放送内容

第1538回
2020.08.09
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 植物 地上の動物

 人の手が離れ、荒れてしまった土地を科学者たちが開拓。人と、自然や生き物が豊かに共存する里山再生を目指す長期実験企画、目がテン!かがくの里!
 茨城県にあるかがくの里に行けなくなって、3か月が過ぎ、6月下旬、ついに阿部さんが、かがくの里へ!!
 すると…かがくの里に、驚きの変化が起きていた!?
 さらに!里に、いろんな生き物がやってきて、かわいいお客さんまで!
 かがくの里がバージョンアップ!今年も収穫祭に向けて、ついに本格始動します!

玉ねぎの様子は…?

 3月29日。この日、関東では季節外れの大雪が降り、かがくの里も真っ白に!雪が舞う中、阿部さんと西野さんは、手すりを増築していました。実はこの日以降、阿部さんは、かがくの里に来られなくなってしまいましたが、それから3か月が過ぎた6月末、阿部さんがかがくの里に戻ってきました。里はどうなっているのか?
 今や、かがくの里には欠かせない地元の林業家の西野さんが、この3ヶ月、里の様子を見て、手入れしてくれていたんです。
 田んぼでは、いつでも田植えができるように、水を張って土を平らにならす“代掻き”をしてくれ、さらに、周りの雑草も刈り込んでくれたおかげで、去年の6月のかがくの里と比べても、西野さんがより美しく手入れしてくれたのがわかります!!

 そして気になるのは、畑の作物がどうなっているのか?
 通常、5月下旬から6月上旬が収穫時期の玉ねぎ。そもそも玉ねぎは、葉っぱの土に近い部分が大きく育ったもので、玉ねぎの部分に栄養がたくさんいって大きく育つと、全体のバランスが悪くなり、地上に出ている葉が倒れるんだそうです。つまり葉っぱが倒れたら、玉ねぎの栄養はたっぷりたまった、ということなので収穫の合図になるんですが…収穫時期を大幅に過ぎ、玉ねぎの状態は?
 なんと、茎が高く立っています。根元を見てみても玉ねぎは見た目、立派に育っています。さっそく食べてみますが、味がない?
 実は玉ねぎ、収穫せずに放っておくと、次の子孫を残すために茎を伸ばし、新たな花芽をつけようとします。これを“とう立ち”と呼びます。

 とう立ちしてしまうと、玉ねぎにたっぷり入っていた栄養も、新たに伸ばす茎や花に使ってしまい、味が薄くなっちゃうんです。とはいえ、味は薄くても、上手に料理すれば美味しく食べることもできるそうです。

ミツバチの訪れと梅干し作り

 去年大成功した“養蜂プロジェクト”。貴重なニホンミツバチのハチミツが12キロもとれました。そこで今年、西野さんはなんと、7個の巣箱を用意し、かがくの里に3個、そして残りの4個は、里以外で西野さんがここなら入る!と目をつけた場所に設置していました。
 目を付けた場所の一つが、西野さんのお友達の家の庭。結局、6群のうち1群は逃げ出しちゃいましたが、今、5つものニホンミツバチの群れが、それぞれの巣箱に入り、巣作りに励んでいます。

 本来ニホンミツバチは、多くの花が咲く、人の手が入った昔ながらの里山や農村、花をつける樹木が多い森林などを好みます。ですが近年、農村でも農薬などの影響、外敵の増加も重なり、生態系が変わった事で、ミツバチが蜜や花粉をとる花が減ってしまったため、ミツバチの数も減ってしまいました。
 では、なぜかがくの里には毎年ニホンミツバチが入ってくれるのでしょうか?
 ハチの専門家の小野先生によると、ミツバチがたくさん生息している環境は、四季折々途切れなく花が咲いているということ。ニホンミツバチがたくさん生息しているということが、かがくの里の環境が豊かである証だといいます。
 さらにニホンミツバチによって、里に良いことが起きていたんです。それは、たくさん実っていたウメの実!

 実はこれ、あのミツバチたちが働いてくれた証!
 ニホンミツバチが、花も多く、自然環境の良いかがくの里にたくさん集まり、そして、大好きなウメの花粉を運んだことで、ウメの実も、よりたくさん実ったと考えられるんです。まさに、かがくの里で自然循環がおこっているということ!

