放送内容

第1644回
2022.10.02
いかちゃんの残したい~トコロ!山口県周南市 場所・建物 地上の動物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 後世に残すべき日本の文化や風景を再発見!「いかちゃんの残したい〜トコロ!」。
 今回訪れた場所は、山口県周南市。この周南市にある熊毛八代地域は、環境省の重要里地里山に選定されているんです!熊毛八代の里地里山は、一体なにが重要なのか、いかちゃんが徹底調査!さらに!周南市は国際的にも重要な場所だった!?
 今回の目がテンは、いかちゃんの残したい〜トコロ!山口県周南市編です!

環境省の重要里地里山 山口県周南市八代

 いかちゃんが訪れたのは、山口県周南市。

 この周南市にある八代は、環境省の「生物多様性保全上重要な里地里山」の一つとして選定されている場所。この環境省の「重要里地里山」とは、人と生き物の暮らしが交わる生物多様性が豊かな環境として選定された、全国に500か所ある里地里山のことなんです。
 この選定基準は、里地里山の特徴的な景観、田畑、ため池、森や林など、様々な環境があること。多様な野生動植物が生息、生育していること。そして、生態系のネットワークの形成があること。原則、この3つの基準のうち、2つ以上に該当したものが「重要里地里山」として選ばれています。
 では、八代は一体どんな里地里山なのか?お会いしたのは、周南市の文化財保護担当の増山雄士さん。
 この八代は、周りを山に囲まれている小さな盆地、盆地の中に水田、ため池があったり、色々な環境があったりする里地里山。このような様々な環境があることで、つながりのある生態系が生まれ、地域の生物多様性を高めているんです。
 そして、この八代は、国際的に重要な場所でもあるんです。実は、ツルがやってくる重要な生息地になっているんです。ここのツルはナベヅルというツル。シベリアのほうから八代に10月下旬〜11月頭に来ています。

 主に、毎年日本に渡来する場所は、主に鹿児島県出水市と山口県周南市。絶滅危惧種であるナベヅルは、渡来する場所とともに国の特別天然記念物にもなっています。遠くシベリアから日本へ、ツルの生態系のつながりを保つ、重要なネットワークを形成しているのです。
 この八代は、環境省の「重要里地里山」の選定基準である3つの条件を全て満たしている場所。豊かな生物多様性を育むこの場所は、まさに重要な里地里山だったんです!

いかちゃんが水辺の生き物調査!

 生物多様性が豊かな周南市八代では、一体どんな生き物がいるのか?いかちゃんが徹底調査!この日、地元の子どもたちの水辺の生き物調査があるため、いかちゃんも特別に参加します。
 ナベヅルが降り立つ、近くの川で水生生物を探します。子どもたちと一緒に川に入り、早速、調査開始!網を使い、草陰に隠れている生き物を探します。
 すると、まず発見したのはオヤニラミ。絶滅危惧で昔は里山の川でよく見られた魚なんだそうです。

 さらに、かがくの里にもいたヒメゲンゴロウ。こちらも里山の生き物です。そして、準絶滅危惧のガムシ、カワムツ、ミズカマキリ、トンボの幼虫ヤゴと、どれも里山の生き物。
 いかちゃん、場所を変えて、さらに生き物調査を行います!すると、絶滅危惧のタガメが!さらに、子どもたちとも一緒に探し、たくさんのタガメを見つけたんです!

 他にも、ミズカマキリ、クロゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、ホタルの幼虫のエサとなるカワニナも。今回の子どもたちとの調査で、多種多様な生き物を見つけました!
 田んぼ、そして川や水路があることで、水生生物の貴重な生息場所となり、ナベヅルを始めとした生き物が、それらを食べにやってきます。
 この八代は、里山の生きものたちの貴重な棲みかとして、豊かな生態系を残していたのです。

ナベヅルのための環境づくり

 ツルのために環境整備をしている農家の田島実さん。田島さんが整備しているのはビオトープ。ビオトープとは、野生の生き物たちが多く暮らせるように人工的に整えた場所のこと。

 そのビオトープをこの八代に作り、ナベヅルのやってくる環境にしたんです。
 もともとは荒れ地の休耕田だったため、生物多様性が損なわれていました。しかし、10年以上前に川から水を引き、ビオトープを作ったことにより、生物多様性が取り戻され、3年後には、ナベヅルが来るようになったといいます。
 でもなぜ、すでに自然環境が豊かな八代にビオトープを作ったのでしょうか?
 それはナベヅルの強い縄張り意識が関係しているんです。

 ナベヅルは家族単位で渡来し、家族ごとに一定のなわばりをもっています。境界線は、アゼや小道など。他の家族が侵入すると、激しく威嚇し、追い払ってしまうのです。
 そこで田島さんは、ナベヅルが生活できる場所を増やせば、渡来する数が増えるのではないかと思い、ビオトープを作ったのです。
 そんな重要なビオトープの整備をいかちゃんがお手伝い!
 水生生物にとって大切な水。しかし、モグラがあける穴などで、ビオトープから水が漏れてしまうことも。そうなると、ナベヅルのエサとなる生き物も減ってしまうため、その水漏れを防止する作業を行います。
 足で踏んでモグラの穴を埋めていきます。ただ踏んで穴をふさいでいくだけですが、これがなかなか大変。
 すると、たくさんの生き物たちが!アカハライモリ、コガタノゲンゴロウ。そして、シオカラトンボ。シオカラトンボは、水の表面にお腹の先をつけて、水中に卵を産んでいます。このビオトープの生物多様性の豊かさを目の当たりしました!
 その後も、作業を続け、踏み続けて1時間。無事、ビオトープの整備を終えた、いかちゃんでした。