くを見るのは、目のレンズをリラックスさせる。目の調節機能は毛様体筋がになっているのですが、その筋をリラックスさせる。これが目の老化の予防につながる」と解説。

 その後、朝食の準備に取り掛かります。そのうちに、夫の欣市さんも起きてきました。この日の朝食は、ご飯にみそ汁、目玉焼きなど。中でも先生が注目したのが、ご飯。ご飯はすごく脂肪が少なく、脂肪は動脈硬化の要因になると言われていますが、パンと比べると15分の1しかないんです。実は静岡は米どころ新潟を抑え、お米の年平均支出金額が日本一のご飯大好き県民!どうやらこれが健康長寿につながっているようです。
 さらに、ご飯の食べ方にも健康長寿の秘訣が!八百子さん、冷やご飯をおにぎりにして食べていたんです。でも、冷えたご飯がどう良いんでしょうか?下方先生は、「ご飯が冷えると、デンプンの構造が変わって消化されにくい、レジスタントスターチに変わる。それが増えることで血糖値の上昇を抑えることができる。また、食物繊維と同じような作用をしてお腹の調子を整えて、便通を促すことにもつながる」と解説。

 元はトラックドライバーだった欣市さん。今は、趣味の農作業をして過ごしています。普段から体を動かしているので、急斜面での作業も楽にこなします。しかも、外でしっかり日光を浴びることが、ビタミンDを合成、これが骨や筋肉を作ってくれるんです。
 12時、昼食です。メニューはご飯に鮭に煮物など。中でも先生が注目したのが、しらす干し。下方先生によると、「しらすはすごくいいと思います。カルシウムがたっぷり入っています。牛乳の5倍くらい入っている。エラスチンという成分が入っています。これは皮膚の弾力性を保つのに役立つ成分で、骨も丈夫になるし、皮膚も若返る」と解説。最も深い場所で2500mと、日本一深い駿河湾は魚の宝庫。そのため、静岡はしらす干しの年平均支出金額が日本一なのを始め、マグロやアジの干物でも日本一。ご飯に加え、魚をたくさん食べるのも健康長寿の秘訣のようです。
 午後3時、畑仕事の合間に休憩です。おやつに食べるのは静岡の特産、温州ミカン。実はミカンにも意外な健康長寿の秘訣が!下方先生によると、「温州ミカンにはβクリプトキサンチンというビタミンAの一種がたくさん入っている。これが骨を丈夫にする効果を持っている」と解説。毎日4個食べると、骨粗しょう症のリスクが大きく減ることがわかっています。

 夕方、隣町に住む、孫娘の菜々美ちゃんが遊びに来ました。孫の大好きな折り紙を折ることも、健康長寿の秘訣。下方先生によると、「手先を使った細かい作業。こういう作業はすごく脳を使う、認知症の予防になるんです」と解説。孫娘と遊ぶ楽しさも生きがいとなり、健康長寿につながるそうです。
 午後5時半、息子夫婦も加わり夕食です。メニューはご飯に豚肉とキャベツの炒め物など。実は、この食材にも健康長寿の秘訣が隠されていました。夕食のメニューだけでも、大根、にんじん、タケノコ、キャベツ、ジャガイモ、玉ネギ、パセリ、キクイモと、家の畑で採れたものが8種類もありました。これについて下方先生は、「多くの種類の物を食べることによって栄養のバランスがとれる。それから新鮮な食材を食べることによって、より栄養素が高い状態で食べられる」と解説。
 実は静岡県は水産物や農作物など地元でとれる食材が439品目ととても豊富。たくさんの食材を使った料理が普段から食べられるんです。そして夜10時に就寝。暮らしの中に長寿の秘訣が詰まっていたのです。

ポイント1

「コスプレ」や「冷えたご飯を食べる」ことが健康長寿の秘訣なのだ!

ご長寿夫婦に密着して分かった“お茶の意外な事実”!

 1日密着で、もう一つ長寿の秘訣を発見しました!静岡の名産といえばお茶です。実はお茶が、長寿の秘訣だというんです。確かに、お茶は健康にいいと言いますが、どんな秘密があるんでしょうか?
 そこで、ご長寿さんが飲む茶葉をチェック!使うのは普段使いの茶葉。特別なものではありませんでした。では、飲み方はどうでしょう?お湯を入れてから30秒ほど蒸らして注ぐ、いたって普通の淹れ方。ここにも特別なことはありません。
 しかし、ご長寿夫婦に1日密着したところ、意外な事実がわかったんです!朝食、八百子さんが飲んだお茶は湯飲み2杯分。欣市さんも同じく2杯、飲みました。その後、欣市さんは昼食や3時の休憩など合計12杯!さらに八百子さんは…なんと1日合計15杯ものお茶を飲んでいたんです。どうやら、このお茶の飲み方が健康長寿につながるようなんです。

 下方先生によると、「お茶を飲むことによってカテキンが血管の老化を防ぐ、これが全身の老化を防ぐことにつながる。お茶をたくさん飲んで、血管を丈夫にすることが健康長寿につながる」と解説。では、お茶をよく飲むご長寿さんの血管はどのくらい良いのか?
 血管の年齢を計測できる機器で検証です。まずは実年齢82歳の欣市さんが挑戦!すると血管年齢は、71歳と出ました!続いては、実年齢が76歳の八百子さんを計測!こちらも実年齢より10歳若い66歳でした!さらに、94歳の澤田さんが挑戦!すると、結果はなんと79歳!お茶を1日8杯以上飲むご長寿さん、12人の血管年齢を調べたところ、11人が実年齢よりも若かったんです!

ポイント2

このお茶の飲み方が血管の老化を防ぎ、健康長寿につながっていたのだ!

ご長寿さんが愛する「黒はんぺん」とは?

 長寿の秘密を見せてもらえると聞き、伺ったのは、ある、ご長寿のお宅。
 こちらが竹野達三さん83歳。その秘密が、静岡名物、黒はんぺん。日常的によく食べられているそうです。しかも、その食べ方もおでんやフライなどバリエーションが豊富。静岡の人にとって、はんぺんと言えば「黒」しかないそうですが・・・一般的に、はんぺんと言えば白のイメージですよね。これはスケトウダラなどの白身を使っているからなんです。なぜ黒はんぺんは黒いのか?実はその黒さに健康長寿の秘訣が!

 黒はんぺんの会社に伺って作り方を見せていただき、黒さの秘密を探ります。主な材料は、頭と内蔵を取り除いただけのイワシ。これをミキサーにかけると、黒色のミンチが現れました。そう、骨や皮も丸ごと使うため、はんぺんが黒くなっていたんです。その後、練り上げたすり身を成型機に入れ…茹であげれば完成です。この魚を丸ごと使うことが健康長寿につながるようなんです。

 これについて下方先生によると、「魚が持っているミネラルを十分とることができる。たくさんカルシウムが入っているのは、骨を作るのに非常に重要です。亜鉛とかマンガンとかセレンとか、非常に人体に貴重な微量のミネラルが入っている」と解説。

ポイント3

静岡独特の伝統料理「黒はんぺん」が健康長寿に一役買っていたのだ!