放送内容

第1378回
2017.06.04
ツバメ の科学 地上の動物

 桝太一アナの生き物バンザイ!
 身近すぎて知らないことだらけ!?「ツバメの科学」。

都市部のツバメを探せ!

 ツバメは昔から益鳥と言われ、古くは万葉集からツバメが登場し、春を知らせる鳥として親しまれていた。冬、フィリピンやインドネシアなど東南アジアで過ごし広い海を渡って春に日本にやってきます。そんなツバメがここ2年、都心で観察されていないというニュースが。そこで、都心でツバメ探しに挑戦!
 協力してくれる専門家は、ツバメの行動や生態を研究している北村亘先生。桝アナとは大学院時代の同期。

 ツバメ探しポイント1.鳴き声。「チュルリチュルリチュルリジャー」という、オスの鳴き声を探すこと。鳴き声が聞こえれば、数十メートル以内に巣があるそう。
 ポイント2.ツバメがよく巣を作る軒下やガレージなど、奥まった場所を探すこと。ツバメが都会で減っている原因の一つがカラスに襲われているからと言われています。カラスを逃れるために、見えにくいところに入っていくそう。
 そこで、研究者がよく使う通称ツバメ棒を用意。伸び縮みする棒と自転車用ミラーを組み合わせたもの。ツバメの巣を見つけたらこれで中を観察。先生は、気象庁が2年間観測できなかったのは、数が減ったからで、ちゃんと探せば、まだいるはずと言います。
 そこで都心の貴重なツバメを探してみることに!多くのブランド店や百貨店が並ぶ銀座に本当にツバメがいるのか?大通りから1本奥の道に入って捜索。すると早速、ビルの下の駐車場の奥に巣を発見!しかし2年間、使われていない巣でした。さらに、歩くこと20分。空を見上げながら進んでいるとツバメが飛ぶ姿を発見。そこで、近くの巣がありそうな場所をくまなく捜索…銀座の百貨店の通用口にツバメの巣を2つも発見!子育てをしていました。

 さらに、こちらのタクシー会社のガレージにも。蛍光灯の裏に巣を発見!そこでツバメ棒を使い、巣の中を覗いてみます。観察する時の注意点は、巣に親ツバメがいないときにのぞくこと。そして何度ものぞくと、ツバメが怖がるので、一日一回程度にしてください。巣に触らないよう細心の注意を払って覗いてみると・・・巣の中にいくつもの卵を発見。

ポイント1

数は減ったとはいえ、都会のど真ん中でツバメは健気に生き抜いていたのだ!

ツバメのコロニー潜入!

 訪れたのは、埼玉県春日部市にある道の駅。なんと、この道の駅には50個以上のツバメの巣があるんです!まさにツバメの集合住宅!どうしてこんなに多く生息しているのでしょうか?
 北村先生によると「周りの環境が良いこともありますが、巣を作りやすい構造をしているひさしがあって、土をのっけやすい」とのこと。様々な条件が合うここは、ツバメの楽園になっていたんです。早速、巣の中の観察です。巣にツバメがいない隙を狙い、今回は特別に、巣に近づいて手鏡で直接のぞいてみます。巣には、卵から出てきたばかりのヒナが。子育てが始まったばかりの状況です。オスとメスが交互にヒナにエサをやり協力して子育てをするんです。

 そこで、巣から飛び立ったツバメを追跡することに。その先に、ツバメのエサ場があるはずです!ツバメを追いかけてみると、急旋回などすごい飛行能力を発揮、ツバメは自由自在に飛び回って餌を捕まえていました。道の駅から近いこの場所がツバメたちの拠点。
 集合住宅は生物学的にコロニーと言って、同一の生物が繁殖のために作る群れなんですが、あの場所にツバメのコロニーが出来たのは、近くに田んぼや川などがあり、エサや巣の材料が豊富なこと。また道の駅なので、ガードマンである人間が多く、建物の形が巣を作りやすいということが挙げられるそう。

ポイント2

巣がある道の駅を往復するくらいで生活が成り立っていたのだ!

ツバメの巣づくり体験!

 垂直な壁に作られることが多いツバメの巣。巣作りはまず、水分を含んだ泥を、何度もくっつけ、まるで石垣のように、積み重ねていくようです。さらに泥と泥の間に、枯れ草やワラを挟み込むことで巣の強度を上げているんです。この作業を1週間ほど繰り返します。そして、総仕上げが、鳥の羽毛をもってきて最後にクッション材代わりに。これで羽毛布団つきのマイホームの完成です。

 しかし、なぜ垂直な壁に頑丈な巣を作ることができるのでしょうか。その謎に迫るため、桝アナがツバメの巣を手作り!用意したのは、巣の材料として、4種類の土。そして、最近の住宅に使われている壁や、ビルによくある壁、そして昔の住宅によく使われていた漆喰の壁を用意。どの土が最適か。土に水分を含ませ、壁にくっつきやすそうなものを探ってみると、一番良かったのは田んぼの土。ほかの土は粒が大きかったり、不純物が多くまとりにくかったのですが田んぼの土は、粒も小さく粘り気もあってまとまりやすいんです。ということで、使う材料は、田んぼの土に決定。

 続いては、壁選び。それぞれに、田んぼの土をくっつけてみます。どの壁が土のくっつきがいいのか?比較してみます。乾燥時間を短縮するため、ドライヤーで乾かしていると、ビルによく使われる壁は巣作りには向きませんでした。その中で、漆喰の壁は表面がザラザラしていて向いている様子。ということで、昔の家によく使われていた漆喰の壁で、巣作りを開始!ツバメと同じく、小さな塊を作り、石垣のように積む気の遠くなる作業。地味で大変な作業。3分の1ほど、巣ができたその時・・・崩れてしまいました。壊れたら、一から作り直しです。巣作りを開始して、およそ2時間。枯れ草で巣を補強し、だんだんツバメの巣らしくなってきました。ところが・・・またしても崩壊。人間には、ツバメの巣作りは不可能なのか?しかしあきらめるわけにはいきません!執念で再び作り直します!そして、ついに完成!

 桝アナの同期生でありツバメ専門家の北村先生によると『本物の方が、泥の塊が小さく細かく並べられている。桝の方は泥の塊が大きい。また、土台部分が小さいので巣が小さくなり中にヒナが暮らすスペースがない』と酷評!

ポイント3

やはり人間はツバメにかなわないのだ!