放送内容

第1470回
2019.04.07
移住体験・福江島 の科学[前編] 場所・建物

 移住シリーズ第6弾!舞台は、長崎県・五島列島最大の島「福江島」。長崎港からおよそ100km先。コバルトブルーの美しい海や芝生に覆われた活火山の鬼岳。さらには島独自の奇祭など、離島ならではの魅力溢れる場所がたくさん。そんな福江島には、近年、毎年100人以上もの移住者が集まり、とくに、若い世代がこの島に惹かれ移住してきています。今回も、金丸慎太郎さんが移住体験プレゼンターとして1週間の移住体験!
 今回の目がテンは、若い世代に人気の移住先。長崎県・五島列島の「福江島」を前後編、2週に渡ってお送りします!

長崎県・五島列島の福江島で家探し!

 東京、羽田空港から飛行機で福岡を経由しておよそ3時間、やってきたのは五島福江空港。そこからバスに乗り継ぎます。福江島は、日本の灯台50選に選ばれた大瀬崎灯台や、日本の渚百選などにも選ばれた高浜海水浴場など、さらには未婚の女性を長さ3メートルの大草鞋に乗せ、子孫繁栄を祈願する奇祭が毎年開催されるなど、島独自の文化が今も残っているんです。
 そもそも福江島は、かつて遣唐使が、日本から中国へ渡るための、最後の寄港地にしていた島。遣唐使・空海も、自らの書物に「日本の最果ての地を去る」と残し中国へ渡ったとされています。そして到着したのは「福江島」の東部に位置する街の中心地。まずは恒例の家探しのため五島市役所へ。
 今回相談に乗ってくれたのは、市役所で移住支援を担当する、福江島出身の戸村さん。なんと福江島の移住者のほとんどが40歳以下の若い世代。実は、市が積極的に若い世代の移住者を呼び込んでいるんです。その理由は、五島市の人口は年々減り続けており、1955年の9万人をピークに、現在は60%減のおよそ3万7千人。これを受け、市では子供がいる夫婦が五島市へ引っ越しする際の代金を一部負担する制度や、35歳未満であれば、奨学金の返済を一部負担する制度など、若い世代へ向けた様々な支援制度があるんです。

 島の現状を知ったところで金丸さんが住めそうな場所を聞いてみると、一軒家はありませんでしたが、市が移住希望者におすすめしているゲストハウスのひとつがあるというので、さっそく案内してもらうことに。
 案内してもらったのはゲストハウス「雨通宿(うとじゅく)」。

 しかし、ゲストハウスなのにお店の看板は、なぜか「寝具店」。オーナーの瀬川さんに案内され、店内に入ります。実はここ、島唯一のふとん屋さんなのですが、布団をほかにも活用できないかと、5年前にゲストハウスをオープン。さらに、夜な夜な移住者が集まるというバーもありました。
 ゲストハウスの部屋を見せてもらうと、部屋は男女別で、1ルームに2段ベッドが4つの8人部屋。実はこのゲストハウス、移住希望者が情報収集をするにはうってつけの場所だと言います。それは、フリースペースのリビングがあるから。ここに宿泊者同士が集まり、情報交換の場として役立っているそうです。

 気になる宿泊料は、一泊2700円。ということで、こちらのゲストハウスに滞在決定!今回、この場所をきっかけに様々なステキな出会いが生まれます。

 家も決まったところで、さっそく向かったのは、恒例の今治タオルで近所へご挨拶。続いて、先輩移住者のもとを訪ねます。訪ねたのは、地元・福江島出身の張本和伸さん。実は福江島は、高校までしかなく進学の際は、島を離れなければなりません。大学卒業後、神奈川で仕事をしながら素子さんと出会い結婚。8年前、実家の葬祭業を継ぐため、奥さんを連れ福江島へ。現在は2人の子供と共に、家族4人で暮らしています。神奈川出身の奥さんは、周りの人から島での移住は絶対に無理だといわれたが、福江島に何度も来ているうちにだんだん福江島のことを好きになっていき、これなら移住できると思い、移住を決意したんだそう。

