放送内容

第1392回
2017.09.17
麺類 の科学 食べ物

 うどん!蕎麦!パスタ!麺類がとにかく大好きな日本人!そんな麺類をもっと美味しく食べたい!
 そこで今回は!科学の力で、家庭の麺料理を劇的に美味しくする方法をご紹介!
 今回は麺類スペシャル!麺類をちょっと一手間で美味しくする方法をご紹介します!

即席ラーメンに生麺のような歯ごたえを出す方法!

 スーパーで売っている安い麺を、ほんのひと手間で劇的に美味しくする方法。近年の目がテン史上、もっとも反響の大きかった回があります。
 それは…2016年放送の「パスタの回」教えてくれたのは、製粉会社で長年小麦粉について研究されていた工学院大学の山田昌治教授。これまで、パスタはたっぷりのお湯で茹でるのが常識でした。しかし山田先生が提唱するのはその常識をくつがえす「蒸しパスタ」!なんとフライパンで作るそうなんです。
 1人前100gで水の量はわずか400ml。沸騰したら、パスタを半分に折り、お湯が入ったフライパンへ入れフタをします。泡が出てきたら…中火にし、パッケージ通りの時間、加熱します。すると…お湯はほとんどなくなっていたんです。こうすることで、高級パスタのようになると言います。
 そもそも高級パスタは、安いパスタに比べ、表面がボコボコしています。

 パスタは練った小麦粉を小さな穴から押し出すことで作られます普通のパスタは安定して大量に生産されるためにその出口がすべりのよいテフロンで加工されています。しかし、伝統的な機械で作られる高級パスタは滑りの悪いブロンズを使用。これが理由で、高級パスタは麺の表面がボコボコしているのでソースによくからむんです。そこで、ソースの絡みやすさをみるため茹で上がったパスタに米粒がどれだけくっつくのか?見てみると…高級パスタは、普通のパスタに比べ、4割も多く、米粒がくっついたんです。米粒を並べてみると、一目瞭然!
 では、蒸しパスタはどうなのでしょうか?同じように、麺に米粒をつけてみると…なんと高級パスタと同じ3g!

 蒸すことでパスタから流れ出たデンプンが表面にもどり、ソースのからみやすい麺になったんです。
 詳しい蒸しパスタの作り方はこちらをご覧ください。

 パスタの次は・・・手軽に食べられる日本の国民食「即席ラーメン」!即席麺は、長く保存できるよう油で揚げたり乾燥させたりして作られます。その際、麺に無数の小さな穴があき、茹でるときこの穴に水分が入り込むため、歯ごたえが出にくいんです。しかし、ある方法を使えば、即席麺に歯ごたえを出すことができると言います!
 使うのは食用の重曹。1L におおさじ1杯の食用重曹を入れます。急に吹きこぼれることがあるので、沸騰する前に入れましょう。何も入れない即席ラーメンと重曹入りのお湯で即席ラーメンを同時に茹でて比較してみます。重曹は少し苦味があるのでスープは別のお湯でつくります。重曹で茹でた麺は本当に歯ごたえが増しているのでしょうか?
 食感を測定できる装置で歯ごたえを測ってみると…重曹を入れた麺は普通に茹でた麺にくらべ6割も歯ごたえが増したんです。

 小麦粉に多く含まれるグルテンと言われる成分は網目のような構造になっていて、この構造が歯ごたえを生んでいます。重曹を入れてゆでると、お湯がアルカリ性になり 化学反応でグルテンの結合の手が増え、歯ごたえが増すんです。
 重曹がない場合には、こんにゃくでも代用できます。こんにゃくは、重曹と同じアルカリ性の物質で固めて作られたものなので麺に歯ごたえがでます。麺を半分にし、糸こんにゃくを麺に見立てれば…ヘルシーで歯ごたえのある即席麺が作れるんです。

「吹きこぼれ」と「麺のくっつき」を身近なアレで解決!