 今年かがくの里にたくさん生ったウメの実。そこで!!たくさんなったウメの実で、阿部さんと西野さん、梅干し作りをすることに!
 西野さん流、昔ながらの梅干し作り!!味付けに使うのは塩だけ!水で洗って乾燥させた梅に塩を入れて、軽くなじませ、木樽に入れていきます。
 同じく、赤シソにも塩を加えてもみ込んでいきます。しっかりと絞ってアクを抜くと、エグミや苦味が消えるそうです。あとは梅と交互に入れていくだけ。赤シソに含まれる色素によって、赤く色づくだけでなく、風味も増します。この状態で、およそ1ヶ月ほど浸けておけばOK。
 どんな味になるのか、出来上がりが楽しみです。
 3ヶ月来られなくて心配でしたが、西野さんのお手入れと、生き物たちの循環がうまくいっているおかげで、かがくの里はいい感じです!

里の自然循環

 阿部さんと西野さんが梅干し作りをしていた時、嬉しいサプライズ!里の小さなため池に、目の黒いラインが特徴の“カルガモ”です。やってきた2羽は、おそらくつがいのようで、つがいで行動するのは、春から夏の繁殖期の間。
 カルガモは、水草などの他に虫や貝類も食べるので、エサが豊富なかがくの里の池や田んぼに、えさを食べにきたようです。

 そして、カモの他にも、かがくの里に驚きの野生動物が!
 7月上旬。なんと、ニホンノウサギという、日本だけの固有種が!生まれてまだ一週間ほどの赤ちゃんのようです。
 童謡『ふるさと』の歌詞にもあるように、ノウサギは昔から里山の近くにいた、身近な生き物。しかし今では、その姿があまり見られなくなってしまったんです。ノウサギの研究をおこなう山田文雄さんに話を伺うと、ノウサギにとって若い植物が生育している森の周辺や、森から近い畑や田んぼの草が生えている所は、エサもあるし隠れ場所もあるので、非常に生活に適した場所だといいます。
 しかし近年、雑木林は手入れが行き届かなくなり、昔のような里山も減ったことで、ウサギの住みにくい環境になってしまっているそうです。
 生態系の中で、ウサギは捕食される動物。ウサギが増えれば、それを食べる他の動物も増えて、生態系は豊かになっていきます。

 元々は荒地で、生き物たちにとっても良い環境ではなかったかがくの里。けれどこの5年で、かがくの里は、野生の生き物たちにとっても住みやすい環境になってきたようです。里山の環境を整備することが、“生物多様性”にも大事だということが見えてきました。

阿部苗の田植え

 今年5月。阿部さんは自宅のベランダで、種もみから“稲の苗作り”に挑戦していました。慎重に水やりしながら、苗を育てること1ヶ月半。本人はうまくいったと思っていた阿部苗ですが、高橋先生によると50点。
 低評価の理由は、生え方にばらつきがあること。そして、日光不足で、ひょろひょろと伸びすぎたこと。それでも、手植えすれば、なんとかなるかもしれない、ということで、例年よりも数週間遅れで、田植えの日を迎えました。
 しかし、阿部苗はその後枯れてしまい、細くなってしまいました。

 先生が大学で育てた苗との違いは一目瞭然。

 さらに、それぞれの苗を抜いて比べてみると、阿部苗は日光不足で根はほとんどなく、ひょろひょろの細い苗になっています。
 でも、高橋先生によれば、うまく活着すれば問題ないそう。活着とは、田植えした苗から新しい根が出てきて、うまく根付くこと。

 葉の色も、より濃い緑色になってくるといいます。阿部苗の短い根っこが、田植え後にちゃんと活着してくれるかが最大の分かれ目。
 さあ!さっそく田植え開始!手植えすると聞いた西野さんが、自作の道具で基準線を引いてくれました。この線どおり植えていけば、まっすぐ植えられます。
 そして今回の手植えのポイントは!植える深さを、指第一関節か第二関節中間くらいにすること。
 浅く植えすぎると根付かず、かといって深く植えすぎると活着が遅れ、生育が悪くなるそう。苗が活着するかどうかは、植える深さでも変わってくるんです。

 みんなで植えること3時間。
 阿部苗エリアは、西野さんの線のおかげもあって、キレイに苗は植えられましたが、果たして、うまく根付いてくれるんでしょうか!?

 2週間後。高橋先生が言うには、活着に失敗している場合、根元が土につかずに苗が浮き上がったりしているとのこと。さあ、どうでしょう?
 浮いていない!!苗を引っ張って、活着の具合を確認。
 心配していた活着は大成功!秋の収穫祭が、ますます楽しみになってきました!