放送内容

第1501回
2019.11.17
かがくの里・田舎暮らし の科学[収穫祭1] 場所・建物 食べ物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 今から、もう5年も前。2014年11月。水はけの悪く、石だらけの荒れた土地からスタートしたかがくの里。その後、科学者たちが科学の知恵と力で荒れ果てたこの土地を切り開き、少しずつ、少しずつ、豊かにしていきました。
 5年目を迎えた今年も田畑ではたくさんの作物が実り、ため池では、去年始めたウナギを絶滅の危機から救うかもしれないプロジェクトが今年も進行中!
 さらに里山から切り出した間伐材を使って、小屋を建てたり橋をかけたり、かがくの里の景色も大きく様変わり。だから毎年恒例となった、所さんを迎えて送る秋の大収穫祭を今年も楽しみに待っていたんです。
 しかし、その直前の10月、未曽有の大型台風が日本に上陸。里がある茨城にも大きな被害がでました。数日後、阿部さんが里を訪れると、大雨で土砂が崩れ、せっかくかけた橋も壊れていました。ウナギがいる、池のシートもグチャグチャ。ただ、かがくの里は山の上にあるので、田んぼや畑の被害は比較的小さく、西野さんがすぐに友人を次々に呼び、橋と池の復旧に取り掛かってくれたんです!
 地元の皆さんのおかげで、すぐに元通り!
 そして今年も5回目となる収穫祭を迎えることができたんです!!
 豊かな実りをおいしく!楽しく!おもしろく、充実したかがくの里で、秋の里山を存分に味わい尽くします!かがくの里、5回目の大収穫祭スペシャル!!

「玉ねぎ」と「サトイモ」を大収穫!

 今年は、作物にとってあまりに過酷すぎました。まず7月は長雨続きの日照不足。野菜や果物がうまく育たず値段が上がっていました。そして10月、全国的に農作物に大きな被害を受けた台風。
 かがくの里で、最も心配だったのが5月に苗を植えたお米。秋に稲穂が膨らみ収穫直前でしたが、実りが悪かったことで台風の風にも耐え稲は倒れなかったんです。でも雨が続いたこともあって収穫は例年より遅れまだハウスで乾燥中。

 去年11月。高橋先生が、タマネギが専門の先生から苗を頂きました。その数なんと15品種。タマネギが膨らむのは葉っぱの根本。私たちが食べているタマネギで見てみると、根、茎、地中で育つ葉っぱ。だからタマネギは土の中で育つけど、ハクサイやレタスと同じ葉菜類なんです。タマネギの品種は、収穫時期が早く新タマネギとして出回ることの多い早生品種と、収穫時期が遅く保存に適した中生・晩生品種にわけられます。
 里では初めての挑戦。うまく育つか不安でしたが、冬を越して5月、丸いタマネギがちょこんと顔を出しました。地上に出ている葉が倒れていれば収穫の合図ですが、早生品種の一部はすでに倒れていました。さっそく、収穫。早生品種は保存できる期間は短いけど、水水しくて、サラダ向き。
 6月に入るとほとんどの葉が倒れ収穫時期に。なんと、今回植えた15品種すべてがよく育ちました。

 タマネギの保存で大敵は湿度。なので、風通りのよい屋根の下に吊るしておけば長く保存ができるんです。ご家庭でも、湿度の高い野菜室に入れると長持ちしないので要注意。
 そして、収穫したタマネギを露久保先生に調理していただきました。露久保先生が里で採れたタマネギの中で、加熱処理することで甘みを増す品種もみじ3号を、バターでじっくりきつね色になるまで炒め、コンソメで味を調えて、できたのはオニオンスープ!

 5月中旬。高橋先生の教え子、貫禄のある大学3年生村上くんが、実家の福島からサトイモの種イモを持ってきてくれました。
 サトイモは、前の年に余ったイモを植えておけば、それが種イモになって、上に親イモと呼ばれるイモができます。
 親イモにポコポコとついたイモが子イモ。私たちがサトイモとして食べているのは、主にこの子イモ。その子イモにイモがつけば孫イモ。

 夏の日照不足をものともせず立派に育ったサトイモの葉っぱ。サトイモは水持ちのよい場所でよく育つそう。つまり、里の畑に植えるにはピッタリだったんです!

太陽熱温水シャワーでお湯が出るのか!?

 毎年、太陽熱でお湯を作ると言い続け、はや4年。かつて一度も暖かいお湯は出来ていません。今年は、早くから目がテンの発明王、酒井さんとじっくり打合せ。すると川村先生、毎年失敗を繰り返す原因を、山があって日陰があるため、9時くらいからしか温まり始めない地域と分析。
 実はシャワーを浴びるお風呂の位置は隣の山の陰になり、一日の日照時間が非常に少ない場所。その問題を解決するため、2人が導き出したポイントは2つ!
 一つは、温水器を日当たりのよい場所に設置し、ホースでお風呂までお湯を引っ張ること。もう一つが、収穫祭前日に1日中温め保温すること。
 目標の40度を実現するため、酒井さんは収穫祭2日前から準備を始め、熱を吸収しやすくするため黒く塗った塩ビ管を作業場の日当たりのよい屋根の上に設置!

 そして前日、秋晴れの太陽で、丸1日温めました。夜間は、しっかり保温!今年こそ!お湯は出るんでしょうか!?しかし、ホースから出たのは冷たい水。今年も太陽熱温水シャワーは大失敗!

 結局、保温できず冷めちゃったみたいです。
 一方、この時、裕太さんは採れたてサトイモを蒸かしていました。採れたて蒸かしサトイモは所さんも大絶賛でした!