 一方、島ならではの不便さも、それは台風が来たとき、物流が完全に止まること。五島列島は沖縄と同様、台風が毎年直撃するため本島からの物流が何日にも渡りストップすることがあると言うんです。

 そして、保育園に通う2人の子供のお迎えについていきます。しかし着いたのは江戸幕府最後に築かれた、日本で最も新しい「石田城」跡地。この石田城の跡地に保育園がありました。長男の蒼大(そうた)くんと長女の紬(つむぎ)ちゃんをお出迎え。島には保育施設が23か所あり、待機児童率はゼロと、子育て環境も整っているんです。蒼大くん、紬ちゃんと合流した所で、近くの公園へ。子供が伸び伸び遊べる環境が、この島の魅力でもあったんです。

先輩移住者が働く世界初の養殖施設とは?

 移住生活初日、ゲストハウスに戻るとオーナーの瀬川さんが、交流会を開いてくれるということで、リビングへ。集まってくれたのは、このゲストハウスをきっかけに移住を決めた先輩移住者5人と、地元で46年暮らす、竹村さん。さらに、福江島への移住を考え、現在ゲストハウスに泊まりながら情報を集めている、大阪出身の堀部さん。
 振る舞ってくれたのは、讃岐、稲庭うどんと並ぶ日本三大うどんの1つといわれる「五島うどん」。シンプルに生卵と醤油を絡めていただきます。
 移住者のひとり、3年前、東京から移住してきた副田賢介さん。元々の理由はダイビングをしに来たこと。そこで、ゲストハウスで出会った人たちと仲良くなり現在は旅行会社を起業し、福江島で働いています。他にも、副田さんが作った旅行会社で働く人や、ホテル、食肉加工業などの職に就き移住生活を送っている方々が。
 この日の取材を終え、ゲストハウス初日は充実した1日になりました!
 そして翌日。この日は先輩移住者の仕事場に伺いました。3年前、長崎から五島市へ移住してきた澤村拓さん。以前は建築会社に勤めていましたが、福江島で行われている養殖の仕事がしたいと移住を決意。未経験ながらここで働き始めました。
 実は福江島は、近畿大学が成功させた、クロマグロの完全養殖を行う場所。そう、ここは世界初の“近大マグロの養殖施設”だったんです。

 そして、ヨコワという魚を飼っている生け簀があるというので見せてもらうことに。ヨコワとはマグロの幼魚のことでこの施設では卵から親マグロになるまでを一括で育てているんです。澤村さん同様、養殖のために福江島へ移住してきた先輩移住者もいらっしゃいました。
 クロマグロの幼魚である「ヨコワ」の生け簀に到着。そこには、直径30mもの巨大な生け簀が!真上から見ると、その姿がはっきりと見えます。

 餌やりは養殖場にとって日課のお仕事。さっそく金丸さんもお手伝い。
 福江島の海域は、黒潮から分岐した対馬海流が流れ込む場所で、その一帯は、天然のヨコワが暮らす海域。マグロの養殖場にはピッタリの場所だったんです。

 生け簀には、およそ2000匹のヨコワが泳いでおり、一箇所にエサをまくと、ヨコワ同士が衝突し弱ってしまいます。そのため、広い範囲にばら撒く必要があるんです。水中を見てみると、たくさんのヨコワが餌に反応しています。ちなみに、1日にあげる餌の量は、1袋大体20kgの配合飼料を10袋、200kg近くになるそうです。

 澤村さんが、福江島ならではの“癒やしのスポット”があるというのでシャベルを持って向かいます。実はここ、温泉の源泉が海へと流れ出ている場所。

 岩を並べ、源泉を海へ流していき天然の足湯づくりに挑戦です。岩を敷き詰めること15分。さっそく、源泉と海水が混ざり合うところに足をつけてみると、気持ちのいい足湯が完成しました。
 大自然で生まれた島ならではの足湯を堪能し、移住生活2日目が終了です。