 麺類を茹でる時の悩みについて街の人に聞いてみると…特に多かったのが・・・「麺の吹きこぼれ」と、「茹でた麺がなべ底にくっつく」という悩み。街の人がやっている吹きこぼれの対処法で多かったのが・・・火力を下げたり、吹きこぼれる直前でさし水をするというもの。しかし露久保先生によると、「麺の茹で方としては、あまりよくない。しっかり高温のお湯で茹でることで、麺のでんぷんこれが糊化してもちもち食感になるので、温度を下げてしまうと、糊化がうまくできず、均一な麺ができない」とのこと。
 そこで、露久保先生がおすすめする“吹きこぼれない麺の茹で方”が…小皿を使う方法!水の中に、小皿を逆さにして沈めます。比較のため、小皿を入れないものと入れたもので麺を茹でてみました。麺を入れて再沸騰したら、両方、中火にします。すると、小皿を入れていないほうが吹きこぼれてしまいました。一方、小皿を使った方は、まったく吹きこぼれていません。
 通常、火の位置や鍋の構造から、鍋の中では外向きの対流が起こり、外側に吹きこぼれやすい状況にあります。しかし、小皿を入れることで、対流が乱れ内向きに変わるため、吹きこぼれの原因となる泡が消えやすくなるというんです。

 実際に、小皿を入れたものを見てみると、泡が中央に集まり、対流が内向きになっていることがわかりました。

 続いては、茹で上がった麺がなべ底にくっつくという悩み!これを解決する方法というのが・・・なんと牛乳!牛乳を使うだけで、鍋底に麺がくっつかなくなるというんです。1L のお湯に対し大さじ1程度の牛乳を加えます。麺がくっつきやすい状態を作るため、少ないお湯で箸ではあまりかき混ぜずに茹でました。
 2分後、麺をあげてみると…少ないお湯で茹でたにも関わらず、牛乳を入れるとほとんど麺がくっつかなかったんです。

 これについて露久保先生は、「牛乳を使うと、乳脂肪分が含まれているので、うまく麺の周りをコーティングしてくっつかないという効果を引き出してくれる」と解説。さらに、牛乳のタンパク質が、鍋の底に薄い膜を貼るので、麺がくっつきにくくなったんです。こうして牛乳で茹でると、茹でた後の麺同士のくっつきも防止。味も変わらないんです!

ゆでうどんにコシを出す!家庭で作る焼きそばを「屋台の味」に!

 茹で時間も短く済み、値段の手頃な、人気の「茹でうどん」。中には、1食50円以下の格安なものも。しかし、ゆでうどんには“ある気になる点”が…ゆでうどんは、流通の際に品質が変わらないよう麺に水をたくさん含ませているので、コシが弱いんです。うどんに重要なコシ。科学的に数値化することができると言います。
 コシや歯ごたえなどの麺の食感。実はそれぞれに定義があるといいます。
 まず歯ごたえとは、麺に切れ目が入る時にかかる圧力のこと。一方、コシとは麺に切れ目が入ってから完全に切れるまでの切れにくさだと言います。こちらの装置を使って今度はコシを測ってみます。麺に切れ目が入ってから完全に切れるまでの、抵抗力を計測します。ゆでうどんと比較のため、生のうどんを用意し、コシを計測してみると…生のうどんに比べ、ゆでうどんのコシはおよそ半分だということがわかりました。

 このゆでうどんに“コシを出すひと手間”があると言います。それは…電子レンジ!
袋から出したうどんを皿にのせ、ラップで包みます。そして、500Wの電子レンジで2分間、加熱。その後…指示通りの時間でゆでます。普通に茹でたものと、電子レンジで加熱してからゆでたものを食べ比べてみると…コシの違いにビックリ!電子レンジで2分加熱し、茹でたゆでうどんでコシを計測します。すると…電子レンジにかける前と比べて約3.5倍もコシがでていたんです!

 電子レンジにより、しっかりとコシを感じられる数値になったと山田先生は言います。小麦粉に適度な水分が含まれていると、コシが生まれます。しかし、ゆでうどんのように水が入りすぎると、タンパク質の分子はバラバラになってしまい、こしが失われてしまいます。電子レンジで水分を飛ばすことでコシを取り戻すことができたんです。
 ゆでうどんは、電子レンジで加熱するとコシがでる!

 続いては…手軽に作れる焼きそば!家庭で作るとベチャッとしがちな焼きそばを、屋台のような絶品焼きそばにする方法!
 使うのは…なんと「お酒」!通常、焼きそばは水で麺をほぐしますが、水を完全に飛ばさないとべちゃっとした仕上がりになってしまうことがあります。一方、屋台のやきそばは高温の鉄板で炒めるため、余分な水分が飛び、美味しく仕上がるんです。そこで、水ではなく麺に料理酒を大さじ1杯入れてほぐします。アルコールは沸点が水に比べて低いため、余分な水分が残らないんです。普通に作ったものと比較してみると…その差は歴然!焼きそばは、お酒で麺をほぐすと屋台の味になりました!