放送内容

第1391回
2017.09.10
北極 の科学 場所・建物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 今年10月で、放送開始から29年目に突入する所さんの目がテンでは、来たる放送30年に向けて様々な壮大なチャレンジをスタート!
 今回、壮大なチャレンジを行う舞台は…北極!そこで1年間、カメラの定点撮影をしたら、見たことがないものが見られるはずということで、北極の様子を一年間見守り続けるという新たなプロジェクトにチャレンジ!
 放送30年目前!北極スペシャルです!

北極ハンター真実の姿とは!?

 今年の夏休み特集で訪れたのは、北極点にほど近いグリーンランド!
 中でも驚きだったのが・・・・世界遺産アイスフィヨルドのある町、イルリサットで見つけた光景!まさに北極の奇跡!大自然の氷の絶景を体験することができました!しかしここは、世界遺産があることによって観光地化されている街。もっと伝統的な北極での生活を見てみたい!そこで街で聞き込みをすると・・・漁で生計をたてている「サカック」というイヌイットの集落があるという情報をゲット。しかもそこは、4500年前、グリーンランドに初めて人類が移住した場所だというのです。
 そこで、船に乗りその小さな集落に行くことにしました!船に揺られること4時間!氷山の街イルリサットから北に100キロほど行くと…サカック村が見えてきました!北極の集落に住む人々の生活は、どれくらいワイルドなものなのか?
 さっそく4500年前、グリーンランドに人類が初めて上陸、住み着いたという場所へ。岩肌がむき出しの大地、道なき道をイヌイットの方に連れられて歩くこと1時間…グリーンランドで一番古いといわれる4500年前のサカック文明の住居跡に到着。わずかに残るのは、円形の住居の基礎。

 北極に人類が残した貴重な痕跡です。この付近の海岸で、古代の人々が海での猟で使った道具が見つかり、分析の結果、4500年前のものだと分かりました。ここで猟で生計を立てる、集落でも指折りの凄腕ハンターがいるという有力情報をゲット!
 彼らはどんなワイルドな生活を送っているのか!?家を外から見る限り木造で、氷の上に住んでいるわけではないようです。そして…迎えてくれたのは毛皮ではなくノースリーブの若い女性!?家の中はどうなっているのか?想像とは全く違う、開放感のある現代的なリビング!

 リビングには最新の大画面薄型テレビ!Tシャツ姿の男性が子供をあやしながらに手にしているのはスマートフォン!イヌイットの生活はIT化され、現代的なものになっていたんです!
 もはやこの集落では、伝統的なイヌイットの暮らしは消えてしまったのか?落胆しかけたその時!彼らのスマホに驚くべきものが!体重1トンを超える巨大なセイウチが仕留められた姿!

 ソファの上でセイウチのようになっているご主人が凄腕ハンターだったんです!
 しかも、その狩りをご自身で撮影していました。彼らは海や陸の獣を狩り、貴重な現金の収入源にしているそうです。犬ぞりでトナカイを追いかけている映像…家からわずか数キロの場所だそうです。

 自宅は現代的でしたが、暮らしは大自然と一体だったんです。でもどうして自分でこういう映像を撮っているんでしょうか? 実は、外で獲物をハントしたら、今度はネットで、いいねをゲットすべく映像をSNSで公開していたんです!犬ぞりの動画をアップした、奥さんのSNSをチェックすると…いいね!を70個以上ゲット!3600回以上再生されていました!

 今晩のメインディッシュは、ご主人がハントしたトナカイの骨付き肉スープ!肉以外の具はすいとんとわずかな野菜。イヌイットの家庭料理だそうです。

 肉はナイフで切り分け、手づかみでワイルドに頂くのがイヌイット流。味付けはシンプルな塩味。少し固かったですが、臭みはなくとても食べやすいお肉でした。そして実は…アーネさんは早速、家に日本から目がテンが取材に来たことをSNSにアップ!いいね!を57個、ゲットしていたんです!

北極のスーパーで意外なものを発見!

 続いて向かったのは、この島にある「スーパー」。こんな集落にも、日用品を扱うスーパーがあったんです。グリーンランドではほとんど野菜がとれないので、スーパーにはわずかな量と種類しか出回りません。そんな中、今、グリーンランドでは農業の可能性を探る研究も行われているそうです。そして、スーパーには、この地に暮らす人々に必要な日用品が揃っていますが、日本ではありえない陳列を見つけちゃいました。色々な生活用品と一緒に、ハンティングライフルが売られていたんです。

 つまりライフルもここでは生活用品の扱いなんです。

自然との闘い アザラシ猟に同行!

