放送内容

第1480回
2019.06.16
移住体験・岐阜県郡上市 の科学[後編] 場所・建物

 今回の目がテンは、「移住シリーズ」第7弾!岐阜県・郡上市の後編。今回金丸慎太郎さんが暮らすのは、街をどんどんと離れ、車で峠を越えて進むこと1時間。標高700mにある、周囲を山々で囲まれた自然豊かな「石徹白(いとしろ)」地区。大自然で暮らす、先輩移住者たちと触れ合いました。
 今回は、全国から多くの取材陣が殺到した「郡上おどり」に金丸さんが参加!恒例の自撮り生活も行います!

地元の木で作る!郡上踊り専用の下駄

 移住生活3日目。この日、部屋でくつろいでいると…移住初日に知り合った黒木さんがやってきました。8年前、岐阜市から家族で移住してきた先輩移住者。以前は外資系のIT企業で働いていましたが、田舎暮らしに憧れ、移住後は農家に転身しました。
 実は、石徹白(いとしろ)にはスーパーやコンビニがなく、定期的に買い出しに行かなければなりません。そのため、1週間に1度のまとめ買いに行くのに誘って頂いたんです。山を下り、車で走ること1時間。野菜など、生活必需品を一気にまとめ買いし、1週間分の買い出しが終了!
 買い物を終え、街を散策していると…美味しそうなシカ肉のソーセージが!すると…何やらお祭りののぼりを見つけました。これは、毎年夏に行われる、日本三大盆踊りの一つ「郡上おどり」。お盆の時期、連日連夜、徹夜で踊り明かす郡上市の伝統のお祭りですが…実は、元号が変わる今年、その歴史的瞬間にも特別に行われるというんです。

 金丸さんも黒木さんからお誘いを受けました。郡上おどりに参加するには欠かせないアイテムがあるそうで…郡上木履(もくり)という下駄屋さんに連れて行ってもらいました。そこで置いていたのは、専用の踊り下駄!ヒノキを使っているのが特徴で、歯の部分が1枚の木から削り出して作っているのだそう。通常の下駄は、歯と足を乗せる台をそれぞれ接着してつなぎとめますが、下駄を蹴って、音を鳴らしながら踊る郡上おどりは、丈夫な作りにするため、一本の木から削り出しているんです。

 実は、店主の諸橋(もろはし)さんも愛知県出身の先輩移住者。元々は家具職人になるため、岐阜にある木工の専門学校に通っていたそうですが、そこで勉強しているうちに郡上八幡が好きになり、5年ほど前から下駄職人に。実は、郡上市は、街の9割が森林に囲まれていて、その半分はヒノキが占めているのですが、郡上おどりの下駄には使われていませんでした。そんな現状を知り、移住をして下駄職人になったと言うんです。
 今回特別に、下駄作りを見せてもらいます。まずは、鼻緒を通すための穴を開けます。金丸さんも穴あけ作業をお手伝い。ここから「下駄の歯」と呼ばれる部分を作っていくのですが…

 この作業がとにかく一苦労。下駄専用の機械が無いため、地道に削りながら、歯の形を作っていきます。その後、カッターで他の部分を切り落とし、下駄の形を整えて、最後に機械で落としきれなかった破片を取り除きます。
 こうして、作業開始から1時間で完成!そして、下駄に鼻緒を取り付けさせてもらった完成品は、金丸さんにプレゼント。郡上おどり専用の下駄も完成し、いよいよお祭り本番を待つのみです!

平成から令和へ!徹夜の郡上おどり

 平成最後のこの日。街はお祭りムードで賑わっていました。元号が変わる歴史的瞬間を祝うため、着々と準備が進みます。
 午後7時、まずは郡上おどり保存会の方々が、踊りながら、やぐらをメイン会場まで運びます。黒木さんと、知り合いの鴛谷(おしたに)さん家族と合流し、午後8時。ここからは、一般の方も参加し、みんなで踊ります。すると、どんどん参加者が増えていき、その数およそ1万5千人!

 大勢で改元を祝うこの様子は、全国に生中継されました。会場には、いたる所で踊る人が。金丸さんも踊ってみたいと声をかけました。見よう見まねで踊りを覚え、輪になって一緒に踊っていると…会場には、移住生活で出会ったシカ猟に連れて行ってくれた興膳(こうぜん)さん一家が。ゲタを鳴らしながら、みんなと一緒に踊っていると…下駄職人の諸橋さんが、お祭りの様子を伺いに。せっかくなので、諸橋さんも一緒に踊ります!目の前で自分が作った下駄が使われて、諸橋さんもうれしそうです。
 その後、会場では途切れることなく踊りが続き、元号が変わる歴史的瞬間を迎えます。カウントダウンをして、平成から令和へ。金丸さん、新しい時代の幕開けを、移住生活で迎えました。

 夜中の2時まで踊り続け、さすがに疲れを隠しきれない金丸さんでした。

自撮り生活!石徹白(いとしろ)住民とパーティー

 ここからは、移住生活恒例の自撮り生活。相手の本音を引き出すため、金丸さん自らカメラを回し、移住生活を撮影してもらいます。
 まずは、移住生活初日に出会った大西さんに石徹白(いとしろ)にある湧き水スポット「桂清水」へ連れて行ってもらうことに。そこには、巨大なカツラの木の下に流れ出る湧き水が。

 巨大なカツラの木の根っこの下からは、とても澄んだきれいな水が流れていました。
 そして、家に戻りくつろいでいると…自治会長の石徹白育夫さんが訪ねてきてくれました。石徹白さんは、移住初日のご近所挨拶に伺った時に金丸さんのご飯の心配をしてくれていた方。なんと、わざわざ釣った魚をおすそ分けに来てくれたんです。とれたての新鮮なイワナ。

 今後の食料にするため、下処理をして保管することに。こうして自撮り生活の初日が終了しました。

 翌日、絵馬教室をやってる方にお誘いを受けていたので、その方のもとへ行くことに。迎えてくれたのは、先輩移住者の岩田義一(よしかず)さん。家の中には100点以上の絵馬が掛けられていました。そこにあったのは、戦前に神社にかけられていた古い絵馬。なんと岩田さん、絵馬の文献を収集して復刻する絵馬職人だったんです。
 特別に、色塗りを体験させてもらいました。集中しながら作業を続けていると…金丸さんの丁寧な塗り方に感心した岩田さん。「後継者を作りたい」という思いを吐露します。そんな話をしながら作業を続けること1時間。令和を記念した絵馬が完成しました!

 そして晩御飯には、大西さんに石徹白(いとしろ)の住人での集まりに誘って頂きました。一品持ち寄りということだったので、愛媛出身の金丸さんは、郷土料理の鯛めしを作って持って行くことに。鯛めしに使うお米は、興膳(こうぜん)と「六ノ里(ろくのり)」という村に遊びに行った時に農家の方から頂いた、品評会でグランプリをとったという「棚田米」。先日行った、カツラの木から流れ出る湧き水を使い、調理開始。調味料を目分量で入れていき、あとは大西さんのお家で炊き込むだけ。
 そして、移住生活最後の夜、大西さん宅のパーティーに向かいます。すると、何やら大西さんが外国の人と話し込んでいる様子が。大西さんが話しているこの2人、実は東京から自転車で旅をしている途中、石徹白(いとしろ)にやって来たというスイスからの観光客。一緒にパーティーに参加します。
 鯛めしを炊いている間、金丸さんが鬼となって子供たちと鬼ごっこをすることに。しかし、開始5分で息が上がり、ヘトヘトに。そして…持ち寄った料理も出揃い、パーティー開始!みんなで乾杯します。絵馬職人の岩田さんが振る舞ってくれたのは、日本酒に焼きイワナを入れた「骨酒」。

 実はこのイワナ、自撮り生活初日に自治会長さんから頂いたモノでした。そして、そろそろ金丸さんが作った鯛めしが炊きあがる頃。しかし、完成した頃にはもう外が真っ暗で、肝心の鯛めしを食べてもらうシーンが撮れませんでした…。
 こうしてカメラに収められていたのは、自撮り生活を通して仲良くなった地元の方々や先輩移住者たちの素敵な笑顔。

 そして10日間の移住生活を終え、自撮り生活は終了しました。最後には、お世話になった方々がお別れのあいさつにやって来てくれました。風彗(かえ)ちゃんからは、ナツメという木の実のプレゼントも。郡上市のみなさんの優しさに触れ、郡上おどりや豊かな自然にも大満足の金丸さんでした。