 サカックのハンターの方にお願いして、アザラシ猟に同行させてもらいました。猟場まで猛スピードで船を走らせ、氷山すれすれをおよそ1時間すっ飛ばしました!
 とその道すがら、北極の海ならではの出会いが…ナガスクジラの群れに遭遇。この海にはエサとなる動物性プランクトンが豊富で、大きな鯨もおり、プランクトンを食べにくる魚を狙う海の動物たちも多いんです。そして肝心のアザラシ猟では…アザラシを見つけた船長さんがボートを急加速!しかしどこにアザラシが?すると…確かにアザラシが波間に浮かんでます!

 その時!アザラシ目がけて銃を撃ちました!弾は当たったようですが…傷を負わせたものの仕留めきれませんでした。この後、何度かアザラシの群れを見つけましたが、この日は一頭も仕留められませんでした。これも北極で生きる厳しさなんです。

所さん人形で北極定点観測プロジェクト開始!

 氷が支配する極限の地…北極!氷河と氷山が生み出す絶景は地球上のどこにも見られない貴重なものでした。そもそも、氷河は大量の雪が何年も積み重なり、自らの重みで氷となって横へと押し広がり生まれたもの。

 大陸氷河と呼ばれるものは、南極とグリーンランドにしかありません。この貴重な氷の大地は、重要なメッセージを送っているといいます。そんな、氷の大地のメッセージを紐解くべく、極限の地で研究する日本の大学のチームがいました。北海道大学低温科学研究所、杉山慎先生です。
 杉山先生によると、「世界中の氷河・氷床の中で一番氷を失って海水面をあげているのがグリーンランドの氷。南極氷床はグリーンランドの10倍大きい。でも、失っている氷の量はグリーンランドの方が多い。温暖化の影響をもろに受けて氷が解け始めている」とのこと。JAXAの衛星が解析した夏の北極圏の氷の状況を見てみるとグリーンランドの土地の多くが緑色になっています。実は緑は、その部分の表面が完全に凍っていることを意味します。逆に白い部分は表面が少しでも溶けかけているということ。
 日々、緑色の大きさは変化していますが、これまでグリーンランドには、夏でも完全に凍っている部分が常に存在しました。ところが…2012年7月のデータを見てみると…7月13日にグリーンランド全体が真っ白に!つまり、グリーンランド全土で氷が溶け始めるという現象が見られたのです。これは観測史上初めてのこと。
 そんな地球の激変を研究する杉山先生のチームが目指す、極北の町、カナックに目がテンも同行し、そして!そこでは、所さん人形を氷の上に設置して定点撮影!

 激しく変化しているという北極を1年間定点撮影見守り続けようという壮大なプロジェクトがスタート!ところが…カナックに向かうその日、天候は大荒れ!飛行機が飛ばず、移動できませんでした。その後、何日も飛行機はキャンセルが続き、足止め状態。そして…ついにカナック行きを断念。
 そこで、心優しい杉山先生に全力で甘えて、所さん人形とカメラを杉山先生に託すことに!丸投げされた杉山先生たちがやってきたのは、グリーンランドで人が暮らす北限の町、カナック。調査・研究を行うのは、さらにヘリコプターで50キロほど北東に移動した…ボードイン氷河!この氷河と海の境界を目指します。

 ヘリの着陸地点から氷の上を歩いて移動…氷河の謎を解く調査、開始です。
 氷河の表面には、この様な氷河湖がいくつもあります。氷河の表面が溶けてできた、氷河湖の真水はやがて氷の隙間に流れ込み…何百メートルもの厚さの氷河の下を通って、やがて海に湧き上がってくると考えられています。これがプルーム現象。

 確かに氷河と海の境界に水はありますが、これが本当に、氷河の下を通って海へと流れだした氷河湖の水なのか、これまで証明されていませんでした。
 今回、杉山先生たちは、世界で初めてその検証に挑んだのです。水温や塩分濃度を計測できるセンサーを直接氷河の下に投げ込み、水質を検査する方法で、杉山先生たちは、氷河の下から真水が湧き上っていることを突き止めたのです。

 さらに別のポイントで杉山先生たちは、北極の気象観測や氷河の移動スピードの測定など様々な調査を行っています。その調査のついでに、丸投げした所さん人形とカメラの設置をやってくれたんです。
 先生たちの観測装置のすぐ近くに…まず、長い特殊なドリルで穴をあけます。その長さ、3メートル!そこにパイプを差し込み、固定します。そのパイプの地面ぎりぎりに所さん人形と定点カメラを設置していただきました!
 一年間ここで、所さん人形とカメラは北極の海と空と大地を見つめます。

 カメラのシャッターは30分に1回。それ以外にもモーションセンサー付きなので、もし動くものがカメラの前を横切ればシャッターが切られます!カメラは、来年、杉山先生たちが再び観測に訪れた際に回収してもらいます。 設置から回収まで、研究者に丸投げの北極定点観測!1年がかりの大プロジェクト始